ヤマハ発動機株式会社は、2003年4月1日、アジア・中近東市場での補修部品供給機能の強化などを目的に、新会社をシンガポールに設立します。この新会社は、当社が全世界・6地域に部品統括センター設立を目指す一環であり、アジア・中近東地域を対象とした部品統括センターの役割を担います。
新会社の名称は、「ヤマハモーター ディストリビューション シンガポール」(略称YDS)で、資本金は3百万シンガポールドル(約2億円)、ヤマハモーターアジア株式会社が75%、ヤマハ発動機が25%出資します。なおヤマハモーターアジア株式会社は、アセアン地域内のファイナンスセンターとして部品・原材料調達の決済業務、二輪車完成車の三国間輸出の決済業務などアジアでの総合力強化を目的に1998年に設立した会社です。
新会社の事業内容は、日本製純正部品の在庫保有と供給を本社に代わって実施するとともに、アクセサリーなど新商品の開発・調達・販売、そして地域内での相互補完部品や第三国への完成車輸出に伴う部品の在庫保有と供給を行うものです。また、域内製造工場の安定した部品供給に向けた指導や情報管理も実施します。なお売上規模は、日本製の純正部品に加え、新商品や三国間部品の供給拡大などにより、2008年には約100億円規模を目指します。
新会社は物流センター機能を保有しますが、建物と庫内作業は、物流専門会社にアウトソーシングし、当社は、センター管理システムと運営ノウハウを専門会社に提供します。これにより、固定費削減を可能にし、同時に高い生産性、品質を実現し、将来の変動に柔軟に対応可能な体制とします。なおこの形態は、フランス・リヨンにある部品センターに次ぎ2ヶ所目となります。
従来、アジア・中近東におけるヤマハの補修部品やアクセサリーは、日本で在庫を持ち、アジア・中近東の各拠点に直接出荷するなど、日本サイドで管理していました。
しかし今後は、完成車ビジネスにおいて、アジア共通モデル、三国間輸出及び部品相互補完の拡大が見込まれる影響で、部品事業においても管理・流通の複雑化が進み、現地部品統括センターの設立による一元的な供給管理が望まれていました。また、アクセサリーなど の新商品については、現地の需要動向に即したスピーディな商品開発による事業規模の拡大も重要なテーマとなっていました。
このたびの新会社設立により、日本製純正部品の供給リードタイムは従来の45日から10日間に短縮する計画です。また、2005年までに2002年比較で、アジア・中近東市場向けの連結在庫を30%を削減、物流費も25%削減する計画であり、部品情報管理を一元化すること相まって、より迅速な顧客サービスを可能にします。
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