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フュエルインジェクション、新フレーム採用等でコーナリング性能をいっそう向上 ヤマハスポーツ「YZF-R1」(02年欧州モデル)ミラノショーで発表

2001年09月18日発表

 ヤマハ発動機(株)は、9月18日から8日間にわたり開催されるミラノショー(チクロ・エ・モトチクロ)で、2002年欧州市場向けニューモデル、ヤマハスポーツ「YZF-R1」を発表します。“スーパーコーナリングマシン”として世界のエンスージャストに支持され、1リッタースーパースポーツの新基準を確立した現行「YZF-R1」の4年ぶりのフルモデルチェンジとなります。

 ニュー「YZF-R1」では、新たにFI(フュエルインジェクション)投入など吸排気系の大幅な仕様変更で、特に高速域での特性向上を図った新エンジンを搭載。フレームは現行型の「デルタボックス||」タイプからさらに進化させ、捩じれ剛性値約30%アップを実現した「デルタボックス|||」フレームを採用。その他、新技術・軽量化技術の投入、ディメンションの最適化等を通じ卓越のコーナリング性能に磨きをかけました。


ヤマハスポーツ「YZF-R1」

ヤマハスポーツ「YZF-R1」(2002年欧州向けモデル)

名称

ヤマハスポーツ「YZF-R1」

カラーリング

■シルバー3
■ビビッドレッドカクテル1
■ディープパープリッシュブルーメタリック
■ディープパープリッシュブルーメタリックC/
 ブルーイッシュホワイトカクテル1

販売計画

14,000台(年間/欧州合計)



企画の狙い

 年間56万台規模('01年見込)で堅調に推移する欧州スポーツバイク市場(125cc以上・スクーター除)の中で、スーパースポーツクラスは約30%のウエイトがあります。同クラスは、各社のアイデンティティを示すモデルが数多くあり、世界の二輪市場に大きな影響力をもつ分野として注目されています。

 '98モデルとして登場のヤマハ「YZF-R1」は、超軽量小型設計エンジンとGPマシン技術を投入して開発したデルタボックス||フレームの採用で、“1000ccエンジンと600cc並みのボディの融合”というテーマを高次元で具現化。性能・軽量ボディ・操縦性の3要素の調和が生み出す高いコーナリング性能が人気を集め、'98年から'00年末までで全欧州で4万2千台の登録を記録し市場を牽引してきました。

 このほど新登場のニュー「YZF-R1」は、現行「YZF-R1」の卓越のコーナリングワールドを踏襲しつつも、“もっと高速域での旋回性能を!・・・・さらにアクセルにリニアに反応するパワー感を!・・・・積極的にコーナーを攻めて楽しみたい!・・・”といったファンのニーズを反映させ、次世代スーパースポーツとして開発したモデルです。

 コンセプトは【ダイナミック・コーナリング・パフォーマー】とし、《コーナリングを積極的に楽しむに従って、マシンのパフォーマンスがどんどん引き出されるマシン!》《マン・マシンの一体感とコミュニケーションで、陶酔のコーナリングをライダーに与えるマシン!》という狙いを具現化させたものです。



主な特徴

エンジン関連

1)量産二輪車初のフリーピストン併用FI(フュエルインジェクション)
 水冷4ストロークDOHC前傾並列4気筒5バルブ・鍛造ピストン&メッキシリンダー採用エンジンは、ボア×ストロークや燃焼室形状など諸元値は継承しましたが、量産二輪車初となる“サクションピストン付きFI”を新たに採用し、新世代スーパースポーツにふさわしい特性を実現しました。

 この“サクションピストン付きFI”は、低速から最適な吸入空気量制御を、フリーピストンの作動を利用して行なうものです。これに合わせ各センサーからの情報をマイコン制御でコントロールし、最適なA/F値と最適燃料噴射特性を定め燃料供給を行なう仕組です。
 低回転域での最適A/F値に合わせ易く、キャブレターの感触を連想させるコントロール性を確保し、同時に高回転域での出力特性向上が可能な点が特色です。なおFI採用に合わせ吸気ポートは30mmショート化して最適化しました。

 この他、ハイ・シリコン材シリンダースリーブ、塑性大端締付けボルト採用コンロッド、新作ピストンリング、などを採用して高い信頼性を実現しました。なお、エンジン色は、従来の「シルバー/ブラック」色から「ローグロスブラック」色へ変更して精悍さを強調しました。

2)新作エアクリーナーボックス
 前側に新気取り入れダクトを設けた新エアクリーナーボックスを採用し、エンジン熱の吸入空気温への影響を最小限に抑え高回転での特性向上を図りました。またエアフィルターは丸型タイプから板タイプに変更。ジョイント部のファンネルも、ショートファンネルを採用して優れた流量特性を確保しトルク特性を向上させました。

3)軽量チタンエキパイ&新作マフラー、2軸式EXUPバルブ

 エキパイ部にはチタン材を新たに採用し約1kgの軽量化を達成しました。マフラーは4into1方式から4-2-1方式へ変更してFIとの最適化を図りました。加えてマフラー集合部とサイレンサー間のパイプは、従来あった曲部をストレート化し、排気抵抗の低減と精悍な外観イメージを両立させました。

 EXUP駆動軸は、従来の4気筒分1軸式から2軸化(1-4番同軸/2-3番同軸)を行ない、軽量化と作動精度アップを図りました。バルブも従来のギロチン型からバタフライタイプに変更しバルブ作動の排気管内への干渉を低減しました。駆動モーターは車体右下に配して駆動ワイヤー部のストレート化を図り、フリクションロス低減によるドライバビリティ向上を図りました。

4)その他エンジン関連の特徴
 この他、(1)フィン形状の最適設計により20%の冷却性を向上させた新設計オイルクーラー、(2)新作コンパクトラジエター(本体・冷却ファン・フィン・ホース類など全てを新設計)、(3)火炎伝播効率が高いイリジウムプラグ、(4)軽量希土類ACMなどを採用しました。さらに、ピックアップコイルのクランク検出間隔変更(4分割→8分割)、エンジンコントロールユニット及びイグナイターユニットの容量変更、シフトフィーリング向上などを行いました。

 また、排出ガス中の未燃焼成分を排気管内で再燃焼(酸化)させ浄化するエア・インダクションシステムを採用。さらに排出ガス中の有害物質を浄化するハニカム式三元触媒を装着しEU2規制値をクリアしました。


車体関連

5)第2世代「YZF-R1」を象徴するデルタボックス|||フレーム
 フレームには、アルミ製「デルタボックス|||」と呼ぶ新タイプを採用しました。主な変更は、(1)30%車体剛性アップ(2)エンジン懸架位置変更、(3)アルミ製別体リヤフレーム採用(現行は溶接一体式)などです。またアウターパネル部の肉厚変更(t3mm→t3.5mm)及びヘッド廻りの板厚最適化、メインフレーム部のフラット仕上(現行のハンドル逃げ廃止)、ピボット廻りのクロスチューブ部剛性アップ、などの変更を施しました。またマットブラック塗装として卓越の走りをアピールしました。

 エンジンのフレーム搭載位置は、現行より20mm上へ移し、素早いバンク動作とリニアなハンドリング応答性を引き出しました。また細部の見なおしで、1395mmの軸間距離・キャスター24度のスペック以外、全ての諸元値の最適化を行いました。

6)大径フロントフォークの採用

 倒立式フロントフォークは、インナーチューブを従来の41mmから43mmの大径タイプに変更しました。同時にチューブの肉厚の薄肉化、アウターチューブの部分的な薄肉化などで軽量化と剛性バランスを最適化しました。また、ストロークは135mmから120mmへと縮小しつつバネレートを最適化で車体前後挙動時のロス低減を図りました。なお、フォークオフセットは従来の35mmから25mmへとショート化し、ハンドル廻りの慣性モメントを最適化しました。

7)左右非対称アルミ製リヤアームの採用
 左側はデルタ形状、右側をアーチ型形状とする左右非対称デザインの新作アルミ製リヤアームを採用しました。これで各パーツの最適配置を犠牲せずロングリヤアームの特性をさらに引き出しました。なお、エンジン搭載位置の変更に連動しリヤアームの傾斜角も変更し(9.7度→11.8度)クィックな操縦性を一層引き出しました。
 また、リアサスペンションはバネレートを変更し、減衰力の調整幅を拡大、アジャスト段数も増やし、走行状況に合わせたキメ細かなセッティングを可能としました。

8)第2世代「R1」を主張するデザイン
 スタイリングは、ピボットからエンジンとフロントタイヤを乗り越えて、前方へ勢いよく飛び出していく躍動的ラインが特徴で、新世代のヤマハスタイルを“The top of the Super sports”として具現化したものとなっています。キーワードは、(1)メカニズムの融合、(2)ダイナミックムーブメント、(3)魅せるデザイン、としてデザインを施したものです。また、「YZF-R6」タイプで内側にも塗装を施したリヤフェンダー、LEDテールライトの新採用も加わり、精悍なリアビューを演出しています。

9)その他車体関係の特徴
 その他、(1)コンパクト感を強調した新ライディングポジション、(2)新シート形状、(3)一体肉抜き加工アルミ鍛造ハンドル(現行は接着式)、(4)前MOSワンピースキャリパーへのアルミピストン採用(及びパッド材質・ホース配置変更)、(5)後ブレーキディスク径変更(245mm→220mm)及び新型キャリパー、(6)リム部の板厚最適化を施した新作3本スポークホイール、(7)新型ドライブチェーン(プレート部の小型化で約200g軽量化)、(8)新作ショートタイプのフロントフェンダー、(9)リフレクター内蔵新作フラッシャーランプ、(10)回転に合わせてシフト操作の時期をランプ点灯で知らせるシフトインジケータなどの採用、変更を行いました。



2002年モデル ヤマハ『YZF-R1』 仕様諸元(イタリア仕様)


全長×全幅×全高

シート高

軸間距離

乾燥重量

原動機種類

気筒数配列

総排気量

内径×行程

圧縮比

最高出力

最大トルク

始動方式

燃料タンク容量

燃料供給

タイヤサイズ(前/後)

2035mm×705mm×1105mm

820mm

1395mm

174kg

水冷・4サイクル・DOHC・5バルブ

並列4気筒

998 cm3

74.0×58.0mm

11.8:1

111.8kW(152HP)@10,500rpm

104.9Nm(10.7kgf/m)@8,500rpm

セル式

17L

電子制御フュエルインジェクション

120/70 ZR-17/190/50ZR-17


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