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外装のデザイン自由度と耐候性を両立する新技術 ヤマハ"フィルム・オン・グラフィックス"について

2006年4月19日発表

 ヤマハ発動機株式会社は、「3D」や「蓄光」等、従来の塗装では難しいとされてきた外装を可能にする“フィルム・オン・グラフィックス”と呼ぶ表面加工技術をこのほど開発した。“フィルム・オン・グラフィックス”では、印刷・接着剤塗布等の処理を施した特殊フィルムを加熱し、真空室内において対象部品に圧着させることにより、高精度な着色、模様をもつ外装を実現できる表面加工技術である。

 

主な特色は、

1)

従来の塗装では難しいとされてきた深みのあるデザインや高い質感表現(「3D」や「蓄光」等)ができる

2)

外装部品に必要とされる充分な耐候性、耐傷つき性を確保

3)

曲面をもつ樹脂および金属のいずれにも適用できる

4)

多種・少量やオーダーメイド生産への対応が容易になる

5)

製造時のVOC(揮発性有機化合物)を約5分の1に削減できる(部品1個あたり/当社内溶剤系塗装比)

6)

リサイクルへの対応が容易

などである。


 なお、この技術は、二輪車やATV(四輪バギー)、スノーモビルなどの屋外で使用する製品の外装部品(カバー、カウリング、フェンダー等)に幅広く適用できる。

 当社は2005年~2007年までの3年間を対象に経営課題、事業戦略、数値目標を定めた新中期経営計画「NEXT50-Phase II」を策定し展開しているが、本技術は、その基本戦略のひとつ「独自技術による差別化価値の創造」を具現化する新技術である。なお、この新技術展開の第一弾として、5月10日からヤマハ発動機販売株式会社が受注販売を開始する電動スクーター「EC-02」の特別仕様車2モデルに採用する。


“フィルム・オン・グラフィックス”を用いた電動スクーター
「EC-02」3D仕様(左)/蓄光仕様(右)



開発背景

 近年、顧客ニーズの多様化が進む中、輸送機器の分野においても、よりファッション性が高く、質感の高い商品を望む声が高まっている。二輪車においてもこの傾向が著しく、外装部品には多色・多彩なデザインやグラディエーション表現等が強く求められている。しかし、通常の塗装では、表現できる色やデザインに限界があるため、より自由度の高いデザイン表現ができる新しい技術への期待が高まっている。

 一方、絵柄印刷したフィルムを用いる表面加工技術は、塗装に比べ多彩で高い質感のデザイン表現が可能とされ、乗用車の内装や携帯電話などに実用例がある。しかし、従来のフィルム成形では外装用途に必要な耐候性や耐傷つき性を満足し、かつ樹脂や金属部品へ精度良く、端部裏までフィルムを巻き込ませて密着させることは困難であった。



技術概要

 “フィルム・オン・グラフィックス”では、特殊フィルムと、それを対象物に被せて密着させるための真空加圧成形技術を新たに開発することでこれらの課題を克服し、多彩で高い質感のデザイン表現と、外装用途に必要な耐候性の両方を満足させることに成功した。
 また、本技術は二輪車に限らず、ATV、スノーモビルなどのカバー、カウリング、フェンダーなどの外装部品に幅広く適用できるものである。

<特殊フィルム>
 “フィルム・オン・グラフィックス”に用いる特殊フィルムは、表層、中間層、印刷層、接着層からなり、立体感のある「3D」や「蓄光」などの新しいデザイン表現とともに、外装部品の表面に必要な耐候性、耐傷つき性、さらに曲面をもつ対象物を被うための充分な成形性を満足している。

<真空加圧成形>
 “フィルム・オン・グラフィックス”の工程は、真空状態の中で適温に加熱したフィルムを、対象物に被せると同時に加圧状態にすることによって密着させる。その後、廻りの不要部分をトリミングするというシンプルなもの。フィルムの温度や加圧タイミング等を制御することで、曲面をもつ対象物にも高精度で確実な密着を可能にする。従来の塗装で必要とされる「脱脂・乾燥・塗装・表面処理・グラフィック貼り」等の工程に比べ、発生するVOCの削減も期待できる。




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