そこで今回は、海外駐在を経験し、現在は国内でグローバルに活躍する、マリン事業本部の原田直樹さん、MC事業部の高田資嗣さんの2人に話をお聞きしました。
ヤマハ発動機では従業員に占める駐在員比率が高く、基幹職と総合職の約10人に1人が海外に駐在員として赴任し活躍しています。国内で働いている場合でも、海外出張に行く機会や海外とオンラインでやりとりする機会が日常的にあり、多くの社員が海外との接点を持ちながら仕事をしています。
艇体開発部 製品開発グループ
中南米グループ
グループリーダー
アジアまで、幅広いフィールドに活躍の場がある
── 現在担当する業務と、これまでの駐在経験について教えてください。
原田さん(以下、原田) 私はマリンの製品開発グループに所属し、ウェーブランナーの新モデルのプロジェクトリーダーと完成艇の実験リーダーを担当しています。2022年の3月まで、アメリカに5年間駐在していました。我々の担当商材はアメリカが需要の中心地であるので、同国で完成艇を組み立てて、艇体の開発は主に現地で行っています。私は入社以来ウェーブランナーの開発に携わってきたので、ずっとアメリカを意識する環境に置かれていました。駐在する前年に、関わっていたプロジェクトが一区切りつき、次に何をやりたいかなと考えていたとき、ちょうど前任者が帰任するタイミングで、その後任に立候補しました。こどもが小学1年生の時で、5年間駐在したとしても、中学入学前までに帰って来れるなと考えたことも、決断の後押しになりました。
原田さんがアメリカ駐在時に
開発を担当した製品
ウェーブランナーGP1800 SVHO
純粋に走りを楽しむために絶対的な魅力である「速さ」を追求した製品。1.8リットルの大排気量エンジンと、高性能&超軽量ハルとの組み合わせにより、スポーツ走行の醍醐味が味わえる。
高田さん(以下、高田) 私はモーターサイクルの海外営業を担当しています。海外営業は売るというだけでなく、ビジネスを作っていく仕事です。商品企画、開発、製造、物流、ITなどの多岐にわたる部門と一緒に事業を作り上げていきます。私の場合、もともとモーターサイクルが好きで入社し、海外志向は強くありませんでした。入社後5年間は海外市場開拓の仕事を担当し、その後気が付けばご縁をいただき海外駐在が続く形になりました。2008年からまずブラジル・サンパウロに5年間。一度日本に帰国後、メキシコに4年間、続いて台湾に2年間駐在していました。今年からまた日本に戻り、中南米全体での海外営業に携わっています。
── 駐在時に苦労したことについて伺いたいのですが、皆さん、英語はもともと得意だったのでしょうか?
原田 私は英語での会話が流暢にできるレベルではなかったので、最初は自分の意見はなんとか言えても、意見を返されたときにやりとりが続かずに「もういいかな……」と妥協してしまうこともよくありました。ただ、今振り返ると「英語ができないから」と語学力のせいにしていた気がします。次第にお互いを知ることで業務が円滑に進むようになり、知識を身につけることで会話も弾むようになっていったので。言語はツールでしかないと実感できたのはいい経験です。
高田 私の最初の赴任地であるブラジルは、英語ではなくポルトガル語が公用語になります。私の場合は現地で仕事をしながらポルトガル語を覚えました。最初は食堂のメニューもまったくわからないような状態でしたが、辞書を片手に社内、取引先、また近所の方々とコミュニケーションを取りながら言葉を覚えていきました。次のメキシコでのスペイン語は、ポルトガル語のべ―スをフル活用しました。それらが今でも役立っています。
メキシコ駐在時の高田さん
Yamaha Motor de México, S.A. de C.V.(YMMEX)の仲の良かった社員と清掃スタッフの皆さんと。駐在先によっては英語が通じる相手が限られることも少なくありません。英語圏以外の地域では、その国の言語を使うことがより深いコミュニケーションにつながります。
── 海外で働いたことで、ご自身の中で成長できたと実感することはありますか?
原田 見習うべきだと感じたのが行動の早さです。アメリカ人は細かいことを気にし過ぎず、すぐに行動に移すし、リカバリーも早い。日本人は気になることが多いためにやることも多くなり、それが残業や生産性の低下につながってしまうことにも。帰国後は「このミーティングは意味があるのか」「どういう目的があるのか」など、それが本当に必要か考えるようになりましたね。部下が悩んでいるときにも「まずはやってみたら?」と声をかけるようになりました。また、アメリカ人は家族を大事にする気持ちが強く、休暇の取り方も上手。そういった点も見習いたいです。
あと、私生活の面でいうと、家に工事の担当者を呼んでも時間通りに来ることは少なく、最悪来ないことも多々あって(笑)。それを繰り返すうちに、「まあ、いいか」と広い心を持てるようになったのも、いい経験といえるかもしれません。
高田 日本の真裏の中南米での生活が長いので、異文化の中で人生観が結構変わりました。皆さん人生を楽しむのが上手で、そこには学ぶことがたくさんありました。今年から中南米担当に戻り、若かった頃に一緒に仕事をしていたナショナルスタッフと再会、「お互い年取ったね!」と笑いながら話したりすることも。そんなつながりができたことも含めて、駐在で得た経験は仕事だけと割り切れない部分が多く、私の人生そのものといえます。個人では体験できないようなことを会社にチャレンジさせてもらったと感謝しています。
── 現在、日本で働いている中でも世界とつながっていると感じることは多いですか?
高田 ヤマハ発動機はモーターサイクル、マリン以外にも製品が多数あり、 世界180を超える国と地域で展開しています。ですので、営業部門は海外出張も多いです。また国内にいるときも海外の拠点や取引先と毎日会議やメールでのやりとりをしておりますが、日常のことなのでグローバルだと意識しておりません。特にこの数年でテレワークの環境が整ったので、海外との垣根がさらに低くなりました。駐在員でなくても、日々グローバルな仕事は可能です。海外との接点を持ちながら働きたい方にはおすすめの職場だと感じます。
原田 私の部署の商材は多くの国に輸出しているので、アメリカだけではなく、ヨーロッパやアジアなどにも市場調査として訪問する機会があります。駐在しなくても海外出張に行くことで、海外でのヤマハの製品に対する評価を肌で感じる機会があります。
── これまでの経験を通して、グローバルに活躍するために向いているのは、どのような人材ですか?
高田 結局はコミュニケーション力が一番大事だと思います。語学力にかかわらず、目で会話できるような人もいますからね。それは駐在員に限らず、国内の業務でも同じかもしれません。言語だけでなく、異文化の相手を尊重して希望を読み取り、うまく意思疎通ができるような人が活躍できるのではないでしょうか。
原田 ヤマハの製品は世界中の多くの国で使われ、使い方もそれぞれですが、笑顔を与えているという点は全世界共通。仕事をしていて、大変なこともたくさんあるけれど、「やっていて良かった!」と思う瞬間は、お客さまが楽しそうに製品を使っている姿を見たときです。そういったことに幸せを感じられる人なら、やりがいを持って仕事に取り組めるはずです。
まず売上の9割が海外ということに驚きました。そんな組織においては、誰もがグローバル感覚を持ちながら仕事をすることが当たり前の環境なのだろうと想像します。年齢、性別を問わず、海外で働くチャンスをもらえるのも、ヤマハ発動機の大きな魅力の一つ。仕事の面でも人間的な成長の面でも、充実した日々を送ってきたことが2人の表情から伺えました。