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JTR IA Superシーズンレビュー

JTR IAスーパークラスの2012年シーズンをご紹介します。

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前人未踏11度目チャンピオン獲得と
史上2人目全勝優勝! 黒山健一の2012

2012年シーズン、黒山健一は全日本トライアル選手権シリーズ(全7戦)において通算11度目のチャンピオンを獲得。史上最強のトライアルライダーとしてその名を歴史に刻むとともに、ロードレースやモトクロスをも含めたMFJ(日本モーターサイクルスポーツ協会)の記録においても、自身が持つ最多王座獲得記録を更新した。そしてまた、全日本トライアル史上2人目となる全勝優勝を成し遂げた黒山。そのパーフェクトなシーズンをあらためて追いかけてみよう。

前人未踏の全日本11連覇。全員に会心の笑顔が浮かぶ

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開幕ダッシュ!そしてひとつひとつ…

 2012全日本トライアル開幕戦は3月11日、大震災を乗り越えて2年ぶりの開催となった関東大会として、茨城県の真壁トライアルランドで行われた。曇り時々晴れというまずまずの天候の下、国際A級スーパークラスは10セクションを2ラップした後、2つのスペシャルセクション(SS)に挑んだ。前日まで降った雨の影響で路面が泥でひどくぬかるむ悪コンディションの中、TYS250Fを駆る黒山健一(Team・黒山レーシング・YAMAHA)は第1戦から好スタートを切る。
 もちろんライバルたちはあなどれなかった。競技前半の1ラップ目終了時点でトップに立った黒山に対して、若手の成長株である小川毅士(ベータ)と2010年チャンピオンの小川友幸(ホンダ)がそれぞれ1点差で迫る大接戦となったのだ。しかし、2ラップ目に入って減点を半分以下に減らした黒山が、ライバルたちを大きく突き放した。さらにインターバルをおいて行われたSSでは、観客から見やすく、難易度はより高く設定されたセクションを、黒山だけが2つともみごとにクリーン=減点0で走破。最初の勝利を確実にたぐり寄せた。
「だけど、全部で7戦あるうちの1つが終わっただけ。あと6つをしっかり勝って今年もまたチャンピオンを取りたいと思います」と話す表情には、気負いも緩みもなかった。
 4月22日の第2戦・近畿大会は、全日本トライアルで初めて奈良県・名阪スポーツランドでの開催。あいにくの暴風雨に見舞われたが、ここでも黒山は1ラップ目からトップに立ち、その後も安定したライディングを披露。「競技序盤に右手首を痛め、しんどかった」というが、それによって雑念が消え「ライバルたちのことを気にすることなく、自分のペースでよい走りができた」と後続を寄せ付けず、大差で開幕2連勝を果たした。
 第3戦・九州大会は5月13日、気持ちよく晴れた好天の下、約20年ぶりとなる佐賀県のフィールド佐賀大和で開催された。12セクションを2ラップした後、指定された8セクションを1ラップする九州独自の予選・決勝方式である。
 セクションの難易度はそれほど高くなく、トップライダーたちにとってはミスが許されない神経戦となった。その予選1ラップ目、黒山はわずか減点1のパーフェクトに近い走りで競技序盤のアドバンテージを握るが、それを減点4の小川毅士、減点5の野崎史高(YSP京葉レーシング)、減点6の小川友幸らが追走。さらに予選2ラップ目、減点6を加えた黒山に、減点3で回った小川(毅)がトータル減点7で並びかけ、その背中を脅かす。
 黒山の連勝が止まる可能性があったとすれば、この大会だっただろう。しかし、緊張感のなかでこそ強さを発揮するのがチャンピオン。気の抜けない接戦が続く決勝、小川(友)との競り合いを減点1差で制した黒山は開幕3連勝。ランキングでも2位小川(友)に11ポイント差をつけた。
 そして6月2日・3日の世界選手権第3戦・日本グランプリ(ツインリンクもてぎ)をはさみ、全日本選手権はシリーズ折り返しとなる第4戦北海道大会(7月15日/わっさむサーキット)を迎えた。路面には前々日までの雨水が残り、ぬかるみと滑りやすい岩が選手たちを悩ませたが、ここでも黒山は1ラップ目からトップに立ち、SSの前に勝負を決めてしまう圧勝。2位には野崎が入り、ヤマハのワン・ツー・フィニッシュとなった。
「今日は誰かと競うというわけではなく、自分の走りに集中することができました。連勝も4に伸びましたが、後半はまだ3戦ありますし、次の中国大会まで2カ月ほど空くので、ケガをしないよう今の調子を維持したいと思います」と、慎重なコメントを残した黒山だが、その目には強い決意が浮かんでいた。

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会心の勝利を積み重ね、見つめる先に…!

 シリーズ後半戦を迎えた全日本トライアル。9月9日の第5戦中国大会は、5年ぶりとなる山口県下関市・フィールド幸楽トライアルパークに帰ってきた。12セクション・2ラップと、2セクションのSS・1ラップによる戦いである。ヤマハはここで、2度目のワン・ツー・フィニッシュ。2位の野崎に4倍の減点差をつけて5連勝を果たした黒山は、ランキング2位小川(友)との差を21ポイントに拡大し、いよいよ11度目のチャンピオンに王手をかけた。
 その大一番、第6戦中部大会は10月14日、愛知県のキョウセイドライバーランドで行われた。ヤマハ社員も3台のバスで応援に駆けつけ、シーズン最多となる2,800人の観客で会場のムードはスタート前から最高潮。12セクション・2ラップ、SS2セクション・1ラップによる競技に目を凝らした。出走順は中部大会独自の新方式。これまで最後にスタートしていた国際A級スーパークラスの出走が国際A級クラスよりも早くなり、国際B級クラスの次に競技を開始した。また、今回は全てのセクションが観客が歩いて見やすい場所に用意され、しかもSSで国際A級スーパークラスの選手全員の走りを観客全員が観戦できるように工夫されていた。
 ところが、これまで序盤からリードを奪って圧勝してきた黒山が、1ラップ目の第3セクションでまさかの失敗。代わって、ここを一人クリーンで走破した野崎が、1ラップ目トップに立った。それも黒山は慌てることなく、2ラップ目で3点のビハインドを逆転。逆に4点差をつけて迎えたSSでも逆転のスキを与えず、2位野崎とともに3戦連続のワン・ツー・フィニッシュ! ランキング2位小川(友)との差を24ポイントに広げ、通算11度目のチャンピオンに輝いた。最後のセクションをクリーンした黒山が、その瞬間、両手を突き上げて喜びを爆発させたシーンは特に印象的だった。
 残すは最終戦。意識の隅にあった開幕戦以来の連勝記録が、とうとう6に届いた。次のSUGOでは「全勝優勝。ここまできたら狙うしかないですね。ケガや体調に注意して、ベストな状態でのぞみたい」。最後の標的が決まった。
 こうして迎えた10月28日、最終戦東北大会。気温19度、時おり小雨もぱらつく中、宮城県・スポーツランドSUGOで12セクション・2ラップ、SS2セクション・1ラップの決戦がスタートした。このコースも、場内を歩きながら観戦しやすい場所にセクションがまとめられ、SSでは2ラップ目までの順位や減点数がわかるなど、観客が選手それぞれの走りを十分楽しめるよう工夫が凝らされている。
 さて注目の1ラップ目、第4セクションまでは、ランキング2位を争う小川(友)が野崎と黒山をリード。しかし、第5セクションで完全優勝をめざす黒山が逆転。野崎が僅か2点差の減点9、小川がさらに1点差の減点10で追う展開となった。しかし、2ラップ目に入ると3人の均衡が崩れ、黒山がペースを握る。SSで降り出した雨もこの流れを変えるには至らず、黒山が2点差を守って逃げ切り、みごと史上2人目の7戦全勝優勝を達成した。そして最後の表彰台、シャンパンを抜く瞬間の表情は、これまでに見たことのない最高の笑顔だった。
「今日はホントに自分を褒めてやりたい。その分来年、全勝優勝以上の目標を立てることが難しいけれど、今度は初心に戻ってチャンピオンを狙いたいですね」
 また、野崎は終盤まで逆転優勝も可能な位置につけていたが、小川に逆転されて3位。シリーズランキングも3位となった。しかし、最終戦までもつれたランキング争いや何度も優勝を争った経験は、必ず来季の躍進につながるはずだ。ハードルの高さを知ったルーキーの滝口輝も、最終セクションをクリーンで締めくくるなど、確かな成長を見せている。
 2013年は、それぞれがどんな活躍を見せてくれるだろうか。

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