中期成長戦略「スマートパワー」への取組み -電動二輪車について- 2010年7月14日発表 ヤマハ発動機株式会社は2010年2月12日、長期ビジョン「フロンティア2020」に基づき、「パーソナルモビリティ」と「エンジン」の2つの領域に焦点を合わせ、以下4つの分野、「新興国市場への低価格二輪車投入」「アセアン二輪車における商品力・収益力向上」「次世代環境対応エンジン」「スマートパワー」を中期成長戦略の柱としていくことを発表いたしました。この4分野には、今後3年間で620億円を投資してまいります。 このたび、ゼロエミッション・エレクトリックコミューター「EC-03(イーシー ゼロ スリー)」を発表するにあたり、「スマートパワー」の一つである電動二輪車の取組みについてご案内いたします。 【外部環境認識】 世界のエネルギー需要は、2030年には2006年比で約1.5倍にまで増加し、それに伴う、CO2排出量の大幅な増加が懸念されています。各国の行政は、化石燃料を動力源とする乗り物には、低燃費車の奨励や、排出ガス規制などで対応する一方、都市機能の集中化と分散化を特徴とする次世代の都市づくりや、EVの普及に向けて充電施設等のインフラ整備への取組みを進めています。また、既存の自動車メーカーもEVをはじめとする次世代動力源への開発競争を加速しており、まさに、世界は「低炭素社会」へと着実に進んでいると言えるでしょう。 今後、次世代都市では、長距離移動と近距離移動とで四輪、二輪の使い分けが顕著に現れると考えられます。元々、小型の二輪車には、「低燃費・低価格・省スペース」といった近距離移動に適した特性があります。 この特性は、次世代都市での移動手段としてのニーズに適うもので、電動化と相まって、今後、二輪車の有用性が更に高まることが予想されます。 【これまでのスマートパワーの取組み】 スマートパワーとは、当社における環境性能に優れた次世代動力源の総称であり、EVや燃料電池車、ハイブリッド車などもスマートパワーと捉えています。 当社はこれまで、二輪車をはじめ、ゴルフカーや車椅子、船外機など様々なカテゴリーの商品にもスマートパワーを発展させ、「環境への配慮」という輸送機器メーカーとしての社会的責任を果たしながら、世界の人々に豊かな生活を提供する活動を長年進めてまいりました。 二輪車におけるスマートパワー開発の歴史は、1980年代にまでさかのぼります。1991年に東京モーターショーへ参考出品した電動二輪車「FROG(フロッグ)」をはじめ、1993年には「世界初」の電動アシスト自転車「PAS」を発売、更に2003年には燃料電池車の開発を発表するなど、約20年に亘り、スマートパワーの具現化に向け、研究・開発を続けてまいりました。 【これからのスマートパワーの取組み】 世界の電動二輪車市場へ参入 当社は、2010年の「EC-03」の国内投入を皮切りに、2011年に台湾、欧州と順次、海外の電動二輪車市場へ進出していきます。これら、日・台・欧地域の2010年代の中頃には市場規模は、30~50万台と想定しております。また現在、電動自転車の最も大きな市場は、年間総需要が2,000万台を超えると言われている中国ですが、いずれこの地域にも電動二輪車市場の誕生が予想されます。 当社は、世界的な電動二輪車市場の拡大タイミングに合わせて各市場への参入を図り、将来的には、世界の電動二輪車市場でトップシェアの獲得を目指してまいります。 ◇2010年、日本市場で「EC-03」発売 ◇2011年、台湾・欧州市場に進出 ◇世界の電動二輪車市場でトップシェアを目指す 電動二輪車展開構想 今回発表する「EC-03」は、今後展開していく電動二輪車構想の尖兵と位置づけています。 今後は、業務需要モデルなどのバリエーション展開を図り、2010年代の中頃までに3~4機種を発表します。さらに、2020年に向けて、高出力モデルや、高機能モデル、低価格モデルの開発を進め、電動二輪車ラインナップの充実を図ります。これらの製品ラインナップ実現の為に、電池・モータ・制御のコア技術を進化・強化していきます。 ◇2010年代中頃までにバリエーション展開 3~4機種モデル発表 ◇2020年に向けてラインナップを充実 ◇電池・モータ・制御のコア技術の進化・強化 普及環境の整備 当社は、2002年、電動二輪車「Passol」発売を契機として、自治体への寄贈による活用促進や充電インフラ検証、認知向上などに取組んできましたが、2010年からは地方自治体との連携に加え新しい販売手法の試み、試乗機会の提供等、更に活動を深めていきます。特に、EV普及に欠かせない、充電インフラ整備や次世代の都市づくりにおいては、地方自治体との長期的な協力関係が重要であり、積極的に関与していきます。なお、静岡県浜松市での「はままつ次世代環境車社会実験協議会」への参画では「EC-03」による実証実験を9月より開始する予定です。 ◇地方自治体との連携 ◇新しい販売手法の試み ◇試乗機会の提供 【電動二輪車で感じるあしたらしい風】 来る低炭素社会において私たちに出来る事は何か、その1つの答えが「EC-03」です。「EC-03」は小さな一歩に過ぎませんが、この小さな一歩から、未来に向けて電動二輪車の可能性を追求してまいります。 以上