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倒立式フロントフォーク採用などで熟成 ヤマハ'05年欧州向けニューモデル 「YZF-R6」第4回『インターモト』で発表

2004年09月15日発表

 ヤマハ発動機(株)は、9月15日から(プレスデーは13日より)5日間にわたりドイツで開催される『インターモト ミュンヘン 2004』(第4回国際オートバイ・スクーター専門見本市)で2005年欧州向けの新製品ヤマハスポーツ「YZF-R6」を発表展示します。

 今回発表の新「YZF-R6」では、現行モデルの優れた基本構成をベースに、(1)吸気効率アップで性能向上を図った新エンジン搭載、(2)剛性バランス最適化を行なったフレーム採用、(3)剛性に優れた倒立フロントフォーク、(4)ラジアルマウントフロントブレーキなどを採用しました。これらの相乗効果で、現行モデルのコンセプト“エキサイティングなベスト600ccスーパースポーツ”をそのままに、一般公道やセカンダリーロードでの優れたハンドリングをさらに進化させ、同時にクローズドコースでの大幅なパフォーマンスアップを実現しました。



製品写真

2005年欧州向けモデル ヤマハスポーツ「YZF-R6」


名称

ヤマハスポーツ「YZF-R6」

発売日

2005年2月(欧州の各販売会社により異なります)

カラーリング

■ビビットレッドカクテル1
■ダークパープリッシュブルーメタリックC
■ブラックメタリックX

販売計画

15,000台(EU圏内、2005年・年間)



製品概要

 YZF-R6は1998年9月の第1回インターモトでデビュー、'99年より欧米市場で発売し「600ccをフルに楽しめるスーパースポーツ」として高い評価を集めミドルスーパースポーツの新基準を築きました。“ワインディングロードで最も速いエキサイティング600cc”のコンセプトが支持を得て、また00年にはWSS(ワールドスーパースポーツ)でチャンピオンマシンに輝きレースの舞台でも優れた性能を示しました。また'03年モデルでは、4年ぶりのモデルチェンジを行い、9割のパーツを新設計。初代からの設計思想を継承しつつ、全身を進化させたこの現行モデルもまた多くのファンを増やしてきました。

 ところで最近の欧州でのこのクラスは、ライバル車も多く投入され活性化していますが、とりわけクローズドコースでの潜在性能を求める声も強く聞かれています。
 今回発表のYZF-R6では、初代モデルから受け継がれている“ワインディングロードで最も速いエキサイティングな600cc”という基本機能を軸としつつも、基本性能の熟成を図るとともに、サーキット走行での用途もより配慮した設計を行い、商品性アップを図りました。



主な変更点と特徴

■エンジン関連

1)スロットルボディ径の変更

  エンジン関連では、従来モデルのボア・ストローク値、圧縮比、燃料室形状などのスペックは継承しつつ、吸気系の大幅な変更により、出力向上とトルク特性の改善を行ないました。まず出力アップと高回転域での優れたレスポンスを実現するため、スロットルボディ径は現行の38mmから40mmへ拡大しました。これと連動し、FIのインジェクター燃圧をアップさせ、また噴射マップ、点火マップの最適化を行ないました。これらの相乗効果で、優れた燃焼特性を実現、優れたドライバビリティを引き出しています。
 最高出力発生回転数は従来と同一の13,000rpmを維持しつつ、約3馬力のパワーアップを達成。最高出力120PS/13,000rpm(NA:自然吸気状態)を引出しています。

2)ファンネル形状の変更
 スロットルボディ口径アップとの適合化を図るため、ファンネル口径を現行の39.4mmから41.6mmへと拡大しました。ファンネル長も1番・4番を短縮、2番・3番は現行を継続しました。このファンネル系新スペックは、特に中速回転域以降の吸排バルブオーバーラップ時の優れたトルク特性に貢献。全域でのリニアで扱い易いトルク特性を具現化しました。

3)ツインリング型ラジエターファンの採用
 性能アップしたエンジン特性を安定して引き出すため、ラジエターのファンは従来の1本ファンに替えて、ツインリング型ラジエターファンを採用しました。ラジエター廻りのスペース効率に優れ、フロントタイヤサイズ変更など車体関連との最適化を合わせて実現しています。


■車体関連

1)剛性バランスを変更した「デルタボックスIIIフレーム」
  “デルタボックスIIIフレーム”は、外観及び基本設計は継承しつつ細部の剛性バランスを見直しました。リヤ・サスペンション下側リンクの取り付け廻りのアルミ材肉厚を段階的に厚くし、剛性バランスの最適化を図りました。

2)倒立式フロントフォークの採用
 優れた操縦安定性と制動時の優れた安定性を確保するため、初期荷重調整、圧縮側減衰調整、伸側減衰調整の各アジャスタ機能を備えたインナーチューブ41mm倒立式フロントフォークを採用しました。なお優れた剛性バランスを確保するため、インナーチューブ外径、インナーチューブ板厚、アウターチューブ外径、これら相互最適化を行いました。
 新作アルミ製鋳造ハンドルクラウン、アルミ鍛造アンダブラケットと連動させ高縦剛性フレームとのコンビネーションを生み出し、特にコーナー進入時の安定性に優れたハンドリングを引き出しました。

3)リアサスペンションの仕様変更
 新ディメンション及びフロント倒立サスペンションとの最適マッチングを図るため、リアサスペンションは、リンクレバー比の変化率、リンク剛性、バネレート等を変更しました。

4)フロント70偏平ラジアルタイヤ採用
  優れたドライバビリティを実現するため、フロントタイヤのサイズを現行120/60 ZR17 M/Cから、プロフィール部面積が広く設計自由度の広い120/70 ZR17 M/Cに変更しました。

5)新設計フロントブレーキの採用
  優れた効力とコントロール性を照準に開発した新ブレーキシステムを開発しました。フロントブレーキは現行の298mm/t5を廃止し、新作の軽量310mm/t4.5mmを採用しました。YZF-R1と同一外観のディスクローターは、本モデル用の専用設計品で、操安性に直結するフロント廻りのジャイロモーメントの最適化に貢献しています。(YZF-R1は320mmディスク)
 キャリパーには、ラジアルマウント式を採用、これに合わせ新作の軽量・高剛性アクスルブラケットを採用しました。さらにマスターシリンダーには、ラジアルポンプ式を採用、新作ブレーキレバーも採用しました。これら主要3系統に新たなパーツを投入し、ホース膨張率からレバー比まで総合的なシステム剛性の最適化を図り高次元のブレーキ性能を実現しました。

6)その他の変更点
 (1)サイドスタンド仕様変更、(2)アンダーカウル仕様変更、などを行ないました。



2005年欧州向けモデル ヤマハスポーツ「YZF-R6」仕様諸元

 全長×全幅×全高  2,045mm×690mm×1,105mm
 シート高  830mm
 軸間距離  1,385mm
 乾燥重量  163kg
 原動機種類  水冷・4サイクル・DOHC・4バルブ
 気筒数配列  並列4気筒
 総排気量  600cm3
 内径×行程  65.5mm×44.5mm
 圧縮比  12.4:1
 最高出力  88.2kW(120HP)/13,000rpm
 最大トルク  66.4N・m(6.78kgf・m)/12,000rpm
 始動方式  セル式
 燃料タンク容量  17L
 燃料供給  電子制御フュエルインジェクション
 タイヤサイズ (前/後)  120/70ZR-17M/C 58W/180/55ZR-17M/C 73W 


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