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『2013 Graphic Grand Prix by Yamaha』 「感動」と「共感」を与えたグラフィックの頂点が決定!! 「いいの?」「いいね!」をテーマに全769応募作から選出

2013年10月30日発表


「感動」と「共感」を与えたグラフィックの頂点が決定!!
「いいの?」「いいね!」をテーマに全769応募作から選出


 ヤマハ株式会社(以下ヤマハ)とヤマハ発動機株式会社(以下ヤマハ発動機)が開催している総合的なグラフィックコンテスト『2013 Graphic Grand Prix by Yamaha』のグランプリが決定いたしました。今年で2回目となる本コンテストは、審査員長にアーティストの日比野克彦氏に加え、新たな審査員として若手アーティストのスプツニ子!氏を迎えました。グランプリを含む各賞は、「TOKYO DESIGNERS WEEK 2013(以下、TDW2013)」期間中に実施された最終審査会にて決定したものです。

 今年のテーマは、「いいの?」「いいね!」です。作品はアート表現、油彩、水彩、イラスト、フォトコラージュなどジャンルを問わず応募を受付け、応募期間の6月3日(月)~9月30日(月) に、769作品が集まりました。
 その後、一次審査を経て選出された8作品について、公式ウェブサイト上で各作品に対する「いいね!」数をカウント。合わせてTDW2013の出展ブースに作品を展示し、一般来場者からの投票を受付けるという2つの公開審査を行いました。


最終審査会 受賞の様子
最終審査会 受賞の様子
 これら一般の方々からの支持や当日の各入賞者のスピーチを参考にしながら、最終審査を行った結果、岡部望さんの『行ってきます』がグランプリと公開審査で最も票の集まった「オーディエンス賞」を見事ダブル受賞しました。また、「日比野克彦賞」に松岡啓祐さんの『こんな雲いかがですか。』、「スプツニ子!賞」に森拓馬さんの『マイファッション』がそれぞれ選出されました。なお、グランプリに選出された岡部望さんには、賞状とデジタルトロフィー、賞金100万円が贈られました。

実施概要

名称 2013 Graphic Grand Prix by Yamaha(グラフィック・グランプリ バイ ヤマハ)
テーマ 「いいの?」「いいね!」
応募期間 2013年6月3日(月)~9月30日(月)
審査員・審査基準・審査方法:
    ◇審査員
    ・日比野克彦 (審査員長)
    ・スプツニ子!
    ・ヤマハ株式会社、ヤマハ発動機株式会社 両社デザインセクションメンバー
    ◇審査基準:
    ・作品がテーマをいかに解釈し、表現し得ているか。
    ・解説テキストに示された作品上のコンセプトや狙いのユニークさ、的確さ。
    ・絵画、イラスト、グラフィックデザイン、写真といった既存のジャンル区分を問わず、静止した2次元表現としての特性・ポテンシャルを十分に感じさせるか?
    ・出力形式、形態を問わず平面芸術としての普遍的な表現・描写になっているか?
    ◇審査方法・期間:
    【一次審査】2013年10月18日(金)
    【公開審査】Webサイト:2013年10月21日(月)~30日(水)
             TDW2013出展ブース:2013年10月26日(土)~30日(水)
    【最終審査・表彰式】10月30日(水) TDW2013特設会場
【グランプリ】副賞:賞状とトロフィー、賞金100万円
    【各特別賞】副賞:賞状とトロフィー
主催 ヤマハ株式会社、ヤマハ発動機株式会社
公式サイト http://www.graphicgp.jp/

受賞作品一覧

【グランプリ】【オーディエンス賞】
ダブル受賞作品!

タイトル

『行ってきます』

氏名

岡部 望

年齢

40歳

在住地

大阪府

作品解説

   およそ4年間、700回以上の、「行ってきます」。その日の朝に撮った写真は、その日の「待ち受け画面」でした。
 ある日、突然、同僚が、「それ、毎朝撮っているのですか?」と訊いてきて、驚かされました。恥ずかしがる私に同僚が一言、「なんか、いいですね!」と。期待していなかった優しい言葉に勇気を得て、いつしか「いつの日か、撮りためた写真をぜんぶ並べて一枚にまとめてみよう」と思うようになりました。
 難しいことは何もしていません。撮った順に並べただけです。左上が古く、右下が新しいものです。第二子が生まれた一時期だけ自宅ではなく実家です。誰も写っていない時は、家族が寝坊したか、何らかの理由で手が離せないかの、いずれかだと思います。
 やってみたら予想外に幸せになりました。なんらかの方法で記憶を積み重ねて一覧表示してみる行為自体を「いいよ!」と提案したいと思います。

審査員総評:
 これからの表現とは、単なるグラフィックの技術やスキルに頼るのではなく、どれだけ「共感」を与えられるかが重要になってきます。この作品には、普通の家族のお父さんである作家が、4年間をかけて毎日撮り続けた家族の肖像が映っています。それだけのシンプルなことが、幅広く観る人の心に訴えかけました。審査会当日の朝にも同じ写真を撮っていたというこの作品は、表現していくこと、そして小さな家族のつながりは、今でもずっと継続しています。観る人にも、明日からやってみたいと思わせるような感動が、審査員からのグランプリ、そしてオーディエンス賞のダブル受賞につながりました。


【日比野克彦賞】

タイトル

『こんな雲いかがですか。』

氏名

松岡啓祐

年齢

45歳

在住地

福岡県

作品解説

 万里の長城で、こんな雲いかがですか。雲が「万里の長城でこんな雲いかがですか」と私にだけ気がつかせました。ほかのひとたちはだあれも気がつきません。こんなにいっぱいいるのに。だから見上げた私だけが撮りました。それをあなたにお見せします。こんな雲いかがですか。

審査員評:
 このデジタル時代には、特別な技術を持っていなくても、ひとの心にスイッチを入れることができる表現があると思います。そして、自分自身のスイッチが入った瞬間、ひとに「いいの?」と聞いてみたくなる。この作品は、まさに出合えそうで出合えない一瞬にめぐりあわせた作者の感動が表現されていると思います。(日比野克彦)


【スプツニ子!賞】

タイトル

『マイファッション』

氏名

森 拓馬

年齢

22歳

在住地

東京都

作品解説

 自分の顔をTシャツに描いて、女の子たちに着てもらい、写真を撮影しました。
 作品を見てもらった人達のコメントの中に、「自分が好きなんだね」というコメントを見つけました。自分のことが好きかどうかは別として、みんな制作を通して自分を表現したいのに、なぜ自画像を描かないのだろう?と感じ、そのためのポップな表現を今回の作品に盛り込んだつもりです。
 ちなみにタイトルのファッションという言葉には、作り上げるという意味もあります。

審査員評:
 かわいい女の子を集めて、自らの作品コンセプトに巻き込んだプロデュース能力、そして作品をフィニッシュさせるまでの完成度を高く評価しました。クリエイターとして、作家のこれからに期待します。(スプツニ子!)


テーマ「いいの?」「いいね!」について

 テーマ選定の過程で着目したのは、自分の表現を客観的に捉えて、受ける側の人を通して確認したり、感動できるものや共感できるものを応援したりする、そのやりとりの重要性です。自分と他者、表現者と鑑賞者、投げかける人と受け止める人、いずれも物理的な空間の中で起こる「共感」を確認し合う。そこに今よりもっと新しくて強い表現の形があるのではないかと考えています。なお、今回のテーマは、両社のデザイン部門メンバーによるディスカッションを経て、日比野克彦氏、スプツニ子!氏が設定しました。


審査員紹介


撮影:後藤充
日比野克彦(ひびのかつひこ)・審査員長
 1958年岐阜県生まれ、東京藝術大学大学院修了。様々な地域の人々と共同制作を行いながら、受取り手の感受する力に焦点を当てたアートプロジェクトを展開し、社会で芸術が機能する仕組みを創出する。瀬戸内国際芸術祭2013「海底探査船美術館プロジェクト「一昨日丸」」出展。他、川崎市岡本太郎美術館・横須賀美術館にて企画展を開催。日本サッカー協会理事。東京藝術大学先端芸術表現科教授。

スプツニ子!(すぷつにこ)・審査員
 ロンドン大学インペリアル・カレッジ数学科および情報工学科を20歳で卒業後、英国王立芸術学院(RCA)デザイン・インタラクション科修士課程を修了。在学中より、テクノロジーによって変化していく人間の在り方や社会を反映させた作品を制作。 主な展覧会に、「東京アートミーティング トランスフォーメーション」(東京都現代美術館、2010)「Talk to Me」(ニューヨーク近代美術館/MoMA)、2011)など。2013年よりマサチューセッツ工科大学(MIT) メディアラボ Assistant Professorに就任。

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