タイでの産業用無人ヘリによる農薬散布サービスの開始について ~実績ある機体「Fazer R」を使った効果的かつ効率的な農薬散布を実現~
2020年8月26日発表
ヤマハ発動機株式会社の海外グループ会社Thai Yamaha Motor Co., Ltd. などが出資するSiam Yamaha Motor Robotics Co., Ltd.(サイアムヤマハモーターロボティクス株式会社)は、2020年8月に産業用無人ヘリ(以下無人ヘリ)を用いたタイでの農薬散布サービスを開始します。
害虫による農作物への世界的な被害が拡大する中、タイでも害虫駆除強化の必要性が高まっています。また、一年を通し、除草や防除、成長促進剤や糖度向上剤の投与が必要なサトウキビやとうもろこしの作付面積の増加政策が推進されるなど、栽培作業の効率化や農薬散布のニーズが高まっています。新会社は、これらのニーズに対して、ヤマハ産業用無人ヘリ「FAZER R」を活用し、農薬散布を請け負うものです。
タイ政府は産業の高度化を目指す「タイランド4.0」の指針を2015年に掲げ、経済社会のデジタル化による付加価値創造社会への移行を実現し、今後20年間での先進国入りを目標としています。また、先進技術、デジタル技術を通じ「生産性の向上」を促進するために、農業分野、自動車産業分野などの中核産業への投資の呼び込みを推進しています。特に、現地労働力の約4割を占めるとされる「農業セグメント」の効率化は必須であり、当社は世界第4位の「サトウキビ生産国」であるタイにおいて、無人ヘリによる効率的な農薬散布と、同国初となる作物の糖度向上散布の開発に、タイ農業局、サトウキビ砂糖委員会、製糖会社、農薬メーカーなどと共同で取り組んできました。新会社は、これら蓄積されたノウハウに基づく、農薬、肥料等の空中散布を行い、農作業の効率化と新たな付加価値創造により、タイの農業発展に貢献します。
当社はこれまでも無人ヘリを通じて1)水稲を中心とした30年以上の農薬散布機事業の展開、2)火山の噴火や土砂崩れなどの災害現場の観測、3)山間部の送電線鉄塔のメンテナンス資材の運搬など、空からのソリューション提供を続けてきました。また近年は衛星写真の解析を通じた効果的な農薬散布を目的としたスマートファーミングの開発も行っています。今後も、無人ヘリやドローン、ロボティクス技術の開発・活用を通じて、産業分野での生産性向上、省人化、自動化といった価値提供を行い、ヤマハらしい社会課題の解決や持続可能な成長の支援に取り組んでいきます。
Siam Yamaha Motor Roboticsの概要
設立 | : | 2019年5月 |
代表 | : | Montree Denpairojsak (モントリー・デンパイロートサック) |
本社所在地 | : | タイ・バンコク市内 |
事業内容 | : | 農薬散布関連サービスの提供 (散布請負サービス、サーベイなど) |
サトウキビの生育環境に適合する農薬散布の提案
サトウキビには、特有の生育の難しさがあります。その点、無人ヘリを利用した農薬散布は有効な手段となります。例えば、サトウキビが一定の高さに達してしまうと、肥料とホルモン剤を散布しても、品質と重量を上げることが困難とされています。また、熟成剤の散布は収穫前の一定の時間内に迅速に終了する必要があるとされます。こうした、サトウキビ特有の生育状況に対して、当社の無人ヘリを使用することにより、生産性の向上が期待できます。