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市街地での扱い易さと高速巡航性を調和させた新ビッグシングル 2004年欧州向けニューモデル ヤマハ「XT660R」『ミラノショー』で発表

2003-09-09発表

 ヤマハ発動機(株)は、来る9月16日から開催される第60回『ミラノショー』(チクロ・エ・モトチクロ)において2004年欧州向け新製品、ヤマハトレール「XT660R」を発表展示します。新設計の水冷4サイクルSOHC・660cc単気筒4バルブ・FI(フュエルインジェクション)採用エンジンをダイヤモンド型フレームに搭載し、市街地での快適な走行性と優れた高速巡航性能を両立させたモデルです。

 「XT660R」の企画・開発にあたっては、『Dream/fun/Daily life』というテーマを照準としました。この「Dream」とは何処へでも行けそうなロングレンジのオン・オフ走行という意味での「夢」。またモトクロッサーとは一線を画した斬新なスタイルという意味での「夢」の具現化。「fun」とは現行XT600Eを大きく凌駕する走りの楽しさの意味です。そして「Daily life」とは、シティユースでの実用機能や魅力的なプライスという意味を持たせています。こうしたテーマに沿い、設計にあたっては最先端技術を投入し“XTの基本性能の進化と洗練された新スタイルの具現化”を高次元で実現させています。


ヤマハトレール「XT660R」
2004年欧州向けモデル ヤマハトレール「XT660R」

名称

ヤマハ『XT660R』

発売日

2004年3月(欧州の各販売会社により異なります)

カラーリング

■ディープパープリッシュブルーソリッドE
■ヤマハブラック

販売計画

9,000台(EU圏内、2004年・年間、シリーズ合計)



市場背景と製品概要

 欧州でのオン・オフ市場は年間10~11万台規模で、シティユース中心の600ccクラスが需要の約7割、他はツーリング志向の大排気量クラスとなります。ヤマハが90年から導入のXT600Eは、市街地での扱い易さとゆったりした乗車姿勢、快適な走行性が支持されリーディングモデルとして人気を得て(発売10年間で全欧州92,000台超の登録実績)600ccオン・オフモデルの定番となっています。中でも南欧地域での人気は高く、石畳路での安心感、混雑路での扱い易さなどが支持されています。ユーザーからは「76年デビューの初代XT500からの長年の信頼がある」「多用途性があり、何年も使えること」「価格が手頃」という声が広く聞かれています。

 さて近年の欧州市場の環境は、高速道路網の充実が進むも、他方渋滞の解消が見込まれない都市部も残り、高速巡航性と市街地走行での俊敏さを合わせもつモデルが見直される状況にあります。また各社からのニューモデル投入、さらに個性的モデルへの憧れ、環境意識の高揚といった多岐に渡る状況の動きがあり、この中で600ccオン・オフモデルの新しいスタイルを待つ声が強くなっています。

 この背景から、従来のXTが築きあげてきたコンセプトを継承し進化させ、新しいモデルを要求する声に応えて開発にあたったのが新「XT660R」です。この次世代XTに求められるポイントを、(1)都市部でより楽しく走れる走行性能、(2)高速道路も安心して快適に走れる高速巡航性能、(3)斬新なスタイル、(4)環境性能・・・とヤマハは設定し、これらを凝縮したキーワードを【ザ・ニュー・レジェンド クロスオーバー トレール660】とし開発を行い、『Dream/fun/Daily life』のコンセプトを具現化させました。



主な特徴

エンジン関連

1)660ccのニュー水冷エンジン
 市街地から高速巡航まで様々なシーンで優れた性能を引き出すため、新設計の水冷4サイクルSOHC単気筒660cc前傾シリンダー・4バルブ・フュエルインジェクション(以下FI)採用エンジンを搭載しました。ボア・ストロークは現行XT600Eの95×84mmに対し、ボアアップとなる100×84mmを設定、コンパクト燃焼室と10.0:1の圧縮比から、最高出力35.3kw(48PS)/6,000rpm、最大トルク58.4Nm(5.95kgf・m)/5,250rpmの性能を引き出しています。

2)ヤマハビッグシングル初のフュエルインジェクション
 ヤマハビッグシングル初となるFIを採用しました。クランクセンサー、吸気圧センサーなど10項目のセンシングからの情報をもとに、超小型26ピンのECUで最適な燃料供給量とタイミングを演算して燃料供給するシステムとなっています。インジェクターは、ロングノズル式12孔噴射・高ダイナミックレンジ型を採用。12孔噴射とすることで、ガソリン粒子が微粒子化され、優れたドライバビリティと排ガスレベルの両立が可能となりました。また、パルセーションダンパを採用し、圧力変動を抑え、安定した燃料供給が可能となったことも優れたドライバビリティと排ガスレベルに対し成果を上げています。
 さらに“大気圧センサーレス”や“リターンレス”配管を採用することでコンパクト化を促進したシンプル構成が特徴です。

3)最適バルブリフト量確保を達成するローラーロッカーアーム
 ヤマハスポーツモデル初のローラーロッカーアーム式のバルブ駆動を採用しました。レバー比の設定によりカムリフト量以上にバルブリフト量を確保できるのがロッカーアーム式の特徴ですが、狙いのバルブリフト量を確保するためにレバー比を上げると、スリッパー部への負荷が増えることが構造的テーマとなっていました。「XT660R」に採用のローラーロッカーアーム式では、このスリッパー部にニードルローラーベアリングを採用し、常にスリッパー部を回転運動させカムとの摺動抵抗を低減。これにより高い信頼性を確保しました。これでバルブリフトは吸気9.8mm、排気9.0mm(従来モデルは8.4mm)と高いリフト化が可能となり、バルブオーバーラップを短縮。これらの結果、低中回転域での軽快なフィーリングと優れた排ガス性能を達成しています。

4)軽量で耐熱強度に優れた鍛造ピストン、ダイレクトメッキシリンダー
 ボア100mmのビッグサイズピストンには、耐熱強度に優れ軽量な鍛造ピストンを採用しました。またシリンダーボディは低圧鋳造を採用、鉄スリーブやライナーを持たない、ダイレクトメッキ処理(セラミックコンポジットメッキ)を行ないました。熱伝導率の異なる素材をライナー部からカットでき良好な冷却性を実現しオイル劣化抑止も促進。クロスフロータイプラジエターの効果も相まって優れた冷却性・信頼性を確保しました。
 この軽量鍛造ピストン、コンパクト設計ヘッド廻り、ライナーレス設計シリンダーなどは、エンジン全体の低重心化を達成。優れた走行安定性を引き出すポイントとなっています。

5)新3軸配置とコンパクトクランクケース
 ビッグボアエンジンに対応し、クランク・メイン・ドライブ軸の各軸廻りのギアはサイズアップにより信頼性を確保しました。クランク・ドライブ軸間では約9mm拡大としながらも、キック軸の廃止ほか細部の最適設計でクランクケースは従来比で前後長30mmの短縮となっています。

6)フライホイールマスの最適設定
 フライホイールマスは、XT600E比で約20%低く設定し最適化を図りました。吸排系最適化や軽量アルミ鍛造ピストン採用、ローラーロッカーアームとの相乗効果は、とくに低中速域での軽快かつ優れたエンジンフィーリングを提供しています。

7)優れたトルク特性と個性的な外観を実現するデュアルエキゾースト
 2つの排気ポートを集合させず、各排気ポートからそのままエキパイ・アップマフラー(サイレンサー)部へと繋がる左右対称のデュアルマフラー(SUS材採用)を装備し、低中速での優れたトルク特性を引き出しました。Ø100mm×全長500mmのサイレンサー部分にはメタル感覚あふれる表面をもち耐熱温度が高いナイロン製のプロテクターを装備し、個性的なボディを強調しています。
 さらに左右気筒間の微妙な脈動差を相殺する連結パイプを採用し、優れたドライバビリティを実現。その他、心地良い排気音、排気系各サイズや管長最適化、膨張室最適化を行ないました。

8)その他の特徴
 この他、(1)ミッション関連への最新技術投入(17アイテム投入)、(2)エアインダクションシステム及びハニカム触媒の採用による優れた環境性能の実現(EU-2規制値をクリア)。



車体関連

1)優れた直進安定性を引き出す新設計フレーム
 高速巡航での優れた操安性を引き出すために、縦・横・ねじれ剛性の最適バランスを図った新設計ハイテン材ダイヤモンド型フレームを採用しました。タンクレール部を2本パイプ構造(左右とも外径28mm、肉厚1.5mm)として優れた剛性バランスを確保。直進安定性のポイントとなる横剛性値は、現行XT600E比で数倍、XTZ660 テネレ比較で60%アップとなっています。またエンジン懸架は、ヘッド1箇所、ケース側4箇所、計5点リジットマウントとしエンジンをボディ剛性メンバーに積極的に活用しました。

2)優れたクッション性能を引き出す前後サスペンション
 フロントにはインナーチューブ径43mm(現行XT600E=41mm径)の正立サスペンションを採用、現行XT600E同等の225mmの余裕のストロークを確保しました。また大径フォークとの最適化を図るためフォークブラケットも新設計。アッパー側にアルミ製ダイキャスト、アンダー側にアルミ鍛造とそれぞれ最適部材を投入。またフォークオフセット25mm、アクスル側オフセット35mmなど各ディメンション最適化との相乗効果が、優れた走行安定性とニュートラルなステアリング特性を実現しました。

3)5段階調整機能付きのボトムリンク式リアサスペンション

 リアにはロッドØ14mm、Ø40mm大径シリンダーのボトムリンク式サスペンションを採用しました。ショックアブソーバーは前傾させ低重心化を図り、ホイールトラベルは余裕の200mmを確保。軽量スチール製リヤアームとのマッチングで優れたクッション性能を引き出しています。なおイニシャル荷重はカム式5段階機構を設け、使用環境や好みに合わせた調整が可能です。

4)フローティングマウントの前輪ディスクブレーキ
 フロントのØ298mmディスクは、パッドの発熱からのディスクへの影響を押さえることで、ジャダー防止特性に優れるフローティングマウント方式としました。さらに初期タッチと耐磨耗性に優れた焼結パッド採用のブレンボ製異径2ポットキャリパーを装着。その他マスターシリンダー、レバー比、ホース膨張率最適化との効果が相まって、高速性能に見合うリニアな制動力とコントロール性を実現しました。リアにも大径Ø245mmのディスクとブレンボ製ピンスライド型キャリパーを採用しています。

5)“マットブラック2”塗装を施した15リットル燃料タンク

 燃料タンクは、タンク下面をフラット設計としスペース効率を活かし、FI採用に伴うタンク内へのポンプ配置にもかかわらず、大容量15リットルを確保。またタンクは都会的センスを漂わす精悍な“マットブラック2”塗装を施しました。同様にタンクキャップとフレームにも“マットブラック2”を施しマシン全体のメタル・クォリティ感を強調しています。

6)新形態フロントハブとストレートスポークの採用
 軽快なハンドリングを実現するため、軽量アルミ製リムを採用しました。これに前90/90-21、後130/80-17サイズのタイヤを装着。フロントのハブは新形態で大きく肉抜きをして軽量化・高剛性化を図り、さらにスポーク末端(ハブ側)処理は、引っ張り強度で有利な「ストレートスポーク」を施しました。Ø17mm中空(現行Ø15mm中空)にサイズアップされたフロントアクスルと相まって、剛性感のあるハンドリングと高速安定性を実現しています。

7)余裕でアップライトなライディングポジション
 外観は大柄な印象をもちながらもスリムでニーグリップ性に優れたタンク形状は、ハンドル、ヒップポジション、フートレスト位置の最適設定との効果で、アップライトで一体感のあるライポジに貢献しています。またシート表皮はフィット感、グリップ性に優れたニュータイプを投入し優れた快適性を実現。着座時の快適性と足つき性を両立させ、かつ造形にメリハリをつけるデザインとなっています。

8)デジタル表示液晶スピードメーターの採用
 デジタル表示のメーターパネルを採用。タコメータを割愛したシンプル構成とし、ツイントリップ、時計、FI系故障自己診断機能を織り込んでいます。なお、トリップ表示は6桁表示(オドメーターからのモード切替で対応)とし、長距離ツーリングやオイル交換時期の確認時の利便性を配慮しました。

9)前後分割フェンダー、抑揚を強調したボディデザイン
 透明ウインドシールド採用のビキニカウル、マルチリフレクター採用H4バルブ・ヘッドライトを装着した。またフロントフォークカバーは、ゴムブーツを廃止して樹脂製プロテクターを採用。さらにフォーク前側のフェンダーはアップフェンダー、後ろ半分はダウンフェンダーとなる分割フェンダーを採用。これら立体的な表情を強調したコンビネーションが、フロント廻りの都会的な新デザインを実現しました。また、エアスクープのアウトレットは、ラジエターからの熱風が効率よく流れる設計を行ない、サイドビューのデザイン的な特徴となっています。

10)その他、日常使用での親切設計
 このほか、(1)盗難抑止機構イモビライザー採用、(2)キー操作で着脱できるシート及びシート下U字ロック収納スペース、(3)市街地で扱いやすいハンドル切れ角44度設定、(4)余裕のサスペンションストロークとの相乗効果で良好な走破性をもたらす最低地上高210mm確保、などが特徴です。



2004年欧州向けモデル ヤマハ「XT660R」仕様諸元


全長×全幅×全高
シート高
軸間距離
乾燥重量
原動機種類
気筒数配列
総排気量
内径×行程
圧縮比
最高出力
最大トルク
始動方式
燃料タンク容量
燃料供給方式
タイヤサイズ(前/後)

2,240mm×845mm×1,230mm
865mm
1,505mm
165kg
水冷・4サイクル・SOHC・4バルブ
単気筒
660cm3
100×84mm
10.0:1
35.3kw(48PS)/6,000rpm
58.4Nm(5.95kgf・m)/5,250rpm
セル式
15L
電子制御フュエルインジェクション
90/90-21MC 54S/130/80-17MC 65S


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