ヤマハ発動機(株)では、単軸ロボットFLIPシリーズをフルモデルチェンジした「FLIP-Xシリーズ」を3月10日より発売します。このFLIP-Xシリーズは、現行機種より100mm以上全長を短くし、全機種に耐環境性に優れたレゾルバ式アブソ機能(アブソ機能:電源をOFFしてもスライダー位置を記憶し、再起動の際に即時立上げを可能とする)を標準装備するなど、コンパクトさ、性能、すべてに新しい価値を提供し、多様化するユーザーニーズに対応できる21世紀の小型ロボットとして、今後のロボット市場を拡大していくことが期待される商品です。価格面でも、現行機種比で最大13%の価格ダウンを達成しました。FLIP-Xシリーズは既に1月より発売しているエアー機器並に使い易い「T4」、「T5」を含め5タイプ21機種となります。
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名称 |
ヤマハ単軸ロボットFLIP-Xシリーズ |
発売日 |
2000年3月10日 |
初年度販売計画 |
合計 10,000台 |
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商品の概要 |
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昨今の生産設備に対する要求、「小さい」「安い」「使い易い」「故障しない」「メンテし易い」を開発コンセプトとして新型ロボットを開発しました。
市販サーボモータを使わずモータ部を新設計し、ボールネジとモータシャフトを一体化、ボールネジとモータ間のカップリングを省き、ベアリング点数を減らすことで、大幅なコンパクト化とコストダウンの両方をはかりました。また万が一モータ部が故障しても、モータ部のみ交換できる構造にし、他社にはないメンテし易さを実現しました。
さらに、位置検出器としてエンコーダの替りに耐環境性に優れる絶対角度検出器であるレゾルバを採用することで、温度・衝撃・振動・ノイズなどの耐環境性能を強化し、完全原点復帰レスのアブソリュート位置検出機能を単軸ロボットとしては初めて標準装備しました。
これにより、今までロボットが使われることが少なかった、低価格でコンパクトなだけでなく、使い勝手の良さや優れた耐環境性が要求されるエアー機器の置換市場、温度や振動などが問題となる製鉄所・鍛造や鋳造職場などの悪環境での使用が期待されます。
尚、ベルトタイプ(Bタイプ)では2mから3mへストロークを延長、クリーンタイプ(Cタイプ)では、クリーン度クラス100よりクラス10への性能向上も併せて行いました。 |
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主な特長商品の概要 |
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コンパクト |
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サーボモータを構成するモータ、位置検出器、ベアリング、シャフト、モータケースをロボットの一構成部品として見直した再設計を行い、ボールネジとモータシャフトの一体化、カップリングレス、ベアリングを減らすことで、現行機種より100mm以上全長短縮することができました。 |
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設備の垂直立上げに貢献する完全原点復帰レス機能を標準装備 |
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一回転内の絶対角度検出が可能なレゾルバを採用することで、低価格で原点復帰レス機能を標準装備しました。電源を入り切りする度に行わなければならなかった煩わしい原点復帰動作を行うことなく、電源を入れて即座に設備を稼働することができます。 |
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優れた耐環境性 |
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ロボットの部品として最も耐環境性に弱い位置検出器に、基本的にモータと同じ簡単で堅牢な構造を持つレゾルバを使い、ロボットとして高低温環境、振動衝撃に耐える設計を行いました。従来の位置検出器の光学式エンコーダと比較して、レゾルバは温度範囲で-10℃~80℃に対し-55℃~155℃、振動で5Gに対し20G、衝撃で30Gに対し100G、と格段の優位性を示しています。 |
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低価格 |
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モータ部の再設計を行うことによるロボット本体の部品点数の削減で、価格ダウンを図りました。特にFタイプ
F17モデルでロボット本体価格を13%ダウンしました。 |
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現地メンテナンスも可能 |
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万一故障しても、モータなどロボット本体の部品が現地で交換できる設計を行い、平均ダウン時間(MDT)を極力短くできるよう配慮しました。 |
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互換性 |
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現行機種とロボット取付穴位置を同じにして、現行機種からの載せ替えを可能にしました。
また専用コントローラSRCXにおいても、マルチタスク機能などの豊富な機能、ロボット言語などの使い易さは現行機種SRCHシリーズと同等であり、プログラミング装置などの周辺機器の互換性も維持しました。 |
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主な用途 |
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電気・電子部品、機械部品の組立、挿入、取り出し、搬送(移動、移載)から、様々な先端ツールを取り付ける事により、ネジ締め、ボンド塗布、圧入、ハンダ付け等の作業を行わせることができます。応用と工夫しだいで幅広い用途に使用できます。 |
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仕様諸元 |
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機種/項目 |
最高速度
(mm/sec) |
繰り返し
精度(mm) |
最大可搬質量(kg) |
動作範囲
(mm) |
水平 |
垂直 |
タ
イ
プ
T |
T4 |
720/360/120 |
±0.02 |
4.5/6/6 |
1.2/2.4/7.2 |
50~300 |
T5 |
800/400 |
±0.02 |
5/9 |
1.2/2.4 |
50~600 |
T6 |
800/400 |
±0.01 |
10/10 |
4/8 |
50~600 |
T7 |
600 |
±0.01 |
8 |
3 |
150~550 |
T8 |
1200/600/300 |
±0.01 |
30/55/80 |
4/10/20 |
150~1050 |
T9H |
1200/600/300 |
±0.01 |
40/80/100 |
8/20/30 |
150~1050 |
タ
イ
プ
F |
F10 |
1200/600/300 |
±0.01 |
20/40/60 |
4/10/20 |
150~1050 |
F14 |
1200/600/300 |
±0.01 |
30/55/80 |
4/10/20 |
150~1050 |
F14H |
1200/600/300 |
±0.01 |
40/80/100 |
8/20/30 |
150~1050 |
F17 |
1200/600 |
±0.01 |
80/120 |
15/35 |
250~1250 |
F20 |
1200/600 |
±0.01 |
120/- |
25/45 |
250~1250 |
タ
イ
プ
B |
B10 |
1875 |
±0.04 |
10 |
- |
150~2550 |
B14 |
1875 |
±0.04 |
20 |
- |
150~3050 |
B14H |
1875 |
±0.04 |
30 |
- |
150~3050 |
タ
イ
プ
C |
C14 |
1000/500/250 |
±0.01 |
30/55/80 |
4/10/20 |
150~1050 |
C14H |
1000/500/250 |
±0.01 |
40/80/100 |
8/20/30 |
150~1050 |
C17 |
1000/500 |
±0.01 |
80/120 |
15/35 |
250~1250 |
C20 |
1000/500 |
±0.01 |
120 |
25/45 |
250~1250 |
タ
イ
プ
R |
R50 |
360(deg/sec) |
±30(sec) |
1.2(kg-cm-sec2) |
360(deg) |
R100 |
360(deg/sec) |
±30(sec) |
3.7(kg-cm-sec2) |
360(deg) |
R200 |
360(deg/sec) |
±30(sec) |
18.7(kg-cm-sec2) |
360(deg) |
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専用コントローラSRCX基本仕様 |
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軸
制
御 |
適応モータ容量 |
最大600W |
制御軸数 |
1軸 |
制御方式 |
ACフルデジタルサーボ |
位置検出方式 |
多回転アブソリュート機能付きレゾルバ |
速度設定 |
1~100%、1%毎 |
加減速度設定 |
1)ロボット形式、質量パラメータにより自動設定、
2)加速度パラメータによる設定 1~100% 1%毎 |
原点復帰 |
不要 |
プ
ロ
グ
ラ
ム
関
係 |
プログラム言語 |
ヤマハロボット言語、マルチタスク機能:最大4タスク |
プログラム数 |
100プログラム |
ポイント数 |
1000ポイント |
プログラムステップ数 |
255ステップ/1プログラム、3000ステップ/トータル以下 |
ポイント入力方法 |
マニュアルデータイン(座標値入力)
リモートティーチング
ダイレクトティーチング |
外
部
入
出
力 |
汎用入力/出力 |
16点/13点 |
専用入力/出力 |
8点/3点 |
外部駆動電源 |
DC24V/600mA(水平仕様) |
外部通信 |
RS232C 1CH (TPBまたはパソコンとの通信用) |
ブレーキON/OFF出力 |
リレー出力 1点 |
非常停止 |
ノーマルクローズ接点(非常停止時の復帰機能付) |
一
般
仕
様 |
電源 |
単相AC100~115V,AC200~230V±10% 50/60Hz |
使用温度 |
0~40℃ |
使用湿度 |
35~85%RH(結露無きこと) |
保存温度 |
-10℃~65℃ |
外形寸法 |
W78×H250×D157 |
質量 |
1.5kg |
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レゾルバとエンコーダ |
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レゾルバはトランスの原理を利用したセンサで、構造は図1のように交流モータに近く、励磁巻線に交流を流すと出力巻線にロータ角度に応じて変化する電圧が誘起するため、この電圧信号をRD(レゾルバデジタル)変換器というLSIで信号処理することで、位置のデジタル信号を得ることができます。
一方エンコーダ(インクリメンタル式)は、図2のように発光素子、スリット円板、受光素子、IC回路で構成される光学式センサで、一定角度ごとにパルスを発生するしくみで、このパルスをカウントすることで位置のデジタル信号を得ることができます。ただし、電源をOFFするとカウンタの値がリセットされるため、電源投入時に決められた位置(原点)を教示する動作すなわち原点復帰動作が必要となります。
精度と信号の扱い易さではエンコーダに分がありますが、耐環境性とうい点では構造が簡単で丈夫なレゾルバが圧倒的に優位です。したがって、車載用など温度・湿度・振動・衝撃など環境の厳しいところでは、レゾルバが選択されていくのも当然と言えます。 |
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メーカー希望小売価格 |
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ヤマハ単軸ロボット(ACサーボモータ仕様)
※代表機種
「T7」150mmストローク ロボット単体価格
「T9」150mmストローク ロボット単体価格
「F14」150mmストローク ロボット単体価格
「F17」250mmストローク ロボット単体価格
コントローラ
「SRCX」
ロボットケーブル
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152,000円
182,000円
188,000円
260,000円
125,000円
13,000円
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消費税は含まず
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