ヤマハ発動機(株)は、水冷4ストロークDOHC単気筒5バルブのコンパクトエンジンを搭載し高い戦闘力を備えたモトクロッサー「YZ450F」と「YZ250F」について、新設計軽量アルミ製フレーム採用し、市販モーターサイクル初のチタン製リアサスペンションスプリング採用などで熟成を図った06年モデルを設定し「YZ250F」は05年9月20日より、「YZ450F」は11月25日より発売します。 |
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ヤマハモトクロッサー「YZ450F」 |
名称 |
ヤマハモトクロッサー「YZ450F」「YZ250F」 |
発売日 |
「YZ450F」2005年11月25日
「YZ250F」2005年9月20日 |
カラーリング |
■ディープパープリッシュブルーソリッドE(ブルー) |
2006年モデルYZ450F及び YZ250Fは“戦闘力No1&クォリティNo1を具現化する4ストロークモトクロッサー”を主題に開発したモデルです。両モデルとも、エンジン関連の熟成を図るとともに、新設計軽量アルミ製フレームを採用しました。さらに軽量チタン製スプリング使用のリアサスペンションを採用するなど新仕様を織り込み一段と戦闘力を高めました。
2006年モデルYZ450Fのエンジンは、(1)パワフルながらも扱い易い特性、(2)より幅広い用途に対応したレシオ設定(4速から5速へ変更)(3)フィーリング改善などを実現。車体関連では、(1)コーナー進入時の扱い易さ向上、(2)高速での車体安定性向上、(3)ライトウエイトフィーリングの向上などを達成するため、随所に新技術を織り込みました。
YZ250Fについても、エンジン関連の熟成を図るとともに、YZ450F同様の車体仕様を採用し戦闘力に磨きをかけるとともに、外観クォリティのレベルアップを図りました。 |
■YZ450Fのエンジン関係
1)マス集中に貢献する新ドライサンプ方式
ドライサンプ方式のオイル潤滑は、新たにクランクケース内部にオイルタンクをもつ方式を採用し、良好なオイル潤滑性とマス集中を達成しています。従来方式のタンクインフレームで不可欠だったパイプ類がなくシンプル設計となっています。これらによるマス集中は、新フレーム及びディメンション最適化との相乗効果でライン取りの自由度が広い軽快なハンドリングに貢献しています。
またピンポイントでピストン裏側にオイルを吐出するピストンクーラーを採用し信頼性を確保しました。なお、シリンダーヘッドまでを潤滑するオイル通路をシリンダー内に配し、信頼性を高めました。
2)シリンダー前傾角の最適化
マス集中による優れた車体バランスを引き出すためシリンダー前傾角をややたてるとともに、ライダーにより近いポイントに重心を置く設計としました。新フレーム及び各ディメンション設定の効果とともに、最適なボディ重量バランスを達成しました。
3)吸気系の新設計
新設計のエアクリーナーボックスと新エンジンとの最適化を図る新作エアクリーナージョイントを採用しました。またサイドカバーのダクトもこれに合わせて新設計し、優れた吸気効率を実現しました。
リニアな応答性が特徴の加速ポンプ付FCR-MX39キャブレターは、新設計吸気系との最適化を図りセッティングを変更しました。また前傾角を変更したシリンダーに合わせて吸気ポート形状の最適化を行ないました。
4)バランサー量最適化による1次慣性力への最適バランス対応
低振動で扱い易い特性を引き出すために新設計50%バランサーを採用しました。一般に単気筒ではピストンとコンロッドの往復運動で生じる振動を感じ難くするため、クランク軸の斜め上方にバランサー軸を設けクランクに対し逆回転させエンジン慣性力を打ち消す方法が取られています。現行のYZ450Fでは50%からある割合を割愛したバランサーを採用することで、ドラビリと低振動を両立させていました。06年モデルの新エンジンでは、新作高強度コンロッド、新作高強度ピストン、高密度材バランサーウエイト、及びクランク慣性マスの最適化によりコンパクト化とジャスト50%バランサーの採用を達成しました。450ccならではの優れたパワーフィーリングと低振動、扱いやすさを実現しています。またバランサー軸のギアは高歯ギアを用いてメカノイズ低減を行いました。
5)新設計軽量ラジエターの採用
ラジエターは、幅・高・厚それぞれのスペックを見直し小型化を達成しました。同時にエア導入フィンの最適化により走行風の効果的な熱流体特性を実現し、軽量化とともに従来同一の冷却性を確保しました。またステアリングまわりの軽快な特性に貢献しています。
6)新設計エキパイ及びマフラーの採用
前傾角を変更した新エンジンとの最適化を図りかつマス集中を図るために、新レイアウトのマフラーを採用しました。また新競技規則に適合させるためのスペックを実現しました。さらにスムーズかつ伸びのある特性を出すためにエキゾーストパイプ部にはプレチャンバーと呼ぶ膨張室を設けています。
7)5速ミッションの採用
クローズドコースでの競技からオープンエリアでのデザートレースまで、多くの用途に呼応するとともに、競技中の環境変化に対応するため新5速ミッションを採用しました。これで滑らかな駆動特性を一層生かした走行が可能となっています。
8)新C.D.I.ユニット
新エンジンの特性を効果的に引き出すため、進角特性を見直した新C.D.I.ユニットを採用しました。優れたドライバビリティに寄与しています。
■YZ250Fのエンジン関係
1)排気脈動を一層活用した排気系の設計変更
良好なスロットルレスポンス、及び低・中回転域での一層優れた特性を引き出すために、排気系のスペックを見直しました。排気圧の脈動振幅をより増幅させるために従来の2段膨張に替え4段膨張タイプを採用しました。排気脈動による充填効率を一層高め出力特性改善を図りました。あわせて新排気系スペックとの最適化を図るため、FCR37キャブレターのセッティングを変更するとともにC.D.I.進角特性変更を行ないました。
なお、排気系のスペック変更(4段膨張)と新フレームとの最適化を図るため、エキパイとディフューザーパイプの通しを変更しました。また競技規則変更に対応しサイレンサー外筒のサイズ変更を行いました。
2)別体オイルタンク採用の新ドライサンプ方式
ドライサンプ方式のオイル潤滑は、エンジン前方部に別体タンクをもつ新方式を採用し、重心マスをより低くしました。あわせてクランクケースのストレーナー室形状を変更してオイル循環経路を改善しました。ストレーナー室形状変更でケース容量が拡大し、オイル攪拌抵抗を減少させポンピングロス低減を図りました。なお、オイルタンクへの配管、クランクケース締め付けボルト廻りデザイン変更、などを行なっています。
3)大容量ラジエターの採用
ラジエターはYZ450Fと同サイズのニュータイプを採用し、現行モデル以上の優れた冷却性能を達成し信頼性を確保しました。
4)その他の変更
その他、新しいアルミ製フレームに対応し(1)TPS(スロットルポジションセンサー)取り付け位置変更、(2)コールドスターターノブ形状小型化、(3)キッククランク形状変更、などを行ないました。 |
1)新設計軽量アルミ製セミダブルクレードルフレームの採用
優れた旋回特性による高次元な戦闘力を引き出すため、新設計軽量アルミ製セミダブルクレードルフレームを採用しました。フレーム上下の大物のアルミは鍛造素材で構成し、これで鋳造部分をサンドイッチしている構造となっています。本モデル(YZ450F/YZ250F)では合計9点、4種類のアルミ材(鋳造材、鍛造材、パイプ材、押し出し材)を最適に配し、高度な溶接技術によりひとつのユニットとして完成させフレームに適度な“しなり”特性を持たせ、優れた剛性強度バランスと機能美を達成しました。
なお、05年型2ストロークYZ250のアルミ製フレーム比で縦方向の剛性をほぼ同様、横剛性と捩じり剛性をアップさせ、4ストロークの駆動特性に見合う優れた剛性バランスを実現しました。特に挙動の安定化を引き出した他、直進安定性、ライダー疲労低減、制動時の車体安定性、軽快な取り回し性など、数々のメリットを引き出しました。
2)市販モーターサイクル初のチタンスプリング採用リアサスペンション
リアサスペンションには、疲労強度と靭性に優れるβ(ベータ)チタン材をスプリングに使用した新タイプを採用しました。このチタン材は、コイル状へと加工する前・後の2度にわたり熱加工を行う独自の工法により、優れた強度・疲労強度を達成しています。現行スチール製比較で、コイル本体で500g軽量化が可能となり、バネ下重量低減による優れた性能を引き出しました。
また、ダンパーロッドは16mm径から18mmに変更しオイル移動量アップを図り、減衰特性を改良、特に低速域の特性向上を行ないました。さらにガス室容量30%アップによる性能安定化、カシマコーティング処理(現行はアルマイト)によるフリクションロス低減、これらの効果で優れた性能を引き出しました。
3)新設計リヤアーム
アルミ材に内側から高圧を加え最適形状に加工することで滑らかな形状精度が特色のハイドロフォーミング工法(02年モデルから採用)によるリヤアームは、ピボット周辺部の鋳造部品の左右バランス見直しと、横剛性アップを行い優れた車体バランスを引き出しました。(06年モデル2ストロークYZ250/YZ125共通)
4) ディメンション変更による低車高化
新フレーム採用と連動して新ディメンションを採用しました。マス集中を図るとともに、低車高化が特徴となっています。低車高化は、ライダーに扱いやすさをもたらす車格のコンパクト感に繋がっています。
5) 内部構造最適化を図った倒立式フロントフォーク
カートリッジ室への空気混入を防ぎ性能安定化を図るエア・オイル・セパレートシステム(気液分離型)の48mm倒立式フロントフォークは、細部の仕様を変更しました。(1)アウターチューブ及びインナーチューブの剛性バランス変更、(2)加圧タンクへのカシマコーティング採用、(3)ポリッシュカシマコートによりフリクション低減を図ったピストンロッド、(4)シリンダー径変更(25mm→24mm)による1次減衰力特性の改良、(5)低フリクションのオイルシール採用、(6)2次減衰力発生システムの変更などを行ないました。
なおインナーチューブにはボトムに向けてシリンダーがインナー下端のテーパーピースに進入し減衰力の最適化を図るTCV(Transfer control valve)を継続採用。これらの相乗効果で優れた減衰力特性を引き出しました。
6)剛性バランスの最適化を行なったフロント廻り
アルミ鋳造ハンドルクラウンは、現行比で縦・捩れ・方向の剛性をアップ。アルミ鍛造アンダーブラケットは横方向の剛性を現行同一としつつ、縦・捩れ方向の剛性はそれぞれ約1~2割アップしました。この相乗効果で、優れた車体バランスを実現しました。
7)アルミテーパーハンドル、ハンドルポジション可変式の採用及び新シート素材
アルミ製ハンドルバーは、プロテーパーの新パーツを採用しました。現行モデルのハンドルよりも軽量タイプとなっています。またハンドルクラウンとハンドルマウントブラケットは別体設計を行い、中心軸をオフセットさせました。これによりブラケット側の前後向きを変えれば前後2段階にハンドルのポジションを変更することが出来る仕組みとなっています。
またシートクッションは、コンフォート性に優れた新素材を採用しました。初期に柔らかさがあり、沈み込んでいくに従い身体にフィットしホールドする特性が特色です。なお、この新素材の効果を引き出すため、クッション厚を現行より厚く確保しています。またシートの接合部には盛り上がりのないフラットになる処理を行ない、良好な外観品質と乗り心地の良さを両立させました。
8)その他、新ブレーキ関連パーツ及び新ボディ外装
そのほか新作リアブレーキキャリパー、パッド材質変更リアブレーキパッド、及び新作キャリパープロテクター、新作ディスクカバーを採用しました。さらに外装パーツ類は、ナンバープレート、フロントフェンダーにニューデザイン部品を投入して、次世代を彷彿させるボディ外観を採用しています。(いずれも車体の仕様は06年モデル2ストロークYZ250/YZ125共通) |
全長×全幅×全高 |
2,192mm×815mm×1,299mm |
シート高 |
996mm |
軸間距離 |
1,494mm |
最低地上高 |
370mm |
乾燥重量 |
99.8kg |
原動機種類 |
水冷・4ストローク・DOHC・5バルブ |
気筒数配列 |
単気筒 |
総排気量 |
449cm3 |
内径×行程 |
95.0mm×63.4mm |
圧縮比 |
12.3:1 |
最高出力 |
44.1kW(60.0PS) /9,000r/min |
最大トルク |
52.9N・m(5.4kgf・m) /6,500r/min |
始動方式 |
キック |
潤滑方式 |
ドライサンプ |
エンジンオイル容量 |
1.2L |
燃料タンク容量 |
7.0L |
キャブレター形式 |
FCR-MX39×1 |
点火方式 |
C.D.I. 式 |
1次減速比/2次減速比 |
2.652/3.769 |
クラッチ形式 |
湿式多板コイルスプリング |
変速機形式 |
常時噛合式前進5段 |
変速比 |
1速/1.929 2速/1.533 3速/1.278
4速/1.091 5速/0.952 |
フレーム形式 |
セミダブルクレードル |
キャスター/トレール |
27.2°/117.5mm |
タイヤサイズ (前/後) |
80/100-21 51M/110/90-19 62M |
ブレーキ形式 (前/後) |
油圧式シングルディスク/油圧式シングルディスク |
懸架方式 (前/後) |
テレスコピック/スイングアーム |
全長×全幅×全高 |
2,165mm×815mm×1,292mm |
シート高 |
980mm |
軸間距離 |
1,473mm |
最低地上高 |
369mm |
乾燥重量 |
93.5kg |
原動機種類 |
水冷・4ストローク・DOHC・5バルブ |
気筒数配列 |
単気筒 |
総排気量 |
249cm3 |
内径×行程 |
77.0mm×53.6mm |
圧縮比 |
12.5:1 |
最高出力 |
30.9kW(42.0PS) /10,500r/min |
最大トルク |
28.4N・m(2.9kgf・m) /8,500r/min |
始動方式 |
キック |
潤滑方式 |
強制圧送ドライサンプ |
エンジンオイル容量 |
1.4L |
燃料タンク容量 |
7.0L |
キャブレター形式 |
FCR-MX37×1 |
点火方式 |
C.D.I. 式 |
1次減速比/2次減速比 |
3.353/3.769 |
クラッチ形式 |
湿式多板 |
変速機形式 |
常時噛合式前進5段 |
変速比 |
1速/2.143 2速/1.750 3速/1.450
4速/1.227 5速/1.042 |
フレーム形式 |
セミダブルクレードル |
キャスター/トレール |
27.30°/118.4mm |
タイヤサイズ (前/後) |
80/100-21 51M/110/90-19 57M |
ブレーキ形式 (前/後) |
油圧式シングルディスク/油圧式シングルディスク |
懸架方式 (前/後) |
テレスコピック/スイングアーム |
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メーカー希望小売価格 |
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ヤマハモトクロッサー「YZ450F」 |
750,750円 |
(本体価格715,000円/消費税35,750円) |
ヤマハモトクロッサー「YZ250F」 |
630,000円 |
(本体価格600,000円/消費税30,000円) |
※メーカー希望小売価格はリサイクル費用を含む。 |
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