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2005 YZR-M1(OWP4)

2007年 企画展 Vol. 1

2007企画展 Vol.1
YZR-M1の挑戦 ~MotoGP第一章 2002-2006の記録~

2005 YZR-M1(OWP4)

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Specification
エンジン 水冷4ストロークDOHC
気筒配列 並列4気筒
排気量 990cc
燃料供給 フューエルインジェクション(FI)
最高出力 240PS以上
最高速度 325km/h以上
潤滑方式 ウェットサンプ
1次減速 ギア
クラッチ 乾式多板
変速機 6速
フレーム型式 デルタボックス
ホイールサイズ 16.5in(前後)
タイヤサイズ 16.5in(前後)
ブレーキ(前) 320mmカーボン
ブレーキ(後) 220mmスチール
重量(FIM規則準) 148kg以上
燃料タンク容量 22L


センターカム軸の新エンジン搭載などによるマス集中設計

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OWP4の開発にあたっては、1)ハンドリングと安定性を一層高次元でバランス、2)加速とトップエンドパワーの両立、3)燃料タンク2リットル減の規則に対応する高出力と燃費性能の両立、4)雨・強風などさまざまな環境下での対応性をテーマとし、質量集中化を狙いとした開発が行われた。ホイールベースは2004年型を踏襲しつつ、エンジンのコンパクト化、燃料タンクの低重心化、リアサスペンション懸架変更などが技術開発の鍵となった。
エンジンは、ショートストローク化を図った。ボアを拡大しながらも2004年型のエンジン幅をキープし、エンジンの前後方向幅(軸間距離)を詰めたコンパクト設計を実現した。また、メイン軸配置を上方に移動して空いたスペースにドライブ軸を配し、これによってクランク軸とドライブ軸間のショート化を達成した。さらにコンパクト化と高回転* に対応するため、カムシャフト駆動はチェーン方式に変更してギア駆動へ。同時にカムドリブンギアを従来の右側から中央に変更し、部品点数削減によるロス馬力低減を達成した。


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フレームも大幅に進化した。過給用エアダクトがフレームの下側をくぐってラジエターを貫通していた2004年型に対し、OWP4ではヘッドパイプ部にスリーブレス方式を採用。エアダクトが従来のヘッドパイプ付近を通る構造とした。これによりエアダクト及びエアボックスの吸入効率を改善しつつ、良好な冷却性を確保。さらにリアサスペンションの車体側懸架は、クロスメンバー部で懸架した従来式から上端をクランクケースへ直接懸架する方式に変更した。これに伴ってフレームはクロスメンバーを廃止。設計自由度も拡大し、ねじり剛性、縦剛性はほぼ前年並みとしながら横剛性をやや低く設定したベストバランスを達成した。また、タンク形状の変更は低重心化に繋がり、マス集中に貢献。特に燃料満タン時とエンプティー時の重心変化が少なく、ラップの安定に繋がるフィーチャーとなった。こうした質量集中設計の結果、マシンの慣性モーメントが低減。ロール軸方向で3%、ヨー軸で2.1%、ピッチ軸で2.5%の慣性モーメントを低減し、軽快な運動性に貢献した。またエアロダイナミクスを投入した新カウルとの相乗効果により、アッセンとブルノを除く殆どのサーキットで2004年型より平均5Km/hの最高速向上を記録し、加えて燃料消費も前年比で平均8%の改善を実現した。
この年は、V・ロッシ選手が17戦中11勝を飾って2年連続の個人タイトルを獲得。さらにチームタイトルとマニファクチャラーズタイトルも獲得し、ヤマハは3冠に輝いた。特に、ウエットで開催されたなか国GPやイギリスGPでの優勝は、さまざまな環境下での戦闘力の高さを証明するものだった。またOWP4は、この年のMotoGPでただ一人、全戦ポイント獲得の安定した走りをみせたC・エドワーズ選手の走りを支えた。エドワーズ選手がランキング8位、T・エリアス選手10位、R・チャウス選手は15位だった。

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