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材料チューニングに裏付けられたFRP製プール

ヤマハ発動機の技術ストーリーをご紹介します。

日本の小中高校でのプール普及率は、世界的に最も高い水準と言われます。そのうちの約半分がFRP製、他はステンレスかコンクリート製です。FRP製プールの中でヤマハ製は約96%を占めますが、その裏付けはFRP材料のチューニング、製造技術、ミリ単位の精度を出す施工技術・・・これらの連携にあります。
ヤマハは、創業直後の1950年代後半からFRPの研究開発に取り組んできました。FRP製ボートを実用化した後、FRPが耐候性や耐震性に優れ、プールに適した素材ということに着目しました。1974年に国内初のオールFRP製プールを商品化、「ファミリープール」を販売。1976年には家庭用プール「スイミングプール」を発売。1978年には25mスクールプール「スクール25」の第1号を納入、以後各地に普及し今日多くの学校でヤマハ製FRPプールが使われています。
人気の理由はまず軽量なこと。軽く、都心の学校の屋上にも設置しやすいこと、などが人気の理由のひとつ。屋上ならプライバシーも守られ、非常時に備えた貯水漕を兼ねて設置しているケースもあります。またスイミングスクールなどでは1階が駐車場で2階がプールという事例もあります。次に柔らかい曲面を形成しやすいこと。障がいのある子どもたちが通う特別支援学校などで求められる多様なニーズにも応えていますし、温水プールでは保温性の良さが支持されています。工期も短く、またユニットを輸送して現地組み立てするので、狭い道路にしか面していない場所でも施工が可能です。
ヤマハはFRP製ボートで培ったノウハウを、ただそのまま転用したのではありません。プール用のFRP材料は、基本的にボート用と同じですが、水に触れる部分の塗装や裏の樹脂などが異なります。ボートでは紫外線に対する耐候性や強度が重要ですが、プールの水には塩素系消毒剤が入ります。耐候性と塩素への対応性とは相反するので、FRP材料はプール用に専用チューニングしています。
ジョイント作業も要です。FRP製プールは、工場で側壁ユニットやフロアユニットを「7×2m」位のサイズで成形し、現地でジョイントします。この作業は施工職人さんの守備範囲ですが、競技用の公認プールの認可を得るにはミリ単位の精度が求められます。実際にプールに水が入れば伸縮は落ち着きますが、カラの場合は外気温差で50mプールの場合10mmのプラス・マイナスが出ることもあり、このFRP特性を前提としてユニット設計を行います。
今では台湾や韓国にも導入されているヤマハFRP製プールですが、その出発点は独創の発想でした。プールは敷地や建物の中にあるのですが、これを建造物ではなく「工業製品」として捉え、環境と用途に沿ったプールを提供しようという発想が、私たちのオリジナリティでした。その奥底には「人」と「機」のインターフェイスを求める企業姿勢があるのです。

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