ヤマハ発動機株式会社では、農薬散布を中心に農業分野で好評の産業用無人ヘリコプター「RMAX」をモデルチェンジし2003年3月1日より新発売します。
「RMAX」TypeIIGは、従来のYACS(ヤマハ姿勢安定制御装置)を進化させたYACS-G(新姿勢安定制御装置)を装備しました。YACS-Gは、新たにGPS(Global
Positioning System:全地球測位システム)を搭載し、速度制御機能とホバリング性能(空中で同じ場所に長時間静止できる能力)を大幅に向上させました。
これにより、オペレーターの疲労軽減と正確な散布作業への機能強化を図ったもので、“新世代無人ヘリ”と呼べるニューモデルです。
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ヤマハ「RMAX」TypeIIG |
<名称> |
ヤマハ「RMAX」TypeIIG/TypeII |
<発売日> |
2003年3月1日 |
<販売計画台数> |
130台/年間 |
≪ 市場背景 ≫
ヤマハ発動機は、1989年に実用ペイロード(搭載量)20㎏の世界初の産業用無人ヘリコプター「R-50」を発売しました。1997年には性能向上を図った「RMAX」を発売し、農業における農薬散布の省力化、低コスト化、適期防除や環境改善への貢献も高く評価され、これまでに累計約1,700機を販売しています。
無人ヘリコプターの総需要は年間約170機で、農業人口の減少に伴う農作業効率化のため、地域単位での農薬散布用無人ヘリコプターの積極導入がすすんでいます。無人ヘリコプターによる農薬散布面積は平成13年度では延べ約400,000ヘクタール実施され、拡大傾向にあります。最近は水稲に加え、麦や大豆、果実、野菜、更に非農耕地への適用拡大も進んでいます。
≪ 「RMAX」TypeIIGの特徴 ≫
●GPSによる速度制御装置を搭載
・ホバリング性能の向上
操縦操作をしない時、従来機は無風時において同じ場所に静止できるのは数秒で、時間とともに移動しますが、「RMAX」TypeIIGはGPSによる制御により、無風時はもちろんのこと3m/s程度の風でもほぼ同じ位置に静止します。
・フレア(速度停止操作)時のブレーキ性能の向上
15km/hで飛行時に、操縦操作を中立にした場合、約10mで停止可能です。これは従来に比較し、1/2程度の距離で、遠方での方向転換が容易になり、オペレーターの精神的疲労が軽減され、より安全な飛行につながります。
・散布速度の安定化
前後進の操縦操作の量が一定であれば機体は加速しない機能を持ち、オーバースピードを防止し、散布速度が安定します。さらに散布精度も向上するため、より効果的な散布作業を実現できます。
●姿勢安定装置(3軸ジャイロ制御システム)をさらに熟成
従来の機体制御ソフトに改良を加えたことにより、「フレア時の高度保持性能の向上」「高度の操作性の向上」「高ペイロード時のエンジン回転数の安定性向上」など、安定性と操作性の向上を図りました。
●機体、エンジンの細部を改良
従来のRMAXをベースに細部に改良を施し、信頼性をさらに向上させました。
≪ 「RMAX」TypeIIG/TypeII 主要諸元 ≫
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項目 |
仕様 |
性能 |
実用ペイロード |
TypeIIG:27㎏/TypeII:30kg |
飛行時間 |
60分 |
高度限界 |
100m |
制御範囲 |
150m(目視範囲) |
機体 |
形式 |
L17 |
メインロータ径 |
3,115mm |
テールロータ径 |
545mm |
全長 |
3,630mm |
全幅 |
720mm |
全高 |
1,080mm |
エンジン |
種類 |
水平対向水冷2サイクル |
排気量 |
246cc |
出力 |
21ps |
始動形式 |
セルモータ方式 |
燃料 |
ガソリン・オイル混合 |
液剤散布装置 |
型式 |
L15A |
カセットタンク容量 |
12リットル×2 |
吐出方法 |
往復ピストン&コーンノズル方式 |
吐出量 |
2.0リットル/分、1.3リットル/分 |
ブーム長さ |
1,900mm(折りたたみ式) |
装置重量 |
6kg |
粒剤散布装置 |
型式 |
L15F |
カセットタンク容量 |
12リットル×2 |
吐出方法 |
インペラ式(直径300mm) |
装置重量 |
6kg |
<価格> |
「RMAX」TypeIIG (GPS付き) |
9,190,000円 |
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「RMAX」TypeII (GPSなし・受注生産) |
8,190,000円 |
※いずれも本体のみ、消費税別 |
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