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下関市で電動ハイブリッド自転車の共用利用システムがスタート 「エネルギー自立式電動ハイブリッド自転車駐輪場」について

2001年04月16日発表

 ヤマハ発動機株式会社はこのたび、山口県下関市役所内に建設していた太陽光発電によるエネルギー自立式の電動ハイブリッド自転車駐輪場を竣工し、引き渡しを完了いたしました。下関市では4月16日午前8時半から、江島 潔 市長をはじめとする関係者によるオープニングセレモニーが行われ、"e-ステーション"の名称で稼動を開始いたしました。

 これは、下関市が「地球温暖化防止対策事業」の一環として、環境庁のモデル事業の指定を得て実施した補助事業です。昨年10月に下関市が行った事業企画公募に当社が応募、企画提案の上、受注し、設計・施工を行ったものです。
 「排出CO2ゼロ」の太陽光発電というクリーンなエネルギーによって自立稼動する電動ハイブリッド自転車の充電装置付き駐輪場は、世界でも初めての設置・稼動となるものと当社では想定しています。

 駐輪場の完成と共に、電動ハイブリッド自転車 ヤマハ「PAS」が30台納入され、今後、下関市民と市職員共用の地域内交通手段として活用されることになっており、環境負荷の少ない移動手段の利用促進など、市民全体の環境意識高揚の啓発手段としても期待されています。

 当社では、従来より電動ハイブリッド自転車の共用利用における駐輪・管理機構や、バッテリーマネジメントシステム"I.F.E.S."の研究開発を行っており、今回の事業にも採用されています。


エネルギー自立式電動ハイブリッド自転車駐輪場"e-ステーション"



自立式電動ハイブリッド自転車駐輪場の概要

 電動ハイブリッド自転車の共用利用システムの推進においては、駐輪・管理機構に加え、バッテリー充電や施設運営のための電源供給が施設設置上の課題となっていました。
 この問題を解決するため、下関市役所に設置した本施設には、22枚のソーラーパネルによる太陽光発電を初めて採用いたしました。このクリーンな太陽光発電により、駐輪場で運営管理するヤマハ「PAS」30台のバッテリーの一斉充電が可能な上、管理に伴うシステム機器の電源、また夜間における施設内照明の自動点灯システムなどの電源供給もまかなうことができます。

 下関市に納入されたヤマハ「PAS」は、’00年より発売の「パスロイヤル」が20台、
’01年モデル「パススーパーライト」が10台の計30台となっています。充電についてはユーザーが簡単に安心して利用できるように、ヤマハ独自のバッテリーマネジメントシステム“I.F.E.S.”を採用しています。このシステムはバッテリーに搭載されたCPUにより、最適な充・放電がされるよう制御するもので、わずらわしい充電管理やバッテリーのメモリー効果発生時のリフレッシュ作業などを全て自動で行います。また、“I.F.E.S.”(Intelligent Flexible Energy System)準拠のバッテリーであれば、車両のタイプに関係なく本システムでの充電が可能となっています。

 施設運営管理は、無人でも確実な鍵の管理ができるように、非接触式カードキーによる集中管理とし、貸し出し・返却を行います。また利用者の走行距離、時間など運行情報も管理コンピュータにより把握できるシステムとなっており、温暖化防止への努力が具体的な数値として把握できます。併せて利便性向上を考え、駐輪ラックはカードキーと連動した自動ロック式の個別ラックとし、また充電作業も簡単に行える設計となっています。

 当社は、長野県軽井沢町におけるレンタル「PAS」ステーション、静岡県磐田市内のスーパーマーケットに設置した充電ステーションの成果をもとに研究開発を進めて来ました。また、地球環境に配慮したやさしい街づくりへの協力のため、次世代の地域交通体系を視野に入れ、本システム駐輪場の設置を今後積極的に提案・推進していきたいと考えています。





駐輪場システム詳細について

1:太陽光発電システム
 駐輪場の屋根部に、22枚のシリコン多結晶太陽電池モジュールを設置し、総出力3.19kwの発電能力を有しています。ヤマハ「PAS」のバッテリー充電に加え、駐輪場内の管理機器および照明に必要な電力量(約2800kw/年間)を上回る、年間3000kwを発電します。システムは市庁舎の電気経路と系統連携され、余剰電力が生じた場合は市庁舎の電力として利用され、省エネルギーに寄与するシステムとなっています。

2:ICカードによる無人での運行管理システム
 ヤマハ「PAS」の運行管理は、(株)ヒューマン・インダストリアル・デザイン製の「サイクルマネージャー」を採用。専用のICカードの情報を「サイクルマネージャー」が読み取り、鍵の貸し出し・返却を管理し記録します。
 ヤマハ「PAS」のバッテリーが「リフレッシュ充電中」の場合は、「サイクルマネージャー」が自動的に当該車両を検知し、その車両の鍵の貸し出しを一時停止する特別機能を組み込んでいます。
 利用者は鍵を返却する際に、「サイクルマネージャー」のテンキーにより走行距離
(各車両に走行距離メーターが装備されています)を入力します。これにより、車両や利用者ごとの使用頻度だけでなく、走行距離の積算実績を把握することができます。
また、自動車利用に置き換えた場合の"CO2"抑制効果などの参考データを得ることができます。
 そして、「サイクルマネージャー」が読み取った情報は、管理用の専用パソコンに送信され、リアルタイムで運行状況の把握や、実績データ管理が行えるようになっています。

3:バッテリーへの充電装置を組み込んだ駐輪ラック
 駐輪ラックは、前輪をラックに挿入するだけで自動的に前輪をロックする構造としており、施錠忘れを防止できる構造となっています。駐輪ラックには、専用充電器の充電プラグが装備されており、充電プラグをバッテリーに差し込むだけで充電することができます。
 充電器はヤマハ「PAS」の専用急速充電器(オプション設定の市販品)を採用しており、0.6~1.3時間(車両のタイプによってバッテリーの容量が異なります)でフル充電することができます。

4:環境配慮設計を折り込んだ駐輪場
 30台の「PAS」を収納する駐輪場は、堅牢な鉄骨構造により優れた耐火・防火性および耐震性を有しています。また同時に、外壁サイディングには自動車の排気ガスに含まれる窒素酸化物"NOX"や有機物による汚れを太陽光によって分解する機能を持つ「酸化チタン塗装」を施しており、周辺の大気浄化と共に、外壁自体の汚れも分解し美観を保持する仕様としています。
 また、駐輪場内の照明は、光センサー、タイマー、人感センサーを組み合わせることで点灯・消灯をコントロールし、昼間や夜間の不要時には消灯を徹底する省エネルギー仕様としています。

5:採用された電動ハイブリッド自転車について
 ヤマハ「PAS」シリーズの中から、「パスロイヤル」「パススーパーライト」合わせて30台が採用されました。1充電当たりの走行距離を重視したタイプ、取り扱いが容易な軽量タイプ、女性や小柄な方が利用しやすいタイプなど3タイプの構成とし、車輪サイズも26インチと24インチをそろえています。
 また、各車両は自転車用のオドメーター(走行距離積算計)を装備し、走行距離で利用実績を把握することを可能としています。


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