ヤマハ発動機(株)は、2004年9月より公道走行調査を実施している「ヤマハ ダイレクトメタノール燃料電池(DMFC)システム」を搭載した「FC06 PROTO」の成果を踏まえ、信頼性や航続距離など、性能を熟成させた燃料電池二輪車「FC-me(エフシー ミー)」を開発しました。
本車輌は、限定された地域や対象に貸し出しを行い、モニター使用することで燃料電池二輪車のさらなる技術開発の促進を目指しています。
なお、本車輌は2005年9月16日より、静岡県に1台を賃貸借する予定です。
この度の「FC-me」の開発は、
(1)環境対応技術の向上
(2)新しい二輪車市場の創造
(3)新しい動力源開発による将来の新たな事業展開
を目的としたものであり、本年1月に当社が発表した新中期経営計画「NEXT50-Phase II」の3つの課題のひとつ“成長機会の取り込み”に位置づけた「新規ドメインの事業化推進」を具現化したものです。
燃料電池の燃料は水素ガスを使用するシステムが一般的ですが、コンパクトに仕上げるのが困難です。当社が開発した「ヤマハDMFCシステム」では、液体であるメタノール水溶液を燃料とし、改質器や圧力容器を必要とせず、出力1kW以下の小型機器に応用した場合、出力特性を落とさずに軽量化できるというメリットがあります。
このたび性能を熟成させた「FC-me」車輌の特徴(公道走行車輌「FC06 PROTO」との比較)は、燃料電池システムの制御パラメータの最適化を行ったことにより、エネルギー交換効率が1.5倍(50ccガソリン二輪車と比較し1.8倍)を実現しました。また、車輌全体の構成部品の見直しなどにより、車輌重量が69kgと約6kgの軽量を図り、当社が市販中のエレクトリックコミューターと同レベルまで始動性・操作性を向上しています。
当社では高効率なエネルギー変換器として注目されている燃料電池の開発に20年以上前から取り組んできました。昨年9月には二輪車として初めてナンバーを取得し公道走行を開始し、さまざまな調査や確認、また環境に関わるデータの収集などを行っています。
今後も実際の使用場面に近いモニター使用での結果を活かしながら研究開発をさらに加速させ、将来のリース販売や市場導入を視野に入れて開発を進めていく計画です。 |