以下項目について社長インタビューをしました。

Q1

中期経営計画2年目にあたる2014年の業績を
総括してください。

中期経営計画の営業利益目標を、前倒しで達成することができました。

 2014年の世界経済は、先進国では景気回復基調にありながら不透明感を払拭できず、新興国では景気の踊り場状態が続く状況となりました。
 米国では雇用・所得の改善により緩やかな回復が続いたものの、欧州ではギリシャ債務問題の再燃・ロシア通貨不安などにより回復が鈍化、日本も円安・株高基調ながら消費税率引き上げの影響により消費の落ち込みが見られました。新興国においては、インドが回復に向かう中、アセアン・中国・南米では足踏み状態が続きました。
 このような経営環境下、ヤマハ発動機グループは、中期経営計画(2013年~2015年)の取り組みとして商品競争力強化・モノ創り改革・構造改革・成長戦略などを進めてきました。2年目の2014年においては、全事業セグメントで増収・増益となり、営業利益目標(2015年:800億円)を前倒しで達成することができました。
 2014年の売上高は、商品ラインナップの拡充による販売増加、高価格商品の増加、先進国通貨高による円安効果により、1兆5,212億円(前年比1,107億円・7.9%増加)となりました。この増収効果に加え、先進国事業においては円安効果が開発費等の増加分を上回ったほか、新興国事業においてもコストダウン効果が通貨安による仕入コスト上昇分等を上回りました。これにより、営業利益は872億円(同321億円・58.2%増加)、経常利益は973億円(同372億円・61.9%増加)、当期純利益は685億円(同244億円・55.4%増加)、営業利益率は5.7%となりました。
 なお、財務面では、D/Eレシオ(ネット)は0.6倍(前年末0.7倍)、自己資本比率は35.1%(前年末比1.6ポイント改善)となり、安定的に推移しています。

事業別売上高・営業利益(2014年実績)

全事業部門において、増収・増益を達成する。

事業別売上高・営業利益(2014年実績)

Q2

全事業セグメントで増収・増益になった要因を、
どのように分析されていますか。

4つの取り組み事項が、成果につながり始めました。

1. 「個性ある新商品」の市場投入

 ヤマハらしい独創性・技術・デザインでつくり込まれた「個性ある新商品」を世界市場に続々と投入しました。中期経営計画に織り込んだ250の新商品投入のうち、2014年末までに63%を投入完了し、2015年には100%投入する見込みです。
 いずれの商品も、お客さまの高い評価を得て市場プレゼンスを高めることができました。

2. 「モノ創り」を変える

 エンジン・骨格・機能部品・外観部品をプラットフォーム化する新しい開発手法が進み、その手法により誕生した新商品の市場投入が始まりました。また、アセアンからグローバル市場への展開を目的に企画・開発した新商品の市場投入も始まりました。
 同時に、商品性とコストを両立させる基盤づくりが進みました。コストについては、プラットフォーム開発による調達コストダウン、理論値生産による生産・物流コストダウンなど、あらゆる取り組みを進めてきました。

3. 構造改革を推進する

 国内生産体制は、2009年末の12工場・25ユニットから2015年末の6工場・13ユニットへの集約・再編成が最終段階を迎えています。また、欧州事業体制も、販売会社の構造改革に取り組み、「One Company(組織・運営の一体化)」から「One Entity(企業法人の一社化)」へと進みました。

4. 将来成長戦略を実行する

 パキスタン・ナイジェリアへの二輪車事業進出を目指した新会社設立・工場建設準備、北米におけるファイナンス事業の拡大、その他新規事業開発など、将来への成長戦略が進みました。

Q3

先進国二輪車事業の取り組みについて
お聞かせください。

ブランドを輝かせながら、事業黒字化を目指します。

 2014年は、リーマンショック以降続いた総需要減少傾向に底打ち感が見られました。こうした中、当社二輪車出荷台数は、新商品投入効果で前年比13%増加の41.4万台となりました。
 特に、当社独自の個性的領域をつくる「MT」シリーズでは、『MT-07』『MT-09』が世界市場で高い評価を獲得するとともに、圧倒的な高性能・先進技術・新しいデザインに挑戦したフラッグシップ『R1』を発表しました。そして、当社独自のスポーツコミューター「MAX」シリーズでは、『TMAX』『XMAX』『SMAX』が高い評価を獲得しています。
 2015年は、総需要回復が続くという見込みから、当社出荷台数は44.5万台を計画しており、さらに「個性ある新商品」の市場投入を継続して、ブランドを輝かせてまいります。また、構造改革を継続的に進めて、先進国二輪車事業の黒字化を目指します。

二輪車事業 : 先進国市場

二輪車事業 : 先進国市場
二輪車事業 : 先進国市場

商品性とコストを両立させながら、引き続き個性ある二輪車新商品を投入してラインナップを拡充し、ヤマハのブランド力を高めます。

Q4

新興国二輪車事業の取り組みについて
お聞かせください。

ヤマハのブランド力を高め、販売・収益性を向上させます。

アセアン市場

 2014年は、景気低迷の影響で、総需要が前年比3%減少しました。当社は、上半期は新商品の準備期間だったこともあり、年間出荷台数は前年比9%減少しました。
 夏以降、次世代エンジン・プラットフォーム「BLUE CORE」の第1弾として、空冷125ccエンジンを搭載するアセアン・コミューター『Nozza Grande』『Grand Filano』『Mio125』を市場投入しました。「BLUE CORE」は、低燃費と走りの楽しさを両立させるエンジンです。燃費は、2008年比50%の改善をして、現在業界最高水準にあります。
 2015年は、第2弾として、水冷155ccエンジンを搭載するスポーツコミューター『NMAX』を、アセアンからグローバル市場に投入します。そして、ヤマハのブランド力を高め、販売・収益性の回復を図ります。

二輪車事業 : アセアン市場

二輪車事業 : アセアン市場
二輪車事業 : アセアン市場
二輪車事業 : アセアン市場

インド市場

 2014年は、総需要が前年比12%増加しました。当社出荷台数は、新商品投入や販売網拡充により前年比23%増加しました。国内・輸出をあわせた全体では、74万台となりました。新商品として、成長著しいスクーター領域に『CYGNUS α』、ブランドを牽引するスポーツ領域に『FZS FI』を投入しました。
 また、南部チェンナイ地域に、部品製造工場・車体組立工場・R&D・ベンダーパーク(部品取引先の工場群)を1カ所に集約した事業拠点の建設、及び営業拠点の建設を進め、2015年初旬に稼動開始の予定です。
 2015年は、この新しい事業体制の下で、商品ラインナップ拡充やさらなるコストダウンを進めます。販売面では、現地のお客さまと強い絆をつくるためのプロモーション活動を行い、地方市場攻略を進めます。

二輪車事業 : インド市場

二輪車事業 : インド市場 二輪車事業 : インド市場
二輪車事業 : インド市場

新しい価値を提案する商品を投入し、新たな市場領域の開拓やお客さま層の拡大に取り組み、存在感を高めます。

Q5

マリン事業の取り組みについて
お聞かせください。

売上高3,000億円・営業利益率20%水準の特徴的なビジネスモデルをつくります。

 当社のマリン事業は、総合事業力・信頼性・ネットワーク力により高いブランド力を構築しています。2014年は、北米市場で湖・河川・海洋の各市場で総需要回復が進んでいること、船内機から船外機への製品シフトが進んでいることから、大型エンジンの販売増加が顕著になりました。
 主な新商品としては、大型エンジン『F175』・中型エンジン『F115』、タイ生産の小型エンジン『F4/5/6』、新技術による減速・後進システム「RiDE」を搭載した『FX/FZS』などを発売しました。
 2015年は、新しい価値の提供を通じてお客さま層を広げ、売上高3,000億円・営業利益率20%水準の特徴的なビジネスモデルをつくっていきます。

マリン事業

マリン事業
マリン事業

Q6

その他の事業の取り組みについて
お聞かせください。

個性ある多様性で、成長・収益に貢献します。

レクリエーショナルビークル(RV)事業

 2014年は、レクリエーショナル・オフハイウェイ・ビークル(ROV)の6人乗り『VIKING Ⅵ』、スノーモビル『SR Viper』など、商品ラインナップの拡充を進めました。
 2015年は、ROVでは、2人乗り『Wolverine』など待望のスポーツ領域へとラインナップを拡充します。また、スノーモビルでは北米市場攻略を進めます。そして、RV事業を売上高1,000億円規模の事業に回復させ、再び成長・収益貢献事業となるよう育成していきます。

インテリジェントマシーナリー(IM)事業

 2014年は、設備投資需要が回復基調へと向かう中、当社は中・高速機領域への新商品投入により中国・アジア・欧州での販売を拡大しました。また、日立ハイテクグループから資産譲渡を受け、本格的な高速機市場攻略の体制を整えています。
 2015年は、新しい開発・生産・販売体制の下、新しい顧客開拓や新規領域開拓を進めていきます。

スマートパワービークル(SPV)事業

 2014年は、電動アシスト自転車『PAS』のトリプルセンサー搭載モデル効果により、国内販売が増加しました。消費税率引き上げの影響が懸念されましたが、年間を通して順調に推移しました。また、電動アシスト自転車用システム『E-Kit』の欧州輸出も本格化しました。
 2015年は、次世代スマートパワー・ドライブユニット「GREEN CORE」を搭載した『PAS』の新商品を順次投入します。また、性能と価格を両立する電動スクーター『E-VINO』を国内市場投入するなど、スマートパワー事業として拡大していきます。

RV事業

RV事業

IM事業

IM事業

SPV事業

SPV事業

Q7

新たな事業の取り組みについて
お聞かせください。

ヤマハらしい「広がるモビリティの世界」を創ります。

 ヤマハ発動機グループでは、二輪から三輪、そして四輪へと技術が広がり、お客さまが広がることを方向感とする「広がるモビリティの世界」に挑戦しています。そのひとつとして、「第3の移動体 リーニング・マルチ・ホイール(LMW)」の開発を進めてきました。 
 その第1弾『TRICITY』を、日本・欧州とアセアンの一部に投入しました。先進国では目標としたお客さま層の支持をしっかり獲得し、当初計画比21%増の販売実績となりました。
 また、将来の方向性をイメージしたコンセプトモデル『01GEN』を発表しました。『01GEN』は、当社のデザインフィロソフィー「Refined Dynamism(洗練された躍動美)」に基づき、新しい価値観を提唱するデザインコンセプト『GEN』の第1弾です。

「第3の移動体 LMW」市場投入

「第3の移動体 LMW」市場投入
「第3の移動体 LMW」市場投入

現中期経営計画の成果を最大限獲得し、次期中期経営計画へ向けステップアップを図ります。

Q8

中期経営計画の最終年度となる
2015年の経営課題をお聞かせください。

次期中期経営計画へステップアップします。

 2015年は、現中期経営計画の成果を最大限獲得して、次期中期経営計画(2016年~2018年)へ向けてステップアップする1年と位置づけます。
 2015年は、全事業セグメントにおいて増収・増益を続けて、各事業に明確な経営課題を設定しています。二輪車事業は、先進国事業黒字化と新興国事業の販売・収益回復を図ることで、売上高1兆円超・営業利益率5%水準の安定的収益体質に変革します。マリン事業は、「エンジン・周辺機器+艇体戦略」による成長戦略を進めて、売上高3,000億円・営業利益率20%の水準のビジネスモデルにします。特機事業は、 ROVなどの商品ラインナップ拡充により、売上高1,700億円、安定的から高収益体質への移行を進めます。

事業別売上高・営業利益(2015年予想)

全事業部門において、増収・増益を続ける。

事業別売上高・営業利益(2015年予想)

Q9

株主還元策について
お聞かせください。

健全な財務体質をつくり、安定した株主還元を継続します。

 当社は、ステークホルダーの皆さまの利益向上を経営の重要課題と位置づけ、成長投資・安定収益・株主還元のバランスを保つ財務体質づくりに取り組んでいます。特に、ROE(株主資本利益率)とROA(総資産利益率)を重要な経営指標にしています。
 2015年は、自己資本5,000億円超の財務体質をつくり、1株当たり利益200円超、ROE15%の水準で推移する見通しです。
 配当につきましては、連結当期純利益の20%を配当性向の下限としながら、積極的な成長投資と株主還元・借入金返済のバランス、業績動向や内部留保などの経営環境を総合的に考慮して実施しています。2014年の配当は、中間配当と併せて40円の年間配当を実施しました。2015年は、全事業での増収・増益が見込めることから1株当たり44円の年間配当を予想しています。

経営課題・配当

現行中期計画の成果獲得、次期中期計画へのステップアップ :

年間配当 : (2014年)40円実施、(2015年)44円予想

経営課題・配当

Q10

今後の成長戦略について
お聞かせください。

2017年の目指す姿として、売上高2兆円を目指します。

 ヤマハ発動機グループでは、「豊かな生活」「楽しい移動」「人・社会・地球にやさしい知的技術」の成長軸を具体化する4つの成長戦略テーマに取り組んでいます。
 『広がるモビリティの世界を創る』は、二輪から三輪・四輪へと技術を広げ、市場とお客さまを広げることを目指しています。『マリン3兆円市場への挑戦』は、「エンジン・周辺機器+艇体戦略」による事業領域拡大を目指します。『個性ある多様性への挑戦』は、新しいビジネスモデルをつくることで、お客さまを広げます。『基盤技術開発(イノベーション)』は、ロボティクス・ヒューマックス・エンジンなどの新しい基盤技術開発に取り組むものです。
 次期中期経営計画につきましては、「もうひと回り・ふた回り大きな個性ある会社に成長しながら企業価値のワンランクアップを図る」ことを経営の方向感として、「成長戦略を進める」「ヤマハらしいモノ創りを極める・常識を変える」「経営資源効率を高めるための基盤改革を継続する」の3つの課題に取り組みます。

Q11

ステークホルダーの皆さまへの
メッセージをお聞かせください。

『Revs your Heart』 を実感できる会社にします。

 当社は、2013年に導入したブランドスローガン『Revs your Heart』を世界中のグループ社員で共有してきました。このスローガンには、ヤマハと関わるすべての人々に、その期待を超えることで、心躍る豊かな瞬間・最高の感動体験を提供したいという強い想いが込められています。その想いを実現するために、企画・開発・生産・販売などすべての仕事において、ヤマハらしさとは何かということを語り、考え抜き、挑戦することを大事にしています。
 もうひと回り・ふた回り大きな個性ある会社に成長する過程で、すべてのステークホルダーの皆さまが、まさに『Revs your Heart』 を実感できる会社にしたいと考えています。
 皆さまの変わらぬご支援をよろしくお願いします。

ヤマハ発動機株式会社

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