ヤマハ発動機株式会社は、高圧水素タンク採用の水素燃料電池システムを搭載した燃料電池二輪車「FC-AQEL(エフシー アクエル)※」を開発し、10月23日~28日、パシフィコ横浜で開催される「第22回国際電気自動車シンポジウム(EVS22)」に参考出品する。
当社では小型パーソナル・ビークルの普及が社会全体での環境負荷低減に繋がると考えており、電動ハイブリッド自転車や100%電気で動くエレクトリックコミューターなど、クリーンなエネルギーを動力源とする製品を開発し、市場に投入してきた。燃料電池の研究についても、20年以上前から取り組み、昨年9月には、2003年に当社が独自に手掛けた「ヤマハダイレクトメタノール燃料電池システム」を搭載した燃料電池二輪車「FC-me(エフシー ミー)」(50ccクラス)を開発し静岡県に賃貸借して利用されている。
今回参考出品する「FC-AQEL」は、従来より培ってきた電動技術や制御技術、環境対応技術などを応用し、当社独自開発の水素燃料電池「ヤマハ水素燃料電池システム」を搭載した、世界の二輪車市場で汎用性の高い125ccクラスに相当する燃料電池二輪車である。
二次電池とのハイブリッドシステムによる高い効率と出力を誇りながら、燃料電池に金属セパレータを採用することにより、小型・軽量化を実現。燃料に35MPaの高圧水素タンク2本を搭載することにより、充分な航続距離を目指している。また、駆動部はエレクトリックコミューターで培った超薄型パワーユニット(YIPU)技術を応用し、後輪ハブ部に(1)超扁平ブラシレスDCモータ、(2)超小型コントローラ、(3)遊星減速機などをまとめ、さらにリアアームと一体設計することでコンパクト化を図り、二輪車の扱いやすさはそのままに動力性能と小型化を両立している。
「FC-AQEL」の開発は、環境対応技術の向上や新しい二輪車市場の創造などを目的としたものであり、今後も「ヤマハ水素燃料電池システム」と「ヤマハダイレクトメタノール燃料電池システム」、それぞれの特性を活かしながら、燃料電池二輪車の研究開発を推進していく計画である。
※FC-AQEL:FCは「Fuel Cell(燃料電池)」、AQELは「Acqua(イタリア語で水)」と「Electric(電気)」を組み合わせた造語
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