二輪の整備士という職業は、国によって「きつい」とか「汚い」とか思われてしまったりすることもありますが、市場最前線でお客様と接する大切なヤマハの仲間です。時には、クレームを言われてしまうこともあると思いますが、いつもモチベーション高く、仕事をすることに喜びを感じてもらいために、サービス政策の一つとして2001年にYTAがスタートし、翌2002年からWTGPを実施しています。
YTAは、整備士の知識とスキル向上のための教育プログラムで、世界中のヤマハの販売店で導入されています。販売店スタッフ向けの教育・研修プログラムは他メーカーでもさまざまな形式で導入されていますが、YTAのスタイルはヤマハらしく「現物主義」を貫いているのが大きな特徴です。E-ラーニングなどの手法もありますが、我々は敢えて現物で学ぶために、実車を分解しながらオートバイの原理や構造を整備士一人ひとりに理解してもらうようにしています。
YTAを開始した当時、私は中国市場を担当していました。文化や考え方が日本とは違う中で、整備士の知識やスキルを向上させるためにはどうしたら良いかを、試行錯誤しながら実践することを通じて、「教える」のではなく、YTAを使って「育てる」という考え方に至りました。現状では、一生懸命育てても、スキルを身につけるとより高給を求めて、他業種に籍を移してしまう整備士もいるのが実情です。今後はスキルを身につけた先輩スタッフが、インストラクターとして後輩に教え、どんどん知識とスキルをもったスタッフが増えていくことを期待しています。
世界中のすべてのヤマハ整備士が、自分自身の提供したサービスによってお客様から感謝され、その声に喜びを感じて、さらに技術を磨く。そんな風に継続的にプラスのスパイラルを生み出していけたら、お客様が「またヤマハにするよ!」と思ってくださり、それが整備士の皆さんの幸せにつながっていきます。我々事務局メンバーはこれからも地道に教育活動を展開し、ヤマハのマインドと技術を受け継いだ整備士の育成に力を注いでいきたいと考えています。
当初は第10回大会で一つの区切りと思っていましたが、第7回大会を目前に控えて、20回、30回ともっともっと継続していかねばという思いが強まっています。ヤマハ社員の皆さんにはWTGPを通じて、サービス部の取り組みや思いを知ってもらうきっかけになればいいですね。