電動ハイブリッド自転車｢ヤマハ PAS｣のシステムユニット　海外供給開始について

　ヤマハ発動機株式会社は、このほど、欧米の自転車メーカー5社に、電動ハイブリッド自転車｢ヤマハ PAS｣のシステムユニット｢パワー・アシスト・システム｣を供給する事について基本的合意に達しました。
これにより、当社では、これまでの｢ヤマハ PAS｣の国内での完成車販売とそのシステムユニットを国内自転車メーカーに供給する事業に加え、海外にシステムユニットを供給する新たなビジネス展開を開始します。

　供給先は、ドイツの｢KYNAST(キナスト)社｣、オランダの｢SPARTA(スパルタ)社｣、イタリアの｢BIANCHI(ビアンキ)社｣、アメリカの｢TREK(トレック)社｣の各国有力自転車メーカーと、フランスの自転車メーカーであり当社の小型二輪車の製造拠点である｢MBKインダストリー社｣です。

　供給する内容は、パワーユニット、バッテリー、充電器の3点セットで構成するシステムユニットであり、必要によりプラスチック製のカバー等のデザイン部品も供給します。いずれも、ヤマハ｢ニュー PAS｣のシステムユニットをベースとし、各国の性能・安全基準等に適合させた仕様です。供給規模は、1997年度は１万５千台であり、本年１０月より順次供給を開始します。
また、海外自転車メーカー5社は、各々、商品企画を既に決定し、1998年モデルとして市場導入を計画しており、今後も、順次、モデルの拡充を進める計画です。

　当社は、1994年に世界初の電動ハイブリッド自転車｢ヤマハ PAS｣の全国発売を開始し、1997年6月までに累計で20万台を販売してきました。また、健全な普及振興を図るため、国内の大手自転車メーカーであるブリヂストンサイクル株式会社、ナショナル自転車工業株式会社と相互協力関係を結び、システムユニットの供給とともに共同でのモデル開発を行ってきました。また、本年4月より、国内自転車メーカー大手3社の一つである宮田工業株式会社への供給を開始し、これにより国内でのシステムユニットの供給先は3社となります。

　今回の契約により、当社のPASシステムユニットの供給先は8社となります。当社では、完成車販売に加え、今後もシステムユニットの供給ビジネスを国内外で本格的に展開していく考えです。その為に、今後、システムユニットのバリエーションを更に増やし、様々な車体レイアウトに対応できるように拡充もすすめていきます。

　当社では、それぞれの市場に密着したマーケティングと商品企画を提携先メーカーが主体的に行い、当社がそれに適するシステムユニットの開発・供給並びに必要な技術支援を分担し、原則として完成車輸出は行わない予定です。
今後も、海外の自転車メーカーと連携し、ライセンス供与等を含めた相互協力により、新たな市場をグローバルに創出することを目指していきます。

① 車体の重心位置周辺にパワーユニットとバッテリーをレイアウトすることにより、車両としてのバランスが良く、優れた操縦安定性を実現。

② マイコンによる高度なモーター電流コントロールにより、極めてスムースな走行感覚の実現と共に、1充電当たりの十分な走行距離を実現。(ニューPAS26インチの場合： 平坦路での航続距離は40km)

③ 軽量、コンパクトな駆動ユニットを2タイプ用意し、車体構造等により選択が可能。その為に、供給先メーカーが車体のデザインを多様に設定できる。

④ 世界に先駆けて開発・市場導入し、既に20万台を超す実績による蓄積から、細部に至るまでの高い信頼性を実現。

⑤ 数多いパテントを内外に出願しており、システムユニットのユーザーにライセンスされる。

KYNAST社

SPARTA社

BIANCHI社

TREK社

MBK社