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ヤマハ発動機株式会社 Revs Your Heart

電子制御スロットルなど新機構投入でサーキット性能をレベルアップ 2006年モデル ヤマハスポーツ「YZF-R6」について

2005年09月29日発表

 ヤマハ発動機(株)は、2006年ニューモデルとして、量産二輪車初の電子制御スロットル(YCC-T)採用の水冷4ストロークDOHC並列4気筒エンジンをアルミ製フレームに搭載したヤマハスポーツ「YZF-R6」を10月1日から開催の「パリ・ショー」(Mondial du Deux Roues 2005)で出展し、2005年暮より順次、欧州・北米などにて発売を開始します。

 今回の「YZF-R6」は、“サーキット最速のエクストリーム・スーパースポーツ”を照準に開発を進めてきたモデルで、サーキット走行からワインディングロードまでカバーする優れた性能を、オリジナリティ溢れる新ボディに具現化させています。新設計の超高回転型ニューエンジン、チタン製吸排バルブ、電子制御スロットル、ツインインジェクター採用FI、スリッパークラッチ、ミッドシップマフラー、2WAY圧側減衰調整機構付前後サスペンションなど、随所に先端技術を投入しました。



製品写真

2006年モデル ヤマハスポーツ「YZF-R6」


名称

ヤマハスポーツ「YZF-R6」

発売日

2005年10月以降(欧州の各販売会社により異なります)

カラーリング

■ディープパープリッシュブルーメタリックC
■ブルーイッシュカクテルホワイト1
■ブラックメタリックX

販売計画

16,000台(EU圏内、2006年)



市場背景と製品概要

 YZF-R6初代モデルは1998年のインターモトでデビュー、翌年より欧米で発売し、“ワインディングロードで最も速いエキサイティング600cc”といったコンセプトと実際の性能が支持を集め、ミドルクラスのスーパースポーツの新基準を築きました。
 さらに2003年型のYZF-R6ではフルモデルチェンジで生まれ変わり、エキサイティングなエンジン性能、コーナリング性能、ボディ造形を一新、また高い環境性能などを達成させ再びセンセーショナルを巻き起こしました。こうしてYZF-R6は今日、年間9万台前後の市場規模の欧米600ccスーパースポーツを代表する機種として人気を集めています。

 さてこのクラスには、近年多くのモデルも投入され活性化していますが、マーケットからは実用的な走りの基本機能アップのニーズとともに、一層のサーキットポテンシャル、最先端技術の具現化などを望む声が広く聞かれます。この傾向の中、今回の「YZF-R6」は従来の設計思想を礎に、“サーキット最速のエクストリームスーパースポーツ”を新たなコンセプトに掲げ、次世代スーパースポーツ提唱モデルとして開発しました。モトGPマシンの技術ノウハウなど先端技術を惜しみなく投入することを通じ、サーキットからセカンダリーロードまで広いエリアをカバーする優れたコーナリング性能が持ち味となっています。



主な変更点と特徴

■エンジン関連

1)最高出力回転14,500rpmの超高回転型新エンジン
 水冷4ストロークDOHC並列4気筒・4バルブ・FI採用エンジンを新設計して搭載しました。ボアストロークは、従来比でショートストロークとなる67.0mm×42.5mmを設定しました。(従来は65.5mm×44.5mm)吸排バルブ挟み角は吸気側を14度から11.5度へ、排気側を14度から12.25度に変更、これに吸気側27mm/排気側23mm径バルブ(従来は25mm/22mm)を組込んだ小型燃焼室を設けました。12.8の高圧縮比から14,500rpmで最高出力を発揮します。(自然吸気状態、従来は13,000rpm)なおボア拡大ながらも独自の鋳造技術とダイレクトメッキシリンダーの採用で、ボアピッチは従来同一サイズのスリムなエンジンとなっています。

2)量産二輪車初めての電子制御スロットル(YCC-T)
 マン・マシン・インターフェイスを最新電子制御技術で具現化するヤマハの新たな技術思想、“ジェニック”(G.E.N.I.C.H.)から生まれた新フィーチャー、YCC-T(YCC-T/ Yamaha Chip Controlled Throttle)を採用しました。超高回転型新エンジンの性能を効果的に引き出すため、全回転域で好レスポンスを達成する電子制御スロットルで、量産二輪車としては世界初のフィーチャーです。
 ライダーのアクセル操作を検知しECUユニットが最適スロットルバルブ開度を瞬時に演算し、モーター駆動でスロットルバルブを作動させ、積極的に吸入空気量制御を行うのが特色となっています。コントロールユニットには従来型の5倍相当の容量となる3CPU搭載ECUを採用、高速制御を実施してライダーの微妙な感覚に呼応するレスポンスを達成しました。とくに、スロットルバルブ開度を最適制御することで駆動トルクカーブと吸気流速の最適化を図り、高回転型エンジンの既成イメージを払拭する滑らかなコントロール性を引き出しています。

3)ツインインジェクター採用フュエルインジェクション(FI)
 高回転域での優れた燃料供給を行うため、モトGPマシンで実績のあるセカンダリーインジェクター(ツインインジェクター)を採用しました。メインのインジェクターは回転全域を受け持ち、中速から高速域ではセカンダリー側の燃料噴射が加わり、優れた出力特性とドライバビリティを引き出しています。

4)チタン材採用吸排バルブ
 高回転化に対応して優れた信頼性を確保するため吸排バルブにはチタン材を採用しました。軽量かつ疲労強度に優れるのが特色で、ロス馬力低減と優れた信頼性を確保しました。またヘッド廻りはチタン材の強度特性を活かした最適設計でコンパクト化を促進させました。バルブを支持するリテーナーにはアルミ製を採用し軽量化を図りました。

5)車体とのベストバランスを具現化した新3軸配置
 この新エンジンでは、フレームとの相互位置関係の最適化を狙い、クランク・メイン・ドライブの3軸座標を最適化しました。従来の2003・2004年型比でクランク軸は3mmアップ、メイン軸をやや下げ、即ち現行比でやや偏平となる三角配置を設定しました。この配置は、ヘッドパイプ・ピボット・リアアクスルを結ぶマシンのロール軸に沿う直線的な新フレームの形状達成に貢献しています。

6)スリッパークラッチの採用
 コーナー進入時のシフトダウン操作でのマシン挙動安定化を図り、滑らかなコーナー進入性を引き出すため、スリッパークラッチを採用しました。後輪側からクランク側へトルクがかかると、クラッチプレートの押し荷重を変化させトルクの伝達を制御します。

7)ミッドシップマフラー及び EXUP
 優れた排気効率とマス集中・そして空力特性に優れるミッドシップマフラーを採用しました。前後長がショートな新エンジンとロングリヤアームから生まれるエンジン後部スペースを活用した設計で、外観を印象づけるポイントとなっています。
 また、排気管内の排気脈動を制御して吸排気効率アップを図るEXUP(エグザップ)を600ccスポーツモデルとして初採用しました。4本のエキパイが集合した部分にEXUPバルブ1枚を設けるコンパクト設計を行い、EXUPボディは軽量チタン材を採用しました。

8)その他の特色
 (1)フォースド・エア・インテーク、(2)セミ油圧テンショナー採用カムチェーン、(3)両側吸込型オイルポンプ及び同軸ウォーターポンプ、(4)ワンウエイ一体式小型ACマグネトー、(5)クロスレシオ6速ミッション、(6)マグネシウム製ヘッドカバー・ケースカバー、(7)ラムダセンサー付き三元触媒、などを採用しました。


■車体関連

1)新デルタボックスフレーム
 新設計アルミ製デルタボックスフレームを採用しました。モトGPマシンYZR-M1のノウハウを反映させたエンジン懸架位置の最適化、リヤアームを含めた縦/横/ねじれの剛性バランス最適化により、リニアでスポーティなハンドリングを達成しています。
 YZF-R1同様の金型鋳造&プレス材のハイブリッド構成のこの新フレームは、2005年型YZR-M1同様、エアインダクション用通路がヘッドパイプ部付近を直線的に貫通するレイアウトを採用しています。またフレーム内側をエアクリーナースペースとして活用しました。タンクレール部も、ロール軸へ接近させる配置としてねじれ特性の最適バランスを達成しました。

2)トラス+ボックス構造のリアアーム
 新設計リアアームもフレームと同様金型鋳造とプレス材のハイブリッドとし、従来比で縦剛性をややアップさせ約1kgの軽量化を達成しました。またピボット軸位置を従来比で20mmアップさせ、アンチスクワット効果を向上。旋回時の挙動変化を抑え優れた走行性を引き出しています。

3)前輪分布荷重52.5%設定
 新フレーム及び各ディメンション変更、ミッドシップマフラーの採用、テール廻りのスリム化により、前輪分荷重は現行比1%増でモトGPマシンに近づく52.5%を設定しました。フロント接地感を高め優れた旋回性能を引き出しています。

4)2WAY圧減衰調整機構採用の前後サスペンション

 セッティング自由度を拡大するため、(1)初期荷重調整、(2)2WAY圧側減衰調整、(3)伸減衰調整機能をもつインナーチューブ41mm倒立式フロントフォークを採用しました。新採用の2WAY圧側減衰調整機構は、高速側と低速側で別々の圧減衰力を調整ができるのが特色で、一般道とサーキットのセッティング両立を達成しています。
 リアサスペンションは、新フレームとの相互最適化を図るニュータイプを採用しました。リンク方式はボトムリンクタイプに変更し、またリンク特性の適正化、重量マス集中を図っています。さらにフロント同様、2WAY圧減衰力調整機能を装備しました。低速側と高速側でそれぞれ独立して調整でき、状況や用途に応じた減衰特性を選択できます。

5)その他車体関連の特徴
 (1)軽量アルミ製ローターブラケット&新パッド採用のフロントブレーキ、(2)インナーダクト採用アンダーカウル、(3)アルミ製リアマッドガードステー、(4)CFアルミダイキャストによるリアフレーム、(5)レース時のタイヤ交換で便利なロードレーサーTZタイプのアルミ製チェーンプーラー、(6)アルミ鍛造サイドスタンド、(7)ラップタイムモニター、などを採用しました。



2006年モデル ヤマハスポーツ「YZF-R6」主要諸元

 全長×全幅×全高  2,040mm×700mm×1,100mm
 シート高  850mm
 軸間距離  1,380mm
 乾燥重量  161kg(1人乗り仕様)/162kg(2人乗り仕様)
 原動機種類  水冷・4ストローク・DOHC・4バルブ
 気筒数配列  並列4気筒
 総排気量  599cm3
 内径×行程  67.0mm×42.5mm
 圧縮比  12.8:1
 最高出力  93.4kW(127PS) /14,500r/min
 最大トルク  66N・m(6.7kgf・m)/12,000r/min
 始動方式  セル式
 燃料タンク容量  17.5L
 燃料供給  電子制御(ツインインジェクター)
 タイヤサイズ (前/後)  120/70ZR-17M/C 58W/180/55ZR-17M/C 73W

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