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2003世界選手権 モトクロスGPクラスチャンピオン
ステファン・エバーツ選手来日インタビュー
全日本モトクロス選手権・第10戦 日本GP
(スポーツランドSUGO・宮城県)
2003年10月29日

 8月31日、2003世界選手権モトクロスシリーズ第11戦(チェコGP)。この日、モトクロス界に偉大な記録が誕生する。ステファン・エバーツ選手のMXGPクラス初代チャンピオンの決定とともに、自身の記録を塗り替える7つ目の世界タイトル獲得だ。
 さらに、9月14日のフランスGP(最終戦)では、第4戦からの連勝を9にのばすとともに、トリプルウィン(MXGP・125cc・650ccクラス)を達成。世界選手権の通算優勝数を72回にのばすなど、その活躍は欧州を越え、ここ日本の地でも大きな注目を集めた。
 そのエバーツ選手が10月22日、全日本モトクロス選手権・第10戦日本GPへの参戦のため来日。レースウィーク中の25日にインタビューを行なった。


■ 以前から何度か日本のレースにも参戦していると思いますが、改めて日本で行なわれるレースの感想をお聞かせください。

まず感じたのは、レースイベント全体がとても長いことだね。ヨーロッパのレースウィークは、日本のように早起きの必要がないんだ。プラクティス走行の時間が7時台というのには驚いたよ。コンディションの作り方や、レース前に精神集中する時間など、タイムスケジュールを普段のヨーロッパと同じ感覚で捉えていたら大変なことになるね。それから何もしない時間があって、予選を行なって……。正直、戸惑いがあるというのが本音かな。それからスターティンググリッドがダートでなくコンクリートなのは私のスタートダッシュの障害になるね。

■ プライベートな時間を利用して、カートに乗っていると聞きましたが、どれくらい乗っているんですか? そしてその腕前は?
(チャンピオンの記念にヤマハ発動機長谷川社長より「Winforce M250WR-F」を贈呈される)

以前は良くカートに乗っていたんだが、実は最近乗る機会がほとんどないんだ。今私が住んでいるモナコは、ご存じのように非常に小さな国で、カートコースが少ないということ、そして住んでいる家の倉庫にカートを置く場所がないんだよ(笑)。これから何年後かはわからないけど、母国ベルギーに戻った時に充分楽しみたいと思っているよ。その時にはもうモトクロスは引退しているだろうけどね。
それから、4ストロークのカートがヨーロッパではあまり普及していないので、サーキットを「Winforce M250WR-F」で走ったら注目の的だろうな。そういう意味でも楽しみだね。
モトクロスのように飛び抜けて速かったり、テクニックを持っているというわけではないけれど、そこそこ速く走ることはできる。かといって頂点をめざすのではなく、純粋にカートを楽しみたいと思っているよ。

■ もう既に来季に向けてのマシンテストが始まっていると聞いていますが、順調ですか?

シーズン終了後、サスペンションとエンジンについては、すでに3日間のテストは行なったよ。具体的なところはいえないけど、特にエンジンの感触は非常にいいんだ。僕の今年のレースリザルトを見てもらえば分かると思うけど、他のマシンに比べ一歩抜きんでたポテンシャルを持っていることがそれを証明していると思う。シーズンを含め、常にとどまることなく前進しているからね。そういう意味ではヤマハのマシンで走ること自体が僕のモチベーションを高めてくれる要因の一つだといっても過言ではないよ。とにかく来シーズンが楽しみだね。

■ 3年連続で世界チャンピオンを獲得されていますが、その間には多くの困難や、プレッシャーがあったと思います。どうやってそれらを克服してきたのですか?


2000年は、ケガを含めプライベートな部分でも悪いことが次々と身の周りで起こり、それまでのキャリアのなかで築いてきたすべての自信が全て崩れ去ってしまうほど精神的に追い込まれていた時期だった。しかし自分のなかでは全てを清算して、レースに戻れると信じていたんだ。それにはいろいろなことを決断しなければならなかったが、一人ではどうすることもできず、何かのきっかけと、精神的なサポートが必要だった。それが、もう一度走るチャンスをくれたヤマハ、そしてリナルディーとの出会いであり、私の最愛の人、ケリーの存在だ。
彼女は私に決断する勇気をくれ、24時間いつでも私の側にいてくれる。そしてチームは、スタッフ、マシンなど全てにおいて私の要求を完璧に満たしてくれたんだ。そんな素晴らしい環境があったら勝たないわけにはいかないだろ(笑)。こういったすべての歯車が噛み合っているからこそ、シーズンでのさまざまな障害をクリアでき、3年連続チャンピオンという結果に到達できたんだと思う。

■ “エバーツ乗り”というスタンディング主体のライディングスタイルは、このSUGOのコースでも通用しそうですか?

ヨーロッパのコースは基本的にグリップしやすいコースが多く、スタンディングスタイルは有効になる。しかしSUGOはスリッピーなコンディションなのでヨーロッパと同じ感覚では痛い目に遭うだろうね(笑)。
私は世界チャンピオンだった父の影響もあり、3歳の頃からモトクロスをやってきたが、そのときからの積み重ねが生み出したスタイルがこれなんだ。だからステファン・エバーツというライダーにしかできない乗り方といえる。とてもソフトでスローに見えるけど、実は速いというライディングにライダーがみんなビックリしているよ。そしてみんなトライするみたいだけど彼らには無理なんだ。さっきもいったけど、僕が生み出し育てた乗り方だからね。もちろん27年間でマシンも変われば、私自身も変わるから、目には分からないけど毎年進化を遂げているよ。

■ ではその“エバーツ乗り”を支える強靭な下半身を作り上げるのに特別なトレーニングはありますか?

ランニング、サイクリング、スイミング、ジムトレーニング、そしてトライアル、エンデューロ。残念だけど特別なことはやっていないよ。モトクロスライダーにとってマシンと常にコンタクトしているし、マシンの挙動を感じる部分だから特に重要には思っているけどね。
話は変わるけど、東京モーターショーで見たヤマハのニューマシン「トリッカー」は、僕のトレーニンング用のマシンとしてすごく興味があるな。

■ 来期を含め、今後のビジョンについてお聞かせください。

やはり一番の望みは、できるだけ長くモトクロスを続けていくことだね。ごく近い未来のところでいえば、スーパーモタードにも興味を持っているということかな。2週間前にはベルギーで行なわれたスーパーモタードのレースに参加したし、自分では結構良く走れたと思っている。来年は450ccまでの新しいクラスができるらしいから、ヤマハにこのレースにも参加できるよう相談したいと思っているよ(笑)。

■ 最後に、来年の目標と、日本のファンへ一言お願いします。

また来年もスタッフと一緒にチャンピオンジャージーを着て、カップを掲げることができれば最高だね。チームと一緒になってタイトル獲得を成し遂げることの喜びは本当に素晴しいものだから。それから、2001、2002年と、アクシデントが続き来日が叶わなかったので、私のファンがいるか心配してけれど(笑)、たくさんのファンが迎えてくれてホッとしているし、本当に幸せだね。そんなファンのためにも、来年またチャンピオンというお土産を持って、このSUGOに戻って来るので、期待してほしい。来年も応援をよろしく。


決勝レース終了後のコメント

前日、コンクリートのスターティンググリッドでホイールスピンしてしまったので、ヒート1は、低いエンジン回転域でスタートしたらエンストしてしまった。そこから追い上げた後、3位まで上がったのはいいが、腕上がりがでて感覚がなくなっていたので、無理しない走りを選んだんだ。シーズン終了以降のトレーニング不足、そして日本での早朝からのハードなタイムスケジュールに対し、コンディションを上手く合わせることができなかったことが原因だね。
ヒート2もやはり、スタートには気を使った。ベストには程遠いものだったが、中盤につけることが出来たのは良かったよ。トップとのギャップは大きかったけど、2周目でいいポジション(4番手)につけることができ、全力で行けば優勝できるという確信を持ったんだ。トップに立ってからは後方からの追い上げは気にならなかったね。
レースを通して私と日本人ライダーの違いを感じたのは、ラインの好き嫌いや、ギャップの状況もあるけれど、日本人の多くは、アウト側を使うのに対して、僕は基本的にイン側を中心に回ることだね。スリッピーなコースに慣れている日本人のライディングが、僕にとって参考になったことはあるけれど、僕のライン取りや走りのスタイルが、日本のライダーにとって参考になったと思うよ。
慣れない日本でのレースということで、大変な部分はあったが、多くのファンの前で優勝できて嬉しかったし、とにかくヒート2は楽しかったよ。


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