本文へ進みます

舟艇事業の構造改革・国内ボート製造工場の再編成について

1998年09月24日発表

 ヤマハ発動機株式会社とヤマハマリン製造株式会社は、9月23日、ヤマハマリン製造労働組合に対して、21世紀に向けて舟艇事業の構造改革をするために、以下の通り、国内ボート工場の再編成に関する提示を行いましたので、ご案内申し上げます。


1 国内舟艇事業の状況

 当社の国内舟艇事業は、1990年をピークに販売量が継続的に減少し、それに伴う工場の稼働率低下もあり、厳しい経営状況が続いています。

当社のプレジャーボートの販売隻数は、国内経済の成長と伴に、1990年には年間7320隻の販売規模までに伸長し、それに合わせた開発生産体制の整備を実施しました。しかし、バブル経済崩壊後、販売量は減少し、1994年は年間3490隻に減少、1995年にSRVシリーズ等の小型艇の開発などの効果により年間4500隻まで回復したものの、市場競争の激化や国内景気の低迷による買い控えなどにより、現在は年間4000隻を下回る販売量となっています。

 また、漁業市場を中心とした漁船・和船の販売隻数も、漁業経営体数が継続的に減少している事に伴い、1990年の年間6200隻から、現在は、年間3000隻まで低下しています。

 これにより、国内舟艇事業の全売上高は、1990年度の約710億円から1997年度は約410億円に、また、損益面も、1992年度以降、大幅な赤字が続いています。

 このような経営状況のなか、国内舟艇の生産は、ヤマハマリン製造(株)の3工場に加えて、ヤマハ蒲郡製造(株)、ヤマキ船舶化工(株)の計3会社5工場で実施していますが、現在、工場面積・人員とも60%台の稼動率であり、今後の販売見通しでも、面積・人員とも全体生産能力の50%の余剰が見込まれます。


2 舟艇事業の構造改革について

 ヤマハ発動機(株)は、本年4月より3ヶ年計画で、国内舟艇事業の生産・販売・開発における構造改革に取り組んでいますが、1999年4月より、その一環として、国内ボート製造の5工場の再編成を実施し、事業体質を強化します。

工場再編成の主な内容は、市場規模にあった生産能力の適正化のために、現在、全国にある5つのボート製造工場の生産能力を集約し、ボート製造の保有面積(約66,300m2)とボート製造に従事する人員(約850人)の半減を目指すものです。

 そのために、ヤマハマリン製造(株)で漁船・和船の製造をしている志度工場は閉鎖、中型・小型ボートの製造している八代工場はボート生産の位置づけを残しながら、増産の必要のある船外機の鋳造・加工・組み立て工場として活用し、主に小型・中型の船外機を2002年には約10万台規模の製造をする計画です。

ヤマハマリン製造(株)の天草工場は、従来の漁船・和船の製造に加え、志度工場の漁船・和船および八代工場の小型ボートを移管し、生産隻数を現在の2700隻から2000年には約3700隻に増加させるとともに、愛知県にあるヤマハ蒲郡製造(株)は、従来のヨットと中大型プレジャーボートの製造に加え、八代工場の中型プレジャーボートの製造を移管し、工場の稼働率を高めていきます。
なお、北海道で地域の漁船・和船を製造しているヤマキ船舶化工(株)は、従来通りの独立した製造拠点として継続します。

これにより、ボート製造工場は、従来の5工場からヤマハマリン製造(株)の天草工場、ヤマハ蒲郡製造(株)、ヤマキ船舶化工(株)の計3工場となります。
また、ボート工場の再編と並行して、小型ボートの市場競争力を高めるために、生産の高効率化とともに国内外へのアウトソーシングも検討していきます。

 販売部門では、商品(小型艇、中大型艇、業務艇)毎に重点市場を決め、それに対応した販売拠点と人員を再配置するとともに、マーケティング機能の再構築と第一線での販売力を強化します。

開発部門では、性能・機能面を強化した戦略モデルの設定、モデルの統廃合や部品・構造・材料等の共通化や標準化、開発生産プロセスの見直しを行い、コストの削減を目指します。


3 志度工場の閉鎖について

 再編の目的は「国際競争力ある21世紀の舟艇事業」であり、具体的には、重点強化する商品カテゴリー、市場の地域性、保有スキル、工場スペース等の視点で、現在ある5工場について検討をしてきました。

 その結果、志度工場(工場スペース:12,000m2、従業員数:120名)にボート製造工場を集約することは、①ボート生産の集約を図るにはスペースが狭く、使用効率も低い。②建物および設備等の老朽化が進んでいるなど、将来にわたって活用する発展性の視点から、残念ながら1999年3月末をもって閉鎖せざるを得ないという結論に達しました。


4 工場再編に伴う人的再配置について

 当社では、この度の工場再編に伴う人的再配置における雇用確保は、経営の最優先課題であると認識し、ヤマハ発動機グループの全体問題として捉え、勤務地変更に対する本人の意向を確認しながら全体の雇用を確保していきます。
また、勤務地変更に対応不可能という理由で退職を余儀なく選択される方には、会社都合の退職条件および優遇制度の特別措置の条件をもって、再出発の援助を行います。


5 構造改革後の姿

 当社では、舟艇事業の見直しを実施し、固定費の削減や事業効率の向上により、2001年3月には、舟艇事業の赤字体質からの脱却とともに環境の変化に強い企業体質作りを目指します。

そして、構造改革を通して、当社は、日本独自の地理的条件や風土、お客様の趣向や 用途等にあった「日本型マリンレジャー」を推し進め、よりお客様に近づいたビジネス 構造への転換をしていきます。同時に、国際的な視点から日本市場を捉え、グローバルな 生産・販売のネットワークを活用し、世界から日本のマリンレジャーにあったボートや遊 びを提供し、国内のお客様の満足度を高め、楽しみも広げていく計画です。

 また、今後も、業界の更なる発展とともに、さらに多くの人々にマリンレジャーの楽しさや感動の提供、そして、漁業の近代化を支援し続ける事を社会的責任と考え、その責務を果たしていきたいと考えます。



ヤマハマリン製造株式会社の概要


所在地

熊本県八代市新港町

創立年

1996年

代表者名

川島 龍夫

資本金

4億9千万円(ヤマハ発動機株式会社100%出資)

工場面積

42,000m2(八代:15600m2・天草:14400m2・志度:12000m2

従業員数

約620人

事業内容

中・小型プレジャーボート、漁船、和船の製造

売上高

111億円(1998年3月期)

生産台数

(八代工場) 小型・中型ボート 約3000隻/年間
(天草工場) 漁船・和船 約2700隻/年間
(志度工場) 地域の漁船・和船 約1500隻/年間



ヤマハ蒲郡製造株式会社の概要


所在地

愛知県蒲郡市

創立年

1967年

代表者名

村井 七生

資本金

4億9千万円(ヤマハ発動機株式会社99%出資)

工場面積

16,100m2

従業員数

約180人

事業内容

特注艇、大型・中型のプレジャーボート、ヨットの製造

売上高

約34億円(1998年3月期)

生産台数

中型・大型ボートを約570隻/年間



ヤマキ船舶化工株式会社の概要


所在地

北海道山越郡八雲町

創立年

1986年

代表者名

片岡 猛

資本金

1千万円(ヤマハ発動機販売株式会社100%出資)

工場面積

8,200m2

従業員数

約50名

事業内容

漁船・和船の製造

売上高

約6.2億円(1998年3月期)

生産台数

地域の漁船・和船を約460隻/年間


ページ
先頭へ