ヤマハ発動機(株)は、水冷4ストロークDOHC・並列4気筒4バルブ1300cc・FI採用エンジンを搭載し“欧州縦断ツアラー”としての高い性能で人気の「FJR1300A」の2006年モデルを設定、また新たに上級機種として「FJR1300AS」を設定し発売する。10月1日から開催の「パリ・ショー」(Mondial du Deux Roues 2005)で出展します。
なお「FJR1300AS」には、クラッチ操作なしでシフトチェンジが可能なYCC-S(Yamaha Chip Controlled Shift)を装備してツーリング機能を向上させています。 |
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2006年モデル ヤマハスポーツ「FJR1300A/AS」(写真はAS) |
名称 |
ヤマハスポーツ「FJR1300A」「FJR1300AS」 |
発売日 |
2005年10月以降(欧州の各販売会社により異なります) |
カラーリング |
「FJR1300A」
■ブルーイッシュシルバー4
■イエローイッシュグレイメタリック9
■ダークパープリッシュブルーメタリックU
「FJR1300AS」
■ブルーイッシュシルバー4
■イエローイッシュグレイメタリック9
■ダークパープリッシュブルーメタリックU |
販売計画 |
9,200台(シリーズ合計、EU圏内、2006年) |
欧州での大排気量ツアラー(751cc以上)市場は、2000年頃までは年間2万台前後で推移していましたが、2001年以降年間3万台規模に拡大、この市場拡大の牽引役となったのが2001年にヤマハが投入したFJR1300です。
FJR1300は《タンデムで10日間3,000kmレベル》のツーリング用途に呼応する優れた性能、高速巡航性、充実の装備に加えて“スポーツGT”と呼ばれる俊敏な運動性能をも合わせ持つキャラクターが高く支持されました。ツアラーからの代替、他カテゴリーからの乗換を含め幅広いユーザーの支持を得ています。(ABS装備の「FJR1300A」は2003年から設定)
今回の2006年モデルは、上記実績を背景に、FJR1300ならではの「優れたエンジン性能」「高次元の走りの基本性能」の持ち味を継承し“世界水準の欧州縦断ツアラー”をコンセプトに熟成を図った製品です。この意図に沿い随所に最新技術を投入し、(1)環境性能と走行性能の調和、(2)快適性&安心感の向上、(3)先進技術投入による利便性向上などを図りました。
とくに「FJR1300AS」に搭載のYCC-Sは、クラッチ操作を全て電子制御で自動化するシステムで煩雑なクラッチ操作が不要です。スムーズな加減速特性を達成し、ギアチェンジのショックが殆どない快適な乗り心地を実現しています。 |
■エンジン関連
1)YCC-S (Yamaha Chip Controlled Shift)の採用(FJR1300ASのみ)
マン・マシン・インターフェイスを最新電子制御技術で具現化するヤマハの新たな技術思想、“ジェニック”(G.E.N.I.C.H.)から生まれた新フィーチャー、YCC-Sを採用しました。ツアラーとしてのラグジュアリー性を高め、スポーティな走行をサポートし、また市街地渋滞走行での煩雑なクラッチ操作を解消するために新開発したシステムです。YCC-S標準装備の「FJR1300AS」ではクラッチレバーの装備はなく、ギア操作は従来のシフトぺダル位置にあるフットシフトスイッチで行い、切り替えモードスイッチで左スイッチボックスのハンドシフトスイッチの追加選択が可能、何れかで操作します。
従来のクラッチ操作は不要となり、YCC-Sはエンジン回転数とスロットル開度に応じてクラッチの動きを最適に制御し、微速発進から加速、減速、全開加速まで各状況に応じスムーズな走行性を引き出しています。YCC-SのECUへは走行中、エンジン回転数、車速、ギアポジション、スロットルポジションセンサー(TPS)などからの情報が常に伝達され、ライダーのギア選定に対し瞬時に演算処理を行いクラッチ系とシフト系へ作動指示を行います。
クラッチ系では、クラッチアクチュエータがプッシュレバーを動かし最適なクラッチストローク状態を作りだします。一方シフト系ではシフトアクチュエータがシフターを作動させ、スムーズかつ効率的なギアの入れ替えを行います。さらにシフトアップ時には、点火時期を最適化してエンジン回転数を調整し、効率的で滑らかなギアチェンジを促進します。
なおYCC-SはFI制御、ABS制御の情報もリンクさせて優れた快適性を得ています。また「自動シフトアップ&ダウン」の機能は織り込まずライダーが積極的にシフト操作を楽しめるものとしました。このYCC-S搭載により(1)市街地走行時での煩雑なクラッチ操作解消、(2)スムーズな加減速特性、(3)ギアチェンジ時車体挙動の大幅低減と快適な乗り心地、(4)シフト操作利便性拡大(ハンド操作の選択肢追加)、などのメリットを生み出しました。
2)ヒーター付きO2センサー採用
現行モデルの【FI+排気2次空気導入+三元触媒】をベースに、排気系及び制御系に新アイテムを織り込み優れた排ガス性能を達成しました。まずエキゾーストチャンバー部のハニカム触媒はプラチナ及びロジウムのコーティング量をアップ、さらに新たにサイレンサー部にハニカム触媒を配置してより浄化機能を高めました。また制御系では、ヒーター付きO2センサーを採用しました。暖機運転直後など排ガス温度が比較的低いときの感知能力を向上させ、ECUへのフィードバック領域を拡大し、より良好な燃料供給を実現しました。これらにより、欧州規制値(EU-3)を余裕をもってクリアーする優れた環境性能を実現しています。
3)新形状ラジエター及びインレット形状変更
ラジエター形状は現行のフラット型に替えて、ツインファン装着のラウンドタイプに変更し、渋滞時の排熱性向上を図りました。またラジエター熱のライダーへの影響を最小限に抑えるため、エアインレット及び遮熱板を追加し、車体内部の熱流れを大幅に改善しました。
■車体関連
1)ライダープロテクション効果の向上
優れたライダープロテクション効果を得るため、電動可動式スクリーンの可動幅を現行の80mmから130mmに(従来比60%アップ)拡大しました。またライダーの膝や腹部廻りの走行風巻き込みを抑止するため可動式ミドルカウル(サイドカウルバイザー、幅方向30mm2段階調整可能)を新たに採用し、良好なライダープロテクション効果を達成しました。
2)可変ライディングポジション機能
ハンドル位置、シート高を調整できる可変ライディングポジションを採用しました。ハンドルは前後方向に3段階(前後方向合計11mm)調整可能、またメインシートは上下方向に2段階(20mm)アジャスタブル式としました。
3)ユニファイドブレーキシステムの採用
優れたブレーキフィーリングを達成するため、リアブレーキの油圧に応じてフロント側のブレーキ油圧を発生させるユニファイドブレーキシステムを採用しました。ABSとの相乗効果で優れたツーリング機能を実現しています。
フロント4ポットキャリパーの中で、リアブレーキ操作に連動するのは、右下側の対向ピストンです。フロントブレーキ操作では、残りの6個のピストン(右側キャリパー上側の対向ピストン、及び左側4個)が作動して優れた制動力を引き出します。
4)ボディデザイン一新、その他変更点
このほか、(1)“インテリジェント・ハイパフォーマンス・ツアラー”を主張する新ボディデザイン、(2)新作リアフレーム、(3)グレード感が高く視認性に優れた新作メーター(走行時の瞬間燃費計と平均燃費計、及び外気温表示機能付き)、(4)前後ホワイトレンズ採用フラッシャー、(5)新作ヘッドライト(手元光軸調整ノブ付き)、(6)新作テールライト、(7)12V電源ソケット装備、(8)グリップウォーマー装備(FJR1300ASのみ採用)、などが変更点となっています。 |
全長×全幅×全高 |
2,230mm×750【745】mm×Low=1,315mm~High=1,450mm |
シート高 |
800mm |
軸間距離 |
1,545mm |
乾燥重量 |
264kg【268kg】 |
原動機種類 |
水冷・4ストローク・DOHC・4バルブ |
気筒数配列 |
並列4気筒 |
総排気量 |
1,298cm3 |
内径×行程 |
79.0mm×66.2mm |
圧縮比 |
10.8:1 |
最高出力 |
105.5kW(143.4PS)/8,000r/min |
最大トルク |
134.4N・m(13.7kgf・m)/7,000r/min |
始動方式 |
セル式 |
燃料タンク容量 |
25L |
燃料供給 |
電子制御フュエルインジェクション |
タイヤサイズ (前/後) |
120/70ZR-17 58W/180/55ZR-17 73W |
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