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青春を捧げた「学生フォーミュラ」 OBとして業務で積極支援 青春を捧げた「学生フォーミュラ」 OBとして業務で積極支援
学生たちが自ら構想、設計、製作した車両で、モノ創りの総合力を競う「学生フォーミュラ」。ヤマハ発動機はこの取り組みをさまざまな角度から支援しています。その役を担っているのが学生フォーミュラOB・OGの社員たち。社内には70人以上の学生フォーミュラ経験者が在籍し、エンジニアとして活躍しています。今回、学生時代からそして入社後も学生フォーミュラに関わっている社員3人に、現在の活動内容や学生フォーミュラから受けた影響、自分の仕事・キャリア選びなどをテーマに話を聞きました。
「学生フォーミュラ」とは

2003年に発足。フォーミュラスタイルの小型レーシングカーを大学・高等専門学校(高専)などの学生らが自ら構想・設計・製作し、毎年夏に開催される。2023年9月に開催された第21回大会には国内外から約60チームが参加。走行性能や車両のマーケティング、企画、設計、製作、コストなどモノ創りの総合力を競い合った。自動車技術や産業の発展・振興に資する人材を育成する取り組みとして、産学官が連携して支援している。第1回大会から支援するヤマハ発動機ではエンジンやモーターを提供するほか、支援する学校ごとに担当者を立てて(23年時点で14校を支援)、アドバイスを行うなどサポートを続けている。

Profile
大滝 亮太
プロダクト開発統括部
電動PT開発部 電動設計グループ
大滝 亮太さん
2016年入社。EV(電動車両)モーターの先行開発や電動バイク「E01(イーゼロワン)」の量産開発に携わる。現在はEV主機用モーターの先行開発や、並行して電動トライアル競技車である「TY-E」のモーター設計を担当。学生フォーミュラの支援活動においては、EVクラスの車検員を担当している。
大西 誠吾
技術開発統括部
制御システム開発部 制御機能評価グループ
大西 誠吾さん
2015年入社。三輪車の量産車両の車体設計、車両運動の研究を経て、東京モーターショー2019の参考出展車「MW-VISION」の車両運動制御システムを担当。現在はジャパンモビリティショー2023で公開した電動コンセプトモデル「ELOVE(イーラブ)」の制御システム開発、マリン製品の先行開発モデルの研究開発を担当。学生フォーミュラ支援活動のサブリーダーとしても活躍。
綾村 友貴
PF車両開発統括部
OV開発部 RV実験グループ
綾村 友貴さん
2016年入社。ROV(レクリエーショナル・オフハイウェイ・ビークル)の開発に携わる。走行実験の担当を経て、現在は強度実験を担当。量産車の評価を行っている。学生フォーミュラの支援活動においては、学生に対する車体講習の講師を担当。
※所属部署、記事内容は、取材当時のものです。
学生フォーミュラの経験が、今の自分をつくる礎に

── 皆さんは学生時代に学生フォーミュラのチームに所属されていたそうですが、入ったきっかけや当時の活動内容について聞かせてください。

大滝 亮太

大滝さん(以下、大滝) 学生フォーミュラの存在は、高校生の頃に車の雑誌で知りました。興味を持って調べたところ、当時は横浜国立大学が強豪校で、自分もやってみたいと、入学を決める一つのきっかけになりました。チームには3年間所属し、シャシー班で主に車両の足回りの設計や製作を担当。フレームを溶接したり、FRP(繊維強化プラスチック)でボディーをつくったりもしました。2012年大会はドライバーとして出場しました。

大西 誠吾

大西さん(以下、大西) 出身は立命館大学です。私は大滝さんのようなモチベーションはなく、大学入学後に学生フォーミュラを知り、展示してあった車になんとなく興味を持ってチームに入りました。でも、気付いたらずっといて、最終年度にはチームリーダーを担っていました。車づくりにおける役割はシャシー班でフレームや足回りの設計をしていました。自らの手で車をつくり、走らせるというのは、純粋に楽しかったです。

綾村 友貴

綾村さん(以下、綾村) 私も大学に入るまで、学生フォーミュラの活動は知りませんでした。名古屋大学に入学し、車好きな高校の同級生に誘われてチームに入ったのですが、車というよりメンバーの雰囲気にひかれたのと、チラシにあった「就職活動に有利」という言葉が後押しになりました。担当は燃料系の設計、製作。アルミ製の燃料タンクを自分で設計し、溶接してつくったり、燃料油の解析なども行ったりしました。それまでの勉強は試験のためにやるものだったので、学んだことが現実に活かされる感覚がとても新鮮で、やりがいになった記憶があります。

── 学生フォーミュラの経験で得たもの、今に至るキャリアに影響はありましたか。

綾村 自分で設計してモノをつくることや形になる楽しさを実感し、必然的に就職活動先も機械系のメーカーに絞られました。また、私が所属していたチームでは1つの部品に担当者は1人。最初から最後まで自分が手がけたものが完成した時の達成感や喜びが大きかった経験から、つくっているモデルに対して携わる人数が少ない会社に入社したいという企業選びの軸が生まれました。そうして選んだのがヤマハ発動機でした。

入社後に役立ったことは、例えば当社では試作品の強度評価の設備を自分たちで手づくりすることも多いのですが、そういう時に最初から抵抗なくモノの加工ができたのは、学生フォーミュラでモノづくりを経験したからかなと感じています。

大西 私も入社後に携わった量産の車体設計においては、学生フォーミュラでの設計・製作経験が活き、すんなり仕事になじめました。また、学生フォーミュラでチームリーダーとして15人くらいのメンバーをマネジメントした経験も、社会で活かせる貴重な経験でした。

大学入学当初は自動車にそれほど興味はなかったのですが、チームに入ったことで車の面白さを知り、好きになりました。さらに、学生フォーミュラのガソリン車は、たいていバイクのエンジンが使われています。それをきっかけにバイクのことを知るようになり、実際に触っているうちに面白くなって、大型バイクの免許を取得。学生時代はバイクを2台持っていました。

ヤマハ発動機に入社したのも、学生フォーミュラをきっかけにバイクが大好きになったから。今振り返ると、人生を大きく変えた経験でした。

学生フォーミュラ時代の思い出の写真。車体フレーム製作中の大西さん(写真左)、大学の敷地内で走行テストをする大滝さん(写真右)

大滝 私も大西さんや綾村さんと同様、学生フォーミュラでバイクのエンジンに触れたことでバイクに興味が湧き、乗るようになりました。乗り物をつくる面白さに目覚め、それを仕事にしたいと考えるようになり、就職先にヤマハ発動機という選択肢が生まれました。

私は学部の専攻は電気系でしたので、授業で図面の書き方を習うことはありませんでした。ただ、学生フォーミュラで設計の経験があり、電気系出身だけどCAD(コンピューターによる設計)も使えることが、入社後に役立ったことです。

学生フォーミュラOBとして、モノ創りの面白さを伝えたい

── ヤマハ発動機では業務として学生フォーミュラを支援しています。皆さんはどのように関わっていますか。

大西 ヤマハ発動機では学生フォーミュラにガソリン車のエンジンやEV車のモーターを供給しており、当社の製品を使用している14大学を学生フォーミュラOBチームが支援しています。私は現在、当社のサポートチームのサブリーダーを担当しています。

具体的には各支援校に担当が1人付き、学生たちが困ったり、悩んだりしていることに対してメールなどでアドバイスをします。学生フォーミュラはモノ創り人材の育成も目的であるため、学生の成長につながり、モノ創りが楽しいと思ってもらえるような支援やアドバイスを心がけています。

例えば、数値に関して質問された際には、ただ答えを教えるのではなく、「このような計測方法があり、その中でベストな方法を考えてみてください」といったアドバイスをします。それによって学生自身が考えますし、いくつかの方法を試していく中で、気づきが得られると思うからです。

学生フォーミュラの支援活動への参加は任意ですが、多くの社員が手伝ってくれます。自分たちも学生の時にたくさんのOBからアドバイスを受けて成長させてもらったので、今度は自分が経験から学んだことや会社で身に付けたことを、学生に還元したいという考えを持っています。

大滝 私は現在、学生フォーミュラを主催している自動車技術会のEVワーキンググループメンバーとして、EVクラスのレギュレーションの整備をしたり、大会会場ではEV車両の車検員や書類審査を行ったりしています。

近年、学生フォーミュラの世界にもEV化の流れがあり、ヤマハ発動機としてEVの支援も始めることになった際に、学生フォーミュラ経験者で、かつモーター開発に携わっている私に白羽の矢が立ちました。とはいえ、学生フォーミュラEVの経験はなかったので、一から勉強し直しました。初めて知ることばかりで、最初の年は結構苦労しました。また、社会人になって再びこんなに学生フォーミュラに関わるとは想像していませんでした。

この支援活動はヤマハ発動機の二輪EVのイメージや認知度を高めることにもつながっていて、実際、学生フォーミュラEVの経験者が当社に興味を持って入社してくるという事例も、この1、2年で出てきています。

大滝さんは、学生フォーミュラ会場でEV車両の車検員を務める

綾村 私は大学支援を1校担当しているほか、ヤマハ発動機が学生に向けて開催している講習会の講師をしています。担当は車体講習会で、新入生向けに車はどのように動くのかという足回りの基礎、ブレーキやサスペンションなどについて教えています。本業は強度実験なので、足回りに深い知見があるわけではないのですが、学生に負けないよう勉強しながら、良い講師になれるよう励んでいます。

綾村さんが講師を務めるオンライン車体講習会

社員の思いを尊重し、挑戦を後押ししてくれるヤマハ発動機

── 転職を検討している方に向けて、ヤマハ発動機で働く魅力をお伝えください。

大滝 亮太

大滝 8年前に私がヤマハ発動機に入社を決めたのは、新しいことを自由に、ボトムアップ的にやらせてくれる雰囲気があったからです。それが学生フォーミュラの、ゼロからモノをつくっていく面白さとリンクしました。そして実際も、私は先行開発で新しいアイデアを試すことができる環境にいることもあって、期待していた通りのことができていると感じています。

学生フォーミュラ経験者は、学生時代の多くの時間をそこに捧げた分思い入れもあり、また何かしらの形で関わりたい、恩返しをしたいと思っている人は多いのではないでしょうか。ヤマハ発動機はそういった思いを尊重してくれますし、仕事の一環として関わることができます。学生フォーミュラに限らず、社員のやりたいことを後押してくれる会社ですので、そこに魅力を感じていただける方に、ぜひ入社してほしいです。

大西 誠吾

大西 ヤマハ発動機には社員の新しい挑戦を受け入れてくれる環境があります。自ら手を動かしてモノをつくることが当たり前で、一人ひとりの裁量の幅はかなり広いです。私もそこに大きな魅力を感じています。学生フォーミュラでモノ創りを経験した人にはいい会社だと思いますので、興味や関心を持った方はぜひ門を叩いてみてください。

綾村 友貴

綾村 私はヤマハ発動機への入社をきっかけに静岡に来ましたが、夏は暑過ぎず、冬は寒過ぎないなど住みやすい地域です。近隣に海や山など自然があるのもいいですし、子どもがいるので公園がたくさんあるのもありがたく、休日は楽しく過ごしています。転勤が少なく、生活設計をしやすい会社であることも魅力的な点だと感じています。

編 集 部 よ り

学生フォーミュラを通じ、次世代のモノ創り人材の育成に注力しているヤマハ発動機。業務として携われる体制を整えているところに会社の心意気を感じると共に、実際に関わっている社員からは業務以上の情熱を感じることができました。こういったところにも、ヤマハ発動機が目指す「感動創造企業」らしさがにじみ出ているように思います。

※本インタビュー記事は「日経転職版 」より転載