ヤマハ発動機(株)では、'97F1世界選手権シリーズに向けて、『アロウズ・ヤマハ』のニューマシン『A18』に搭載するエンジン『OX11A』スペックCとスペックDの開発を進めており、ここにその概要をご案内いたします。
今回の開発の主なテーマは、『OX11A』が持つ極めて軽量かつコンパクトなデザイン特性を維持しながら、昨シーズン明らかになった諸問題に対処すること。そして、出力向上のためにトルクバンドを拡大し、ドライバビリティを改善すること。また信頼性向上の面では、新管理システムの導入と、ヤマハの開発パートナーであるエンジン・デベロップメンツ社のスタッフを増員することで改善をはかっています。
開幕戦から序盤3レースには、スペックCと呼ばれるエンジンを投入します。これは、エンジン下部にあたる潤滑系やクランクシャフト、オイルポンプ、ウォーターポンプの全面的な見直しでフリクション・ロスの低減をはかり、出力アップを実現しているのが特長です。
さらに、第4戦以降のヨーロッパラウンドで投入する予定のスペックDは、エンジン上部の潤滑系やシリンダーヘッド、カムシャフトとバルブ、吸気システムとニューマチックシステムを一新。より優れた吸・排気効率を実現することで、出力とドライバビリティを向上させています。
こうした改良の相乗効果によって、『OX11A』はすでに昨年比で5%以上の出力アップを達成しており、シーズン中もさらに開発を進めてまいります。
このニューエンジン開発について、ヤマハのスポーティングディレクターであるハービー・ブラッシュは次のように語っています。
「新チームと組んで戦うのは非常にエキサイティングで、我々のモチベーションは今までになく高まっている。めきめき実力をつけてきたペドロ・ディニスと、'96世界チャンピオンのデーモン・ヒル(彼の父・グラハムが1969年に最後のモナコGPで優勝したときに、わたしはメカニックとして働いていた)、そして技術的能力と、定めた目標を全て成し遂げることで高い評価を得ているトム・ウォーキンショーとともに働けることが楽しみだ。世界チャンピオンを迎えたことで周囲の大変な注目を集め、大きなプレッシャーものしかかっているが、我々は非常にエキサイティングな年になると確信しており、シーズンが始まるのを心待ちにしている」
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