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プロジェクトリーダー 白石 卓士郎

モノをつくることが、
モノ創りの目的ではない。

Personal Data
入社後、フレームの生産準備を経験。その後、車体設計、振動系実験、商品企画など多彩な部門でキャリアを積む。「MT-07」はプロジェクトリーダーを担った最初のモデル。

何に挑んだか

優先順位を明確にし、その通りに実行する。

「MT-07」プロジェクトは、従来のモデル開発よりも期間が短く、一方で技術的にはかつてないほどの難しい目標を達成する必要がありました。限られた資源と時間の中で効率的に開発を進めるために、プロジェクトリーダーとして常に意識していたポイントが「優先順位を明確にして、その通りに実行すること、あるいは実行しないこと」でした。


たとえば設計者が、ある機能を果たすことを目的とした部品を設計するとき、選択肢はたくさんあり、重量やコストなど検討項目もいろいろとあるわけです。すべての項目についてしっかり検討しながら選択肢を絞っていこうとすると、時間も手間もかかります。そこで「この部品は軽量化だけを追求すればいい。ほかの項目は検討する必要はないよ」といった形で優先順位を明確にする指示を出したりしていました。

デザイン企画 安永 稔之

ここでプロジェクトメンバーから一言

安永 稔之(デザインプロデュース)

「MT-07」については、企画の段階から白石と議論を重ね、コンセプトをつくりました。コンセプトが共有できていたから「何を優先すべきか」も共有しやすかったですね。

MT-07

どう乗り越えたか

「やらない勇気」をどう持つか。

低い優先順位に決めたことを本当に「やらない」のは、実は簡単ではありません。優先順位を低く設定したことに、つい手をつけてしまいたくなることが出てくるのです。


若手設計者によくあるのが、目的と手段を混同して、いつの間にか手段を目的化してしまうこと。ある機能を持った部品を設計するときに「このような形にしたらどうか」という話が出たとします。設計を進めるうちにその形にすることが目的になってしまい、どのような機能を持たせなくてはいけないのか、忘れてしまったりするんですね。そこで「何のためにこの部品は存在するの?」と改めて整理すると、設計が前に進む。目的と手段を常に明確にすることが、優先順位を低く設定したことを「やらない」勇気につながります。

人と人の信頼関係がカギ。

優先順位の共有も含め、メンバー間のコミュニケーションを緊密にするための環境づくりにも心を砕きました。たとえば、設計担当が実験の現場に行く機会を増やし、実験担当と設計担当が一緒に車両を目の前で見ながら問題の解決方法を考えられるようにしたり。チームで物事を進めようとすると、やはり人と人の信頼関係がカギになります。信頼関係ができていれば多少無理のある依頼も「あいつが言うならやってやるか」となる。お互いの現場まで歩いていく手間はありますが、結局は直接会って、フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションをすることが、信頼関係を築く一番の近道なんです。

MT-07

今後、叶えたいこと

目的は、笑顔になっていただくこと。

モノ創りの目的は、モノをつくることではありません。特にバイクの場合は、お客さまをワクワクさせること、ライディングの楽しさを感じていただくこと、笑顔になっていただくこと、それによって人生を豊かにしていただくことが目的となります。その「目的」を、これからも忘れず、大切にしていきたいですね。


「MT-07」の発売後、欧州に出張し、ご購入いただいたお客さまからお話を伺う機会がありました。その笑顔から「自分たちの取り組みのゴールがここにあるんだ」としっかり肌で感じることができました。この確かな手応えが、今後の仕事にも生きてくると思います。これからもより多くのお客さまに笑顔になっていただき、ヤマハファンを増やしていきたいですね。

「壮大な仮説検証。」

自分のキャリアの中で最高のバイクができました。壮大な仮説検証をしたバイクだと思います。安永と一緒に企画して「こういうバイクをつくればきっとお客さまが喜んでくれるに違いない」という仮説を立て、その通りに製品をつくり、発売した。それが狙い通り、いや狙い以上に、お客さまに受け入れられました。


たとえばイギリスの歴史ある有力モーターサイクル誌『MCN』で最優秀バイクに選出されたのですが、その評価が「特別な装備が何もついていないのに、とても面白い」というものでした。バイクに乗るってそもそも何だっけ、ワクワクするために乗るんだよね、そのためには余計なものは何もいらないんだ。そういう原点に気づかせてくれたことが選出の一番のポイントだったと書いてありました。まさに、そういうバイクをつくろうと思い、結果としてそういう評価をもらえたことがうれしかったですね。

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