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JRR シーズンレビュー

JRRの2014年シーズンをご紹介します。

2014 YAMAHA RACING SEASON REVIEW

中須賀、国内最高峰クラス3連覇
前人未到5回目のタイトル獲得!

開幕戦優勝で視界良好…の落とし穴

2014年、YAMAHA YSP Racing Teamの中須賀克行には、全日本最高峰クラス(JSB1000)3連覇という大きな目標があった。この記録は、そうそうたるレジェンドライダーのなかでも平忠彦、藤原儀彦(ともにGP500クラス)の2人しか達成していない偉業であり、かつて一度、2010年に挑んで破れた中須賀にとって、どうしても超えたい壁だった。

そのためには、まず開幕戦、鈴鹿2&4を獲ること。最大の集中力で予選に臨んだ中須賀は、ただひとり2分6秒台のタイムを叩き出してポールポジションを獲得。決勝でも秋吉耕佑、高橋巧との接戦を制し、幸先の良い1勝を挙げたのである。

しかし、そう簡単に物ごとは運ばない。第2戦オートポリスの事前テスト、さらにレースウイークで転倒を喫し、身体は満身創痍となってしまった。それでも中須賀は、オートポリス、第3戦ツインリンクもてぎの2レースをそれぞれ2位でフィニッシュ。ランキングトップの高橋を3ポイント差で追う、ほとんどイーブンの位置につけた。これで1ヵ月後の第4戦SUGOをうまく乗り切れば、2ヵ月半のサマーブレイクに入る。しっかりコンディションを立て直す絶好の機会だ。

ところが、またしてもハプニングが中須賀を待ち受けていた。6月のSUGO大会は、今年も「120mile耐久レース」として開催される予定だったが、豪雨のため決勝スタートが大幅に順延され、40周スプリントに変更されることとなった。それでも、予選でポールポジションを獲得した中須賀は、集中を切らすことなくレース序盤からトップに立つ。そして終盤、ポジションをキープしたまま予定どおりピットイン。給油を済ませてコースに戻ろうとした時、転倒したマシンから大量のオイルが漏れ出したためセーフティカーが導入され、ピットロードがクローズされてしまったのだ。

その後、中須賀は6位でコースに復帰したものの、レースは追い越し禁止まま35周で終了。2位でフィニッシュした高橋との差は10ポイントに開いた。


完全復活!圧倒的な強さでVロードを疾走

鈴鹿8時間耐久を挟み、全日本JSB1000はオートポリス2&4で後半戦の幕を開けた。中須賀は、慎重な走りを意識しながらポールポジションを奪い、決勝レースでも津田拓也を制して今季2勝目をマーク。さらに高橋が予想外の10位となったため、シリーズランキングでも4ポイントの差をつけトップに立った。

続く第7戦は、中須賀と相性のよい岡山国際が舞台。今年もコースレコードを塗り替えてポールポジションを獲得し、決勝では高橋を抑えて独走優勝。2011年から続けているポールtoウィンを記録をさらに伸ばすとともに、GP250時代から全日本通算20勝の節目を飾った。

そしていよいよ、鈴鹿での最終戦MFJ-GP、3年連続チャンピオンという夢を賭けた一戦である。中須賀の表情にも、例年とは違う緊張感がみなぎっていた。ウェットコンディションをものともせず、ノックアウト方式の予選Q1、Q2でトップタイムをマーク。2ヒート制で行われる決勝レースのポールポジションを決めた。

しかし決勝日も、天候は変わらず雨。レース1はウェットレースが宣言されたが、各車ドライ用スリックタイヤでグリッドに並んだ。そのなかで、中須賀はスタートで出遅れ、やや順位を下げたものの、すぐにトップを奪回。やがてチャンピオンを争う高橋との一騎討ちとなるが、終盤、バックマーカーを利用して振り切り、今季4勝目を挙げた。

この時点で、高橋との差は10ポイント。レース2は完全なウエットコンディションとなり、もう無理は要らない状況である。しかし、中須賀は気持ちを緩めない。序盤からハイペースを維持すると、4周目、ついに高橋がコースアウトしてリタイア。この瞬間、中須賀の3年連続チャンピオンが決定した。そして中須賀は、加賀山に次ぐ2位でフィニッシュ。全日本JSB1000参戦10年目、タイトル獲得5回目のシーズンを全8戦4勝・表彰台7回という成績で締めくくった。


鈴鹿8耐そしてMotoGPへの思い

中須賀は今年も、日本で開催された二つの世界選手権に参戦した。そのひとつが、MONSTER ENERGY YAMAHA with YSPからブロック・パークス、ジョシュ・ブルックスとともに挑んだ鈴鹿8時間耐久レース。予選で3年連続ポールポジションを期待されたが、惜しくも2番手にとどまり、「連続記録というのは本当に難しいね」と苦笑い。それは、全日本JSB1000後半戦を控え、3連覇への思いをダブらせているかのようだった。

決勝レースは豪雨によるスタート順延、7時間の戦いとなり、レース中も幾度となくセーフティカーが入る波乱の展開。中須賀たちはスタートから好位置につけたものの、YZF-R1にトラブルが発生し、8位に後退。それでも中須賀を中心に各ライダーが踏ん張り、過去最高位となる4位まで挽回してチェッカーを受けた。「マシントラブルは仕方がない。でも、勝つためにレースを戦っている。4位では喜べない」と、中須賀はあくまで優勝にこだわる姿勢を貫いた。

一方、日頃からYZR-M1の開発ライダーとして関わる中須賀には、MotoGPに対して特別な思いがある。実戦データを残すため「絶対に転倒しない」こと。その責任を背負い、YAMALUBE Racing Team with YSPから日本GPに参戦。慎重に攻めるライディングで予選17番手、決勝12位の成績を残した。

「予選は、狙っていた自己ベストを更新できずに残念だったけど、ロッシやロレンソが指摘していた問題点を体験できたし、いいデータを残すことができたと思う。決勝は、激しい混戦を経験できて楽しかった」と中須賀。結果を期待する声も聞こえているが、「開発ライダーとしての責務が最優先」と話す。YZR-M1の活躍は、すなわち中須賀の功績でもあるのだ

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