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実生産タイムを20%短縮 ヤマハサーフェスマウンター『YV100X』を新開発

1998年10月05日発表

 ヤマハ発動機(株)は、中型汎用サーフェスマウンターのベストセラーモデル「YV100Ⅱ」を更に熟成・進化させ、実生産でのサイクルタイムを約20%短縮することを可能にした上級モデル「YV100X」を新開発しました。
 「YV100X」は10月14日から幕張メッセにて開催される'98実装プロセステクノロジー展に出展されます。


yv100x.jpg (35019 バイト)

ヤマハサーフェスマウンター「YV100X」

名称

ヤマハサーフェスマウンター「YV100X」

発売日

1999年3月1日

販売計画

600台



製品の概要

 携帯電話やパソコン、家電製品等の電子・電気機器に使われているプリント基板を組み立てる表面実装機(サーフェスマウンター)の分野において、当社は特にコストパフォーマンスに優れた中型汎用機の技術革新、信頼性の向上、作業効率の向上に取り組んでまいりました。
景気の低迷が続く中、サーフェスマウンターの業界でも大型機による大量高速生産から中型機による汎用性の高い、多品種対応生産があらためて評価されてきております。
このたび開発されました「YV100X」は97年4月に発売されたフルビジョン式(全部品を視覚認識、画像処理できるマルチビジョン認識システムを搭載)、8連ヘッド採用の中型汎用機のベストセラー「YV100Ⅱ」を細部にわたって熟成を図り、新技術の採用によって大幅に進化させたグレードアップモデルです。電子部品の小型化、高密度化、多様化に対応しながら、実生産でのサイクルタイムを約20%短縮することができると同時に、より高い汎用性を持たせることができました。
さらにYV100Xには、サイクルタイムの向上のほかに、稼働率をあげる為にいろいろな機能を追加しました。実生産における3大ロスといわれる、機械の空動き(部品の吸着、装着以外の無駄な動き)、機械の停止(主に部品切れによる停止)、そして段取りによる停止を徹底排除し、稼働率を向上させました。平均的な基板では、10%程度の稼働率の向上が期待できます。



製品の特徴

実生産タイム短縮のための新機構

1.空運転時間の短縮

◎中型機初のフライングノズルチェンジの採用
ヘッド移動中にノズル交換が可能となりいわゆる空運転時間が大幅に短縮しました。従来方式と比較し、ノズルチェンジステーションへの往復移動時間と交換時間が不要になり、実生産スピードの向上につながりました。

◎XY軸駆動にCP制御(注1)を導入
吸着から認識そして装着に至る動きの中で、経路の短縮と一時停止動作の排除を行い、ロス時間を徹底排除。トータルの認識時間の大幅な短縮につながりました。

○ノンストップ機能の拡大
従来のフィーダー交換時のノンストップ機能を,YTF(注2)やATS(注3)にも採用。生産中であってもマシンを止めずに部品の補給を行う事が出来るので、機械の生産性が向上しました。


2.段取り時間の短縮

◎バックアップピンの自動設定
従来基板が変わる度にそれをバックアップするピンの位置を人手で変更していたのが、新開発のこの機能により、プログラム変更のみでピンが自動的に位置設定され、大幅に段取り時間が短縮されました。

◎基板のバックアップ装置にサーボコントロールを採用
あらゆる厚みの電子基板に自動的に対応するために、サーボ式の自動バックアップ装置を採用しました。面倒だった段取り替えがプログラム変更のみで済むようになり、段取り時間の短縮につながりました。

○トレイ部品の高速供給
YTFの部品搬送用のシャトルを2連式にすることにより、従来の2倍の供給速度でトレイ部品を送れるようになりました。



信頼性・汎用性向上のための新機構

◎デュアルYドライブの採用
ヘッドが取り付けられているX軸ビームの整定性を高めるためにY軸の両端に2本のボールネジを配置しました。また、この2本のボールネジの動きを完全に同期させる新しい制御方式を開発しました。この結果吸装着速度と精度が大幅に向上しました。

◎ビジョンシステムのグレードアップ
①「電子部品認識のための新開発の高分解能デジタルマルチカメラと新開発の高速画像処理装置『VICS3000』(注4)の組み合わせにより従来機種に比較して分解能が2倍、メモリー容量が4倍となり、0603極小チップから□32mmQFP0,3mmピッチ(注5)まで幅広い認識が可能となった、と同時に認識時間の短縮も可能となりました。

②CSP(注6)の連続認識を可能とする新照明システム(マルチアングル)を新たに開発採用しました。これにより、これまで認識が困難だった特殊なCSPも確実に認識できるようになりました。

③フィデューシャルマーク(注7)認識用のカメラにもマルチアングル照明を採用し、あらゆる形態のフィデューシャルマークに対応が可能となり、基板位置決め精度をより向上させる事ができました。



注1.

CP制御:Continuous Passの略であり、連続複数点移動制御の意味。
円弧を描くような滑らかな移動を可能とします。

注2.

YTF:Yamaha Tray Feeder トレー上の部品をマウンターに供給する装置

注3.

ATS:Yamaha Auto Tray Sequencer トレー自体をダイレクトにマウンターに供給する装置。

注4.

VICS3000:Yamaha Vision Control System

注5.

0603極小チップ:0.6mmX0.3mmサイズの電子部品
□32mmQFP:32mmX32mmサイズの電子部品(Quad Flat Packageの略)

注6.

CSP:メモリーモジュール等に使われる電子部品の一種(Chip Scale Packageの略)

注7.

フィデューシャルマーク:電子基板上にある位置補正用のマーク



仕様諸元


機種

YV100X

基板寸法

L457×W355mm (Max.), L50×W50mm (Min.)またはL457×W435mm

基板搬送方向

右→左、Uターン (オプション:左→右)

装着精度

+-0.1mm(チップ部品)
+-0.08mm(QFP部品) <固定カメラ使用時>

装着タクト

0.21秒/個(チップ部品・同時吸着、連続搭載時)
1.7秒/個(QFB部品)

設定装着角度

+-180°、0.01°単位

部品品種数

・テープ品  100品種(Max., 8mmテープ換算)
・トレー品  100品種(Max., YTF使用時)

部品供給形態

8~56mm幅テープ品、ステック品、バルク品、トレー品

実装部品可能寸法

・0603 ~ □32mm部品、ロングコネクタ
・最大部品高さ:6.5mm

ポイントデータ数

2,560ポイント/基板(トータル25,000ポイント)

外形寸法

L1,655×W1,408×H1,850mm

重量

約1,450kg



メーカー希望小売価格

ヤマハサーフェスマウンター「YV100X」

未定


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