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長期ビジョンを具現化する技術

先端技術研究の責任者が描く「展望」

カーボンニュートラルの実現やCASEへの大きなうねり、さらには新規メーカーのEV参入など、モビリティを取り巻く世界はいま「100年に一度の変革期」と言われています。当社では長期ビジョンの構成要素としてTransforming Mobility(モビリティの変革)を掲げ、モビリティにかかわるさまざまな社会課題の解決と変革に向けて研究開発を進めるとともに、常にヤマハらしく、パーソナルモビリティが本来持つ価値の一つ、「楽しい移動」を実現する技術開発を目指しています。

社会課題の解決に向けた研究開発を最優先に、
「人がもっと幸せになれるモビリティ」を
生み出します

取締役上席執行役員 技術・研究本部長
丸山 平二

「新たな形態と提供価値」を持つ小型モビリティを

各国政府や企業の多くが、2030年から2060年を目途に、カーボンニュートラルを実現させる目標を掲げています。しかしながら、私たちの生活には炭素が非常に深くかかわっており、カーボンフリー化はたいへんなチャレンジになると予想されます。
モビリティのカーボンニュートラルに向けては、HEV、PHEV、EV、FCV、e-fuelなど多くの技術的な手法が検討されていますが、ライフサイクルアセスメントの視点では、生産工程や製品使用過程におけるエネルギー源のクリーン度の影響も大きく簡単ではありません。 加えて二輪車などの小型・軽量モビリティでは、搭載性や販売価格の課題が自動車と比べて重くのしかかり、最適解を導き出すのはハードルの高い課題です。 現在考えられている技術的手法では、従来の小型モビリティの提供価値を保つことは難しく、だからこそ私たちは、新しい形態、新しい提供価値を持った小型モビリティを生み出す必要があると考えているのです。

移動そのものの「楽しさ」は重要価値の一つ

モビリティの価値があらためて問われるいま、その視点の中心は、たとえばCASEに象徴されるように「ラクに移動する」ことに集中しがちな傾向が見られます。 つまり、より短時間で、自動で、安全に目的地を目指す、という価値です。
しかしながら、私たちはパーソナルモビリティの重要な価値の一つに、移動そのものの「楽しさ」があると考えています。もちろん社会課題の解決が最優先事項ですが、明るい日差しと陽気に誘われてふらりと出かけたくなったとき、その気分に応えられる環境にやさしく楽しいモビリティを目指したいと考えています。
当社の長期ビジョンのキーフレーズは、「人はもっと幸せになれる」。ヤマハらしく社会課題に取り組みながら、まさに「人がもっと幸せになれるモビリティ」を生み出していきたいと思います。

二輪車の長所を活かし、弱点を補うLMW次世代モビリティの開発

一例として、LMWの進化についてご説明します。当社には、自動車と二輪車の間に位置するLMW (Leaning Multi Wheel)という製品領域があり、 その技術を応用した次世代モビリティの開発を行っています。小型で、占有面積や環境負荷が小さく、都市部をスピーディに移動できる二輪車の優れた長所を活かしつつ、弱点の部分、すなわち環境変化や外乱に弱く、転倒の可能性があり、乗りこなすのにスキルが必要という点の改善を目指したモビリティの提案です。自動車ほどではありませんが簡易なキャビンを持ち、自動制御の技術で自立し、二輪車のように車体を傾斜して(リーニング)の旋回ができます。もちろん運転・操作に特別なスキルは必要ありません。
自動制御での自立やリーニングコントロールには、最新のMBSEの手法で開発を進めており、サーキットを高速で走行する自律ライディングロボット「MOTOBOT」や、AI搭載の概念検証実験モデル「MOTOROiD」の開発で獲得した技術が活かされています。また、その基盤にはヤマハ発動機の4つのコア技術:パワートレインの技術、車体・艇体技術、制御技術、生産技術があります。新しいモビリティの創出には、これら4つの技術のすべてを駆使し、相互に高度な連携を行いながら進める必要があります。

長期ビジョン ART for Human Possibilities の実現へ

「人がもっと幸せになれるモビリティ」を創出する基盤は、4つのコア技術。それらすべてを駆使するだけでなく、高度な連携も必要とされる次世代モビリティの開発は、長期ビジョンの3要素のひとつである 「モビリティに変革をもたらす(Transforming Mobility)」への取り組みであり、激変していく世界環境のもとでも変わることなく求められる「楽しい移動」を実現する技術開発なのです。

LMW次世代ビークルのMBSEアプローチ

LMW次世代ビークルのMBSEアプローチ
次世代モビリティ創出の基盤: ヤマハ発動機の「コア技術」
ヤマハ発動機の開発思想「人機官能」

ヤマハ発動機の開発思想
「人機官能」

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