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2006 YZR-M1(OWR3)

2007年 企画展 Vol. 1

2007企画展 Vol.1
YZR-M1の挑戦 ~MotoGP第一章 2002-2006の記録~

2006 YZR-M1(OWR3)

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Specification
エンジン 水冷4ストロークDOHC
気筒配列 並列4気筒
排気量 990cc
燃料供給 フューエルインジェクション(FI)
最高出力 240PS以上
最高速度 330km/h以上
潤滑方式 ウェットサンプ
1次減速 ギア
クラッチ 乾式多板
変速機 6速
フレーム型式 デルタボックス
ホイールサイズ 16.5in(前後)
タイヤサイズ 16.5in(前後)
ブレーキ(前) 320mmカーボン
ブレーキ(後) 220mmスチール
重量(FIM規則準) 148kg以上
燃料タンク容量 22L


フライ・バイ・ワイヤーシステム投入による戦闘力アップ

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2006年は、排気量990cc未満という車両規則での最後のシーズンとなった。2004~2005年とチャンピオンを獲得したYZR-M1は、さらなる戦闘力アップが期待された。2006年型は2005年型のコンセプトを継承し、その性能を熟成させることに開発の目標が置かれた。具体的にはフレームの機敏な特性をさらに磨き、同時にブレーキング時の安定性向上を狙って、開発テーマを、1)エンジンパワーの向上、2)EMSの扱い易さの向上、3)ボディの機敏性及び安定性の向上として開発を行なった。このテーマに沿う形で、エンジンはボア・ストロークを変更するとともに新たにFBW(フライ・バイ・ワイヤー)を採用してEMSの扱い易さを向上。フレームは全面新設計し、リアアームマウント廻りの新設計を行なった。
またエンジンは、前年型をベースにさらなる回転数の向上と出力アップにトライした。この高出力と扱い易さの両立を実現したポイントがEMSの熟成だった。2気筒分について電子制御を行なっていた従来の2×2のICSシステムに替えて、4気筒すべてのスロットルバルブ作動を電子制御にて行なうフライ・バイ・ワイヤーシステムを新たに投入。これによりレース現場でのより効率的でスピーディなセッティングが可能となった。 また、トルク制御、エンジンブレーキ制御、ウィリー制御、スタート制御などの熟成を図り織り込んだ。さらにシリーズ中にもパワーと燃費の最適バランスを狙って熟成を行ない、第3戦トルコGP、第4戦中国GP、第12戦チェコGPでそれぞれニュースペックを投入、最終的には従来比で最高回転400rpmアップ、最高出力約5PSアップの性能を達成した。
フレームも、機敏性向上とハードブレーキング時の車体安定性を主題に新たに開発した。特に、リアタイヤのコントロール性向上を図るリアサスペンション廻りの剛性アップが2006年型の特徴となった。このフレームについても、シリーズ半ばで熟成を図り、第5戦フランスGP、第13戦マレーシアGPでそれぞれ新スペックを投入している。
このようにYZR-M1は、2002年からの5年間で、エンジン、車体ともに大幅な戦闘力アップを実現した。初代モデルから比較すると最高出力は約35PS、回転数では約3,000rpmアップを実現。また2002年のエンジンブレーキ制御システムから始まったEMS(エンジン・マネージメント・システム)は、シーズン毎に制御項目を増やして進化を図り、優れたドライバビリティに貢献した。出力特性を制御するだけでなく、2006年型では車体挙動をも制御する機構へと進化した。
V・ロッシ選手は全17戦中5勝を挙げてランキング2位。C・エドワーズ選手は7位、C・チェカ選手とJ・エリソン選手はそれぞれ15位、18位となった。ロッシ選手は転倒やマシントラブルで一時はタイトル争いから引き離されていたが、終盤の挽回により最終戦をランキングトップで迎えた。結局、転倒によって3年連続のタイトルこそ逃したが、ロッシ選手が怪我で振るわなかったダッチTTでもエドワーズ選手がレースのほとんどでリードするなど、YZR-M1の高いポテンシャルはシーズンを通して証明された。

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