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ヤマハ発動機株式会社は、2008年から2010年までの3ヵ年における経営課題、事業戦略、数値目標をまとめた新中期経営計画を策定しました。 |
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新中期経営計画は、ヤマハ発動機グループの長期経営ビジョン“Frontier2020”のフェーズ1と位置づけ、前中期経営計画の達成状況と残された課題を踏まえながらグループの発展を目指すものです。
その成果として、最終年の2010年には連結売上高2兆1,000億円、連結営業利益1,430億円、連結経常利益1,500億円の達成を計画しています。 |
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前中期経営計画の振り返り |
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2005年から2007年までの前中期経営計画「NEXT50-PhaseII」では、前々中期で培ってきた「利益体質」に加え、「価値」「収益」「成長」のバランスの取れた事業戦略を進め、「オンリーワン・ブランド」となることを目指して取り組みました。
前中期経営計画においては、アセアンおよびブラジル二輪車事業での「成長機会の取り込み」と「収益性確保」、サイド・バイ・サイド・ビークルの市場導入やライフサイエンス分野の事業化等の「差別化価値の追求」において成果を残す事ができました。定量的な評価としては数値目標として掲げた売上高(1兆4,500億円)、営業利益(1,200億円)を上回る実績(売上高1兆7,567億円、営業利益1,270億円)を残す事ができました。
一方、日米欧市場での収益性改善やインド二輪車事業の再建においては、積み残し課題となりました。 |
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新中期経営計画の概要 |
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目指す姿 |
新中期経営計画では、企業目的である「感動創造企業」を目指して、「収益」「成長」「顧客提供価値」の三要素をさらに高い次元へ発展させていきます。
この目的に向かって、「経営の質」を強化し、長期視点に立った「価値創造」に取り組みます。
また、そのための「戦略的な資源投入」を進めます。 |
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事業戦略の概要 |
1.二輪車事業 |
世界の二輪車需要の規模は2007年の4,660万台から2010年の5,230万台へと12%の伸長が見込まれます。大きな牽引役はアセアンおよびインドであり、中南米地域でも大きく拡大する見込みです。
このような中、当社は日米欧では高付加価値マーケティングを継続して収益性の向上を図るとともに、中国・インドではプレゼンスの確立に向けた基盤構築を図ります。成長市場であるアセアンおよび中南米地域においては引き続き、積極的に成長機会を取り込みます。なかでも最重要課題のインド再建に向けては70億ルピー(約200億円)を投資し、2010年には65万台の販売と事業採算のブレイクイーブンを目指します。また、アセアン地域では、前中期同様に積極的な新商品投入とプロモーション活動を推進し、主要5ヵ国での販売台数は、2010年に2007年(288万台)の約1.5倍となる434万台を計画しています。また、このためにインドネシアでの300万台体制構築やベトナムの新工場を稼動させるなど主要5ヵ国での生産能力を470万台まで増強します。中南米地域では、ブラジルでの生産能力を60万台まで増強し、アルゼンチンにおいても本年より組立工場を稼動させます。
以上のような結果、2010年には2007年比56%増となる778万台の世界販売を計画しています。 |
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2.マリン事業 |
主力の船外機事業では、世界での販売を拡大し、収益性の向上を図ります。具体的には、欧米でボートビルダーとの協業を更に推進するとともに、中大型のモデルラインナップを強化し、販売を拡大します。また、途上国においても4ストローク化を図りながら現在の圧倒的な市場ポジションを維持します。生産面では、本年5月の袋井工場稼動による最適生産の推進を行います。
ウォータービークル事業では、モデルラインアップ強化による販売拡大とジェット推進機搭載のスポーツボート事業強化により売上・利益の拡大を図ります。
黒字化の目途が付いた国内舟艇事業では、大型艇のモデル拡充を図るとともに、ボート免許やレンタルボートクラブ“Sea-Style”等のソフト事業を収益化し、利益事業への転換を図ります。 |
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3.ATV(四輪バギー)+SSV(サイド・バイ・サイド・ビークル)事業 |
ATV事業では成熟市場での収益体質の向上を、新規領域であるSSVカテゴリーでは販売拡大による成長を目指します。
ATVでは、当社の強みであるスポーツカテゴリーでのトップポジション維持に努めるとともにユーティリティカテゴリーでのシェア拡大を図ります。
2003年から新規需要創造のために市場投入したSSVは、商品のバリエーション展開により、追随してくる他社との差別化を図り、優位性を訴求します。 |
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4.IM(産業用ロボット)事業 |
IM事業は、商品競争力の強化により、収益率の回復と売上規模の拡大を図ります。
具体的には新規需要を創造する新商品の小型高速モジュラーや電動フィーダーの市場投入、そのフィーダー搭載モデルのシリーズ化による商品競争力を強化します。
さらには、印刷機や検査機など周辺機器のラインナップ構築により実装ライントータルのソリューションビジネスを強化します。
また、ソフトの面においては、国内外で営業所、テクニカルセンター設置を進め、海外主要拠点に駐在員を配置し、販売・サービス面でのサポートを強化します。
その結果、2010年には550億円の売上高を目指します。 |
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数値計画 |
USドル105円、ユーロ155円の為替レートを前提とした新中期最終年2010年12月期の連結業績の目標数値は、以下のとおりです。 |
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・売 上 高 |
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2兆1,000億円(2007年比19.5%増) |
・営 業 利 益 |
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1,430億円(同12.6%増) |
・営業利益率 |
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6.8% |
・経 常 利 益 |
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1,500億円(同6.9%増) |
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設備投資 |
新中期3ヵ年においては、更なる「成長」と将来の「価値創造」を目指し、3,000億円(前中期比で約550億円の増加)の設備投資を行います。
特に「成長投資」については、アジア・中南米の二輪車事業の拡大を中心に、前中期比50%増の1,090億円を計画しています。
「収益向上投資」としては、欧米を中心とした「収益力向上」を目指す新機種投資、コストダウン投資など、また「価値創造投資」としては、マグネシウムなどの新素材部品生産体制の強化やライフサイエンス事業の拡大を目指した投資などを計画しています。 |
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配当性向 |
新中期での連結配当性向20%をコミットし、成長投資とのバランスをとりながら25%程度を目指します。 |
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長期ビジョン「Frontier(フロンティア)2020」の概要 |
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ありたい姿 |
当社は、2020年を視野に入れた経営、事業の方向性を長期ビジョン「Frontier 2020」としてまとめました。これは、当社がこれまで培ってきた資産・特長・強みの棚卸しを行い、既存事業の将来展望や外部環境も考慮しながら、今後、当社が進むべき道筋を描いたものです。 |
長期的にありたい姿としては、
成長の質を変え、「多様な価値を持つ複数のコア事業体で構成されるひと回り大きな個性的企業」となり、その成長を高いレベルで持続させ、それを支える活気あふれる組織文化を持つ企業となることを目指します。 |
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多様な価値の大きな方向性としては、二輪車を含む「パーソナルモビリティー」を基軸として極め、それを中心に「顧客・ブランド」による広がりと、技術による「新領域」への広がりを目指します。 |
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4つのフロンティア |
長期ビジョンでは、当社の拡大の方向性を4つの事業領域(フロンティア)として定めました。 |
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1) |
「パーソナルモビリティー」のフロンティア |
製品のみならず、交通システムやソフトなども含めた様々な視点から最適なモビリティーを提案していきます。具体的には、現在のPASやエレクトリックビークル領域に加え、高い環境性能や低価格の二輪車、新しいコンセプトのパーソナルコミューターなどの事業領域です。 |
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2) |
「YAMAHAブランド」のフロンティア |
YAMAHAブランドの製品を愛用頂いている世界のお客様に対し、周辺領域や遊びの場の提供などソフトを含めた価値を提供し、ブランドを更に強化していく領域です。 |
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3) |
「エンジン・コンポーネント」のフロンティア |
当社がこれまで培い、今後も基軸として極めていくパーソナルモビリティーの開発製造技術をもとに広げていく領域です。具体的には、二輪車コンポーネントやアルミ・マグネシウム部品に加え、パワーアシスト、自動車エンジン、次世代エンジンなどのパワーソースを事業化していく領域です。 |
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4) |
「新領域」のフロンティア |
要素技術で広げる領域です。
具体的には、産業用ロボットやスカイ事業等で培ってきた制御技術やライフサイエンス事業で培ってきたバイオ技術など、当社の要素技術を新領域に展開し、事業化していく領域です。 |
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当社はこれら4つのフロンティアに挑戦し、成長の質を変え、ひと回り大きな個性的企業になることを目指します。 |
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