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モーターサイクル 鋳造技術

「モーターサイクル 鋳造技術」を担当する社員の仕事内容を紹介します。

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鋳造技術を起点としたイノベーションの創出へ。

まだ分からないことが多い鋳造技術。

ヤマハ発動機の企業目的は「感動創造企業」。エンジニアたちは世界中の人々に感動を提供することを目指してモノ創りに取り組んでいる。それは決して容易なことではない。過程には挑戦と困難が付き物だ。しかしだからこそ、エンジニア自身が感動を味わえる瞬間もある。

松原は入社以来、一貫して鋳造技術を担当してきた。設計担当の描いた図面を基に解析技術も使いながら、安定した品質、短期間、低コストで生産できるつくり方を追求する仕事だ。

鋳造は金属を熱で溶かし、鋳型の中に流し込み、冷やして固める技術。歴史は古く、紀元前4,000年ごろ、メソポタミアで始まったといわれている。しかし、テクノロジーが進化した現代にあってもまだ分からないことが多いと松原は話す。

「鋳造はコントロールできない要素の影響を受けやすい技術です。同じ条件でつくっているのに、ある日突然うまくいかなくなることもあります。ヤマハ発動機において鋳造はコア技術の一つなので豊富な知見が蓄積されています。解析技術も進化しています。それでも『やってみないと分からない』部分はまだありますね」

鋳造と向き合い続けてきたからこそ、鋳造の難しさも知る松原。しかし従来の工法をアップデートしていくだけでは大きな進化は望めない。鋳造技術を起点としたイノベーションの創出を目指し、松原たちは以前、新しい鋳造技術の開発に挑戦したことがある。

社員紹介写真
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硬さとしなやかさ、両方を高めるために。

目指したのは、従来の鋳造技術ではたどり着けない軽量ホイールの実現。そのために回転塑性加工と呼ばれる工法の適用に挑んだ。材料研究、設計、そして松原たち製造技術、この3部門の共同による取り組みだ。

「この工法の特徴は、ろくろで陶芸作品を成形するようにホイールを“押し延ばす”工程を加えることです。適用に成功すれば、従来の工法よりも素材としての硬さとしなやかさ、両方を高めることができます。するとこれまでにない薄肉化を実現でき、大幅な軽量化につながります」

硬さとしなやかさは、本来はトレードオフの関係だ。硬さを高めるとしなやかさがなくなり、割れやすくなる。逆にしなやかさを高めると柔らかくなり、変形しやすくなる。しかしホイールとしてのスペックを向上させるには、両方を高める必要がある。ライダーの命を預かって支える部品の一つだけに、妥協は許されない。

「硬さとしなやかさの両方を高めるために、押し延ばす工程の追加に加え、材料の成分も変更しました」

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忘れられない、試作品を手にした瞬間の感動。

問題はここからだ。実現に向けての課題は山積みだった。押し延ばすことを前提とした最適な形状の検討。材料の変更に伴う熱処理条件の見直し。すべてが未知の世界だった。松原たちは経験したことのない回数のトライ&エラーを繰り返した。

「担当する工程の始めから終わりまで、これまでとすべてが変わります。開発の過程はトラブルの連続。一つひとつ原因分析し、一つひとつクリアしていきました。多少こじつけ気味であっても『こうすれば解決できるはず』と次の一手を打てるうちは『まだあきらめるタイミングではない』と自分に言い聞かせながら」

実現は不可能かもしれない、と脳裏にちらつくこともあったという。しかし試行錯誤はついに実を結んだ。最初の試作品を手にした瞬間の感動を、松原は今もありありと思い出すことができる。

「一番衝撃を受けたのは、軽さです。リム(タイヤを組み付ける部分)が目で見て分かるぐらいに薄くなっているし、持った質感もこれまでとまったく違いました。金属の塊をたたくと普通は鈍い音がしますよね。でも試作品はシンバルのようなコーンと高い音が響いたんです。もちろん設計上で目標にしていた通りの薄さと軽さです。でも書かれていた数字を見るのと、実物を見て、持ってみるのとでは、全然イメージが違いました」

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ヤマハ発動機の代名詞となるような技術を生み出したい。

新材料・新工法によって大幅な軽量化に成功し、完成したホイールは「SPINFORGED WHEEL(スピンフォージドホイール)」と命名された。

「設計担当の要求に製造技術エンジニアが応える、という流れだけでは製品の発展に限界があると思います。今回のSPINFORGED WHEELのように製造技術者から『こういうシーズがあります』と提案して、設計技術者が『それならこういう形状が可能になるね』という流れもどんどん生み出していくことが、これからもっと重要になると考えています」

将来の目標は“ゼロからの新技術開発”だ。

「SPINFORGED WHEELの開発は、私が入社する前に先輩が立ち上げ、下準備を進めていた案件です。私は量産に向けての試作開発からの参加でした。いつかはゼロから立ち上げ『ヤマハ発動機といえばこれ』と代名詞となるような技術を生み出したい。チャレンジを推奨するヤマハ発動機の風土なら必ず実現できると信じています」

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モーターサイクル 鋳造技術

私は釣りが好きです。ある日ふと「フライフィッシングもやってみたいな」と同僚に話したところ、人づてに「毎年夏にカナダへ、フライフィッシングをするためだけに行く社員」と知り合いました。
入社した頃に「何らかの趣味の道を極めた人が社内に1人はいる」と先輩から聞いたことがあります。本当にその通りだと思いました。

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※所属部署、記事内容は、取材当時のものです。

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