ヤマハ発動機 統合報告書2022
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カーボンゼロ工場×新たな成長機会を通じ、愛されるヤマハ発動機を目指す モノづくりのカーボンニュートラルへ向けた取り組み脱炭素社会の実現に向けて、当社はカーボンゼロ工場を目標に、エネルギーの「最小化」と「クリーン化」の取り組みを進めています。 「最小化」の軸は、「理論値エナジー」と「工程革新」です。「理論値エナジー」では、すべてのプロセスでエネルギーの理論値を目指します。真に必要なエネルギーを「価値」と置き、現状とのギャップを埋めていく手法です。「究極の到達点を見据え、実現手法を考え抜く」点で、従来の「ロスを削る」手法と異なります。この取り組みにより現時点での最高レベルの省エネを実現していきます。また「工程革新」では、設備更新のタイミングに合わせて大幅な省エネを狙います。2021年に導入した新型アルミダイカストマシンでは、排熱回収、超断熱、油圧電動化、CT短縮等の新技術により従来比▲44%を実現しています。このほか、鋳造工程では将来に向け、超高断熱、無機中子化排気レス、超速LP鋳造等の新技術を検討中です。 一方、「クリーン化」の軸は、「再エネ導入」と「電化」です。「再エネ導入」では、太陽光発電導入を加速し、新中期経営計画期間で再エネ比率を2.5倍に高めます。加えて、2022年内に水力由来のCO2ゼロ電気56を、国内主要事業所へ導入します。日本国内のCO2排出量は7割減になる見込みです。また「電化」では、蒸気レス空調や、設備のオール電化など、化石燃料から電気へのエネルギー転換を進めています。  これらのカーボンニュートラルへの取り組みを、私たちは新たな成長の機会、チャンスと捉え、「高生産性かつ快適な職場」「お取引先カーボンニュートラル実現」「皆さまから愛されるヤマハ発動機」といった、新価値の創造につなげていきたいと考えています。 購入材料については、材料ごとに異なるアプローチで検討を進めています。当社のコア技術であるアルミ鋳造工程で使用するインゴット は2021年末現在でその大部分が既にリサイクル材に切り替わっていますが、リサイクル材利用率100%を目指してさらなる切り替えを進めています。ボートの船体などに使われているFRPについては、構成している 材料の変更によるサーマルリサイクル化に着手し、その他の一般の樹脂材料については環境負荷物質を含まないリサイクル材の開発を進めています。チェンナイ工場(インド)の太陽光発電リサイクル樹脂「感動創造企業」を目指した事業活動の中で、カーボンニュートラルへの取り組みを新たな成長機会と捉えています。無駄を省いた生産工程との掛け合わせによって、生産性のさらなる向上と、生産現場における環境負荷低減の両立を進めています。また、テクノロジーを活用し“理論値生産活動”を高効率化することで、お客さま価値の追求につなげています。材料リサイクルの取り組み 地球温暖化抑制の方策として、企業活動におけるCO2排出量削減が 重要な社会課題になっています。日本政府が2050年にカーボンニュートラル(CN)を目指すと宣言したことから、脱炭素のための企業の取り組みに対する関心が高まっています。 CNの実現と併せて、EUなどを中心としたサーキュラーエコノミー(CE:循環型社会)への移行が進んでいます。CEでは、サービス設計の段階から資源回収や再利用を前提とし、廃棄物のない社会構築を目的としています。 このような外部環境のもと、当社ではCNとCEの観点から、社内工場から排出される廃棄物の削減に取り組んできました。商品開発時にリサイクルされた材料(以下、リサイクル材)の活用範囲拡大に取り組み、リサイクル材製のエンジン部品や外装部品を採用してきました。 また、CE実現に向けた新たなグローバル目標として、マテリアルリサイクルを増やす「リサイクルの質の向上」と、リサイクル率向上を通じた 「埋立ゼロ実現」を設定しました。すべての廃棄物の循環利用を目指した、マテリアルリサイクルシステム構築を計画しています。生産〈モノづくり〉

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