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静岡県袋井市の工業用地の取得について -新規事業の研究施設・工場用地として活用-

2004年03月02日発表

 ヤマハ発動機株式会社は、このたび、静岡県袋井市にある工業用地を取得し、新規事業の研究施設ならびに工場を建設することを決定しました。
なお正式契約は、土地取得に関する事務手続きが終了する4月以降となる予定です。契約予定地は、袋井市が工業団地用に造成を行なっている「久能工業団地」の一区画であり、取得面積は、約37,367m2の予定です。


 この新規事業は、環境負荷が無く天然植物である微細藻類の「光合成」機能を生かし、農林水産や食品・化粧品などの各分野において有用な高付加価値物質を生産する「植物系バイオ関連事業」であり、袋井市のめざすまちの姿「ともに創り 未来に輝く 日本一健康文化都市 ふくろい」の理念と合致するものです。


 なお当社のバイオ関連事業は、地球温暖化をはじめとする環境問題への対応として、微細藻類を活用し、CO2を資源として有効利用する生物工学的研究(バイオテクノロジー)から生まれてきたものです。その研究において、(1)高機能な微細藻類の探索育成、(2)培養水の構成成分を最適条件とする水環境制御技術、(3)高効率で高濃度の大量培養を可能とする光合成装置「フォト・バイオ・リアクタ」の開発など、ヤマハ独自の藻類培養システムを構築しました。


 この藻類培養システムにより、貝類・甲殻類の水産養殖における幼生期に必須な希少水産飼料で、これまで高濃度で大量培養が非常に難しいとされていた珪藻「キートセラス・カルシトランス」を従来濃度の6倍まで高めて大量培養することに日清オイリオ株式会社との共同研究で成功し、昨年よりテスト販売を実施しています。今後は、さらに藻類培養システムを発展・活用することで、希少水産飼料だけでなく、機能性物質などを研究開発し、様々な有用物質を培養(生産)してまいります。


 なお日本のバイオテクノロジー戦略大綱には、健康医科学に焦点をあて"生きる・暮らす・食べる"という衣食住において、新たな産業を創生する方針があります。特に21世紀は、自然環境にむけて住みやすい地球に貢献することが世界産業界の使命でもあり、バイオ関連産業への期待も日増しに高まっています。今後克服するべき課題やテーマはありますが、この独自の藻類培養システムの技術をさらに高めることで、産業創生ならびに社会貢献に努めていきます。

ご参考


(1)微細藻類について
約36億年前に誕生したラン藻類が祖先といわれ、地球上に2~3万種類が存在すると考えられています。大きさは3~100μm 程度のものが多く、乾燥して光が届かない環境でも2~3ヶ月間程度、生存する種類もあります。通常、海水・汽水・淡水などの水中や土壌・大気中にも存在します。


(2)光合成について
緑色植物が、光エネルギーを利用して炭素を固定することを指します。大気中の二酸化炭素を有機物に変える反応で、二酸化炭素と水から有機化合物と酸素を創りだします。地球上の植物・動物など、ほとんど全ての生物は光合成に依存して生きています。


(3)フォト・バイオ・リアクタについて
最も効率よく低コストに大量の微細藻類を培養できる光合成装置。コンピューターシミュレーションに基づき、藻類への栄養源の供給と太陽光受光量を最適化し、単位面積当たりのCO2固定能力を高める事が特徴。


研究用モデル

ご参考

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