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電子制御フューエルインジェクション(FI)

ヤマハ発動機の技術ストーリーをご紹介します。

O2フィードバック制御※1による三元触媒採用FI採用「GTS1000」(1993年)

1982年の「XJ750D」(#1)はヤマハのFIの第一歩でした。エンジン回転数、吸入空気量、エンジン温度、点火時期などの各情報をマイコン処理し、エンジン作動状況に適した燃料量を噴射、シャープなレスポンス、燃費、始動性向上を実現しました。またヤマハはスポーツツアラー「GTS1000」(1993年)で、O2フィードバック制御※1による三元触媒採用のFIを実用化、排ガスクリーン化と燃費、走行性とあわせて実現しました。用途をレースに絞った高出力モデル「YZF-R7」(1999年・#2)でもFIのメリットを活用、その後も「FJR1300」や「YZF-R1」など大排気量モデルにFIを採用して、走りと環境性能を支えていきました。

※1
O2フィードバック制御:排出ガス中の残留酸素濃度を検出する「O2センサー」の情報から燃焼状態を判断し、燃料供給(空燃比)の最適化に反映する電子制御。出力、燃費、排出ガスクリーン化、また触媒活性化などの効用があります。

バイク用FIの大きな進化のひとつとして2002年、「Majesty125FI」(台湾仕様・#3)のFIが挙げられます。この頃「FJR1300」や「YZF-R1」のFIでは、多種のセンサー類を搭載しており機構は複雑になっていました。そこで「Majesty125FI」ではシンプル化を徹底追求。吸気管内の圧力変化が、大気圧やスロットル開度に連動することを利用し、1個のセンサーから複数情報を得るシステムを構築、センサー類は従来の半分に削減し、燃料供給系もモジュール設計(一体設計)して軽量・コンパクト化を行いました。このFIシステムは、以後も小型バイク用のFIの基本フォーマットとして日々進化。2014年アセアン向け125ccスクーター「Grande」に織り込んだ“BLUE CORE”エンジンにも最新のコンパクトFIが搭載されています。

マリンエンジンのフューエルインジェクション

マリンエンジンにおいても、FIは走りと環境性能に貢献しました。1996年電子制御FIの「OX66」※2と呼ぶ2ストロークV型6気筒(150~250馬力)をヤマハは発表、生産は三信工業※3で行いUS向けを皮切りに展開。ヤマハ船外機初となるこのFIは、2ストロークとして世界で初めてO2センサーを搭載したFI船外機エンジンの実用化でした。自動車やバイクの4ストロークのように排気管にO2センサーを装着するのではなく、海水の逆流を避けるためO2センサーはシリンダーにレゾネータ(共鳴室)を設けて配置(#4)。このヤマハ独創の空燃比フィードバックシステムにより、電子制御FIの精度を高め高性能と好燃費を実現しました。

※2
「OX66」:頭文字の“O”はO2センサー、“X”はV型エンジンの意。「66」は、6気筒でインジェクター(燃料噴射装置)がそれぞれに装着されているという意味。
※3
「OX66」:頭文字の“O”はO2三信工業:三信工業(株)は1960年にヤマハ発動機(株)のマリンエンジン製造子会社として創立され、YAMAHAブランドの船外機などの開発・製造を主な事業としていました。2003年に「ヤマハマリン株式会社」に社名変更し、 2008年にヤマハ発動機(株)と合併しました。

さらなる画期的進化は、1999年の2ストローク船外機「Z200N」(2ストロークV型6気筒)のHPDI(ハイプレッシャー・ダイレクト・インジェクション)。世界初の2ストローク高圧無気式直噴(高圧燃料のみを噴射)の電子制御FI(#5)です。50~70気圧で燃料を噴射することで、十数ミクロンに燃料を微粒子化。吸気管に噴射する従来のFIに比べ飛躍的に微粒子化を促進し、薄い燃料で高効率の燃焼が得られました。噴射は排気ポートが閉じるタイミングに同期して行われ2ストローク特有の「吹き抜け」がなく、燃費と排ガスのクリーン度が大幅に向上。このように電子制御FIは様々に進化、お客様のニーズに呼応しているのです。

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