日本や欧州、アジアなど世界各国の都市では、慢性的な渋滞や駐車場不足などさまざまな交通問題を抱えている。こうした中で、スクーターに代表される小型の二輪車は、手軽で機動力の高い乗りものとして各国で人々の移動を支えてきた。また一方で、経済性や環境意識の高まりを背景としたコンパクトな乗りものへの期待から、二輪車に乗車経験のない人でも親しみやすく扱いやすい新しいコミューターの登場が待たれていた。

「TRICITY」の導入は、ヤマハが提唱する「広がるモビリティの世界」を具現化する第一歩となった

カーブする時にフロント2輪が車体と同調して傾斜(リーン)する「LMW(リーニング・マルチ・ホイール)」の第1弾、125㏄ATコミューター「TRICITY」の発売(2014年)は、まさにそうした課題に対するヤマハからの一つの提案だった。開発コンセプトは「ニュースタンダード・コミューター」。既存の二輪ユーザーはもちろん、都市の移動における新たな需要の開拓と定着をめざし、「TRICITY」は世界各国の市場にグローバル展開された。

最大の特徴であるフロント2輪は、軽快でスポーティなハンドリングと安定感で新しい楽しさをもたらすとともに、外観からも安定感や扱いやすさを感じる要因にもなった。その新しい楽しさをより多くの人々に体感してもらおうと、日本では全国各地で積極的な試乗会などが開かれた。

パラレロリンクと片持ちテレスコピックを独自のディメンジョン&ジオメトリーに調和させ、新しい楽しさを実現

2013年、欧州で開かれたモーターショーで世界初披露された「TRICITY」は、翌2014年に生産国であるタイを皮切りに、欧州・アジア諸国に導入された。

LMWの第1弾「TRICITY」を2014年4月からタイ市場に導入。その後、グローバル展開された

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