ヤマハ発動機 統合報告書2022
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6定め、リソースを集中して投じることが必要であると判断し、新中計ではポートフォリオマネジメントの推進を戦略の中核に据えました。 具体的には、今後成長する市場、当社が強みを発揮できる市場という2軸に事業を置き、さらに、経営資源を配分して成長を促していく領域と、ポジショニングを維持させながら収益性を高める領域の2階層に分けました。そして、サステナビリティを意識した新しい事業の芽を生み出す領域を加えた上で、売上高成長率とROICにより各事業の位置づけを明確化し、「新規事業」では、新規事業領域、モビリティ新領域における取り組みを推進します。 新規事業領域では、これまで、モビリティサービス、低速自動走行、医療・健康、農業自動化の4領域と、新たな領域の探索を並行して進めてきました。しかし、4領域だけでも事業化には相当なリソースが必要であることに加え、新型コロナウイルス感染症拡大により活動に制約も生じていることから、新中計では新たな領域の探索は行わず、4領域にリソースを集中します。これらの領域での事業化を進め、2024年に売上高300億円を目指します。 モビリティサービスについては、インドとナイジェリアで新会社を設立し、現地企業とともに自己資金で二輪車を購入できない人々を対象としたファイナンススキームを構築するなど、アセットマネジメント事業を拡大しています。また、それにより現地における就労機会が創出され、生活水準の向上、安定した収入の獲得にも貢献しています。 低速自動走行では、モノ輸送は合弁会社との事業化、ヒト輸送は国・自治体と事業性の検証を進めています。特定条件下での自動運転技術の確立により、物流の省人化、公共交通機関にアクセスできない地域の移動課題の解決に取り組んでいきます。「新規事業」「成長事業」「コア事業」「構造改革事業」の4象限に区分しました。 この区分に基づき、「コア事業」の収益性を維持・向上することによりキャッシュを創出し、戦略事業領域と位置づけた「新規事業」と「成長事業」に経営資源を積極的に配分することで、将来の「コア事業」に育成していきます。なお、戦略事業領域への開発・戦略経費投入額は3年間累計で前中計期間の1.6倍となる1,150億円、設備投資額は同1.8倍となる450億円を計画しています。 医療・健康では、手作業だった細胞のハンドリングを自動化するピッキング&イメージングシステム「CELL HANDLERTM(セルハンドラー)」を、がん治療の創薬の現場に加えて、免疫治療の現場での利用に向けて研究開発を進めています。 農業自動化では、米国農業ベンチャーと連携し、農作物のパッキングや収穫の省力化、自動化に向けたソリューションを提供しています。また、2022年3月に、農業用ドローンの開発からサービス供給まで一貫したソリューションを提供するブラジルのスタートアップ企業への出資を実施しました。 次に、モビリティ新領域では、CO2排出量の少ないパーソナルモビリティにフォーカスして取り組みを推進します。人々が、より軽くて小さなモビリティを志向していくことが、社会としてカーボンニュートラルを達成する一つの■になると見ています。例えば、通勤する際、大きな車ではなく、雨風がしのげる1人用の乗り物で移動すれば、省エネルギーにつながります。「PAS」と二輪車の間、四輪車と二輪車の間といった新領域でのモビリティの開発を推進することで、このような社会の要請に応えていきたいと考えています。社長メッセージ戦略事業領域:「新規事業」における取り組み

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