ヤマハ発動機株式会社は、舟艇事業部における新たな事業展開として、三次元造形技術を生かした大型構造物向けの『型』製造事業を2003年10月より開始し、舟艇以外の製品も対象とした『型』の製造と販売を行います。
当社ではFRP製ボートの製造用の『型』製造に1989年よりNC(Numerically Controlled)加工機を導入しており、製品デザインの自由度や精度の向上、工期の短縮などに大きな効果を生み出してきました。今回新たに開始する『型』製造事業は、これまで蓄積してきた三次元造形技術を、建設資材や産業用設備、自動車をはじめとする輸送機器など、FRP製ボート以外の大型構造物の製造型や試作型に応用するものです。
『型』製造事業に使用するNC加工機械はカスタムメイドによるガントリー型(門型)高速5軸NC加工機で、一般的な3軸加工機械に比べ複雑な形状にも対応が可能で、長さ12m、幅5m、高さ3mまでの加工範囲を有し、国内最大級です。また加工精度は±0.1mmで、国内最高クラス。さらに従来機の約3倍の10m/分という加工速度を有しています。
型そのものの素材となる被切削材料には、主に、スプレーコア(ポリエステル樹脂とマイクロバルーンの混合物)を使用し、吹き付け易く、切削性にも優れ加工がしやすい特徴をもっているため、複雑な三次元曲面を効率よく加工することができます。また、一般的な被切削材料であるエポキシ系の樹脂に比べ、大幅なコストダウンが可能となります。
新事業においてはオス型の製造以外に二次元図面の三次元化やフィレット付け(角に曲面をつける)などの3D
CAD を使用したエンジニアリングサービスも行う他、ダイレクトモールド工法(メス型を直接NC加工する)によるメス型の製造も行います。
なお、初年度の事業計画は、1億5千万円の売り上げを目標とします。 |