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舟艇事業(生産・開発・販売・管理)の更なる構造改革の実施 ヤマハ蒲郡製造(株)の会社解散

2001年10月19日発表

 ヤマハ発動機株式会社とヤマハ蒲郡製造株式会社は、10日19日、ヤマハ発動機の生産・開発・販売・管理にわたる舟艇事業全体の構造改革および、ヤマハ蒲郡製造の会社解散について、両社の労働組合に対し、以下のとおり提示を行いました。ここにその内容をご案内申し上げます。

1.国内舟艇事業の状況とヤマハ蒲郡製造の経営状況

 ヤマハ発動機は、景気低迷により販売減少が続く舟艇事業において、1998年4月より3ヶ年計画で、市場規模に合致した事業体制の構築と赤字体質からの脱却を図るべく、国内ボート製造工場を5工場から3工場に再編、人員削減、開発体制の効率化と販売体制の重点化、および他社との商品の相互OEM供給など一連の構造改革を進めてきました。

 しかし、1998年以降のプレジャーボートおよび漁船・和船等の舟艇総需要は、景気低迷感の強まりや市場競争の激化などにより、当社予想をさらに30%下回る減少となりました。
 この大幅な需要減少により、国内舟艇事業(*)の内、艇体の売上高は、1998年度の120億円から2000年度には70億円に減少するなど、更なる構造改革の実施による事業体質転換が必要な状況となっています。
 特に、生産面の稼働率においては、ヤマハ蒲郡製造(株)、ヤマハ天草製造(株)、ヤマキ船舶化工(株)の3工場にボート生産を集約したものの、この需要減により、現在、3工場平均の稼働率は67%にまで低下しています。

 ヤマハ蒲郡製造は、1973年5月よりヤマハ発動機からの中・大型のFRPボート(中・大型艇及び特需艇)等の受託生産を柱として事業を行なっています。バブル経済の崩壊以降、中・大型ボートの需要減退による厳しい経営状況が継続する中で、積極的な改善活動への取組みや経費圧縮、外販の強化など利益体質の強化につとめてまいりました。
 しかし、生産隻数は、1997年度の年間570隻から2000年度は年間286隻まで減少し、工場稼働率も56%の状況となっております。
 また、経営状況も売上の減少とともに、利益面では、1991年以降、毎年数億円の赤字を計上するなど、大変厳しい状況にあります。

* 国内舟艇事業の売上高実績は、1998年度は335億円、2000年度は253億円です。
 尚、艇体の売上高とは、艇体及びパッケージボートの売上高です。

2.更なる構造改革の推進

 ヤマハ発動機は、2002年4月よりの3ヶ年計画において、艇体の売上高が、現状を更に下回る60億円規模でも事業経営が成り立つことを最大のテーマとし、それに基づく、生産・開発・販売・管理の更なる構造改革を実施します。



生産体制の見直し

 生産部門におきましては、総需要の大幅な減少と価格競争の激化に対応するため、「国内ボート製造工場の更なる再編成」と「当社の技術力を生かした外部への生産委託」を行います。
 具体的には、中・大型艇の生産を担ってきたヤマハ蒲郡製造は、今後も収益力を改善し、累積する赤字を一掃する見込みが立たないことから、2002年3月末を以って会社を解散することと致します。なお、ヤマハ蒲郡製造が担ってきた中型艇の生産はヤマハ天草製造に移管、同時に、大型艇は国内企業への生産委託を検討します。
 さらに、コスト競争力向上のために、ヤマハ天草製造で生産している小型艇の一部を、海外企業に生産委託します。
 なお、北海道・東北マーケットを中心とした漁和船の生産を担うヤマキ船舶化工は、これまで通りの生産を継続します。



開発・管理・販売部門の見直し

 開発部門におきましては、船外機搭載のプレジャーボート及び環境技術領域に開発資源の集中化と重点化を図ります。また、船体と生産ラインの共通化や、技術スタッフの一人当たりの開発担当領域を広げ、より効率的な開発システムの構築を目指すとともに、管理支援部門も必要最低限の機能とします。

 販売部門におきましては、ヤマハ発動機販売(株)本社内に営業推進センターとサービス情報センターを設置し、受発注機能の集中化に加え、サービス機能の窓口を集約することで、販路への情報の受発信・支援機能を強化してまいります。この2つのセンターを設置することで、現在の9営業所・6サービスセンターの合計15拠点の体制を、営業とサービスを兼ねた4営業部体制とします。また、総需要拡大に向け、IT活用によるボート免許受付、免許業務のフランチャイズ展開などの施策を実施します。

 これらの施策の推進により、開発から管理・販売に至る人員体制を、現在の374人から260人とし、スリムで効率的な体制への転換を図ります。


3 雇用問題等への対応について
 当社では、今回の構造改革実施にともなう従業員の雇用問題につきましては、ヤマハ発動機グループ全体の問題として捉え、グループ内での雇用の確保を基本にしながら、最善の努力をしてまいります。今後、これらの対応につきまして、労働組合に説明を行うと共に雇用問題への対応などについて真摯に話し合いを行って参ります。なお、土地・建物・設備などへの対応につきましては、今後、具体的に検討を行います。

4 構造改革後の姿
 当社では、今回の構造改革を通して、日本独自の地理的条件や風土、お客様の趣向や用途等にあった「日本型マリンレジャー」を推し進め、より需要と供給のバランスを合わせたビジネス構造への転換を図ります。
 同時に国際的な視点から日本市場を捉え、グローバルな生産・販売ネットワークを活用し、世界から日本のマリンレジャーにあったボートや遊びをお客様に提供し、楽しみを広げ、お客様に満足のいく提案を続けていきます。
 今後も、業界の更なる発展とともに、さらに多くの人々にマリンレジャーの楽しさや感動を提供し、漁業の近代化を支援し続ける事を社会的責任と考え、その責務を果たしていきたいと考えています。



ご参考
ヤマハ蒲郡製造株式会社の概要


住   所:

愛知県蒲郡市浜町24番地

設 立 年:

1967年6月

事業開始:

1973年5月

社   長:

菅澤 實

資 本 金:

4億9000万円

出資比率:

ヤマハ発動機 99.0%

事業内容:

中・大型艇及び特需艇の製造

従業員数:

131名(ヤマハ発動機(株)からの出向社員は含んでおりません)

業   績:

1998年度

売上高:25億円、

経常利益:△4.6億円

1999年度

売上高:39億円、

経常利益:△6.1億円

2000年度

売上高:33億円、

経常利益:△2.1億円

 

 

 

(2001年9月末現在)


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