ヤマハ発動機 統合報告書2022
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お取引先との協創活動を通じて、相互企業価値の向上と競争力強化を目指す 成長性・収益性・健全性をともに高める2022年からの新中期経営計画3カ年の活動指針となるグローバル調達方針を策定しました。従来取り組んでいるお取引先の皆さまとの協創活動をベースに、新たな価値創造に取り組むとともに、相互の企業価値と競争力の強化を目指します。その達成に向けて掲げた3つの重点テーマは、「成長性」「収益性」「健全性」です。 「成長性」においては、長期ビジョン「ART for Human Possibilities〜人はもっと幸せになれる〜」の実現に向け、新たな製品のモノづくりを調達活動で支える、“新成長領域への挑戦”に取り組みます。CASEをはじめとした新たな技術開発を進め、魅力ある商品づくりを実現するためには、さまざまな技術を保有するお取引先との協業が非常に重要です。当社の中長期視点での技術戦略をお取引先と早期に共有して共通の目標を確認し、その実現に向けた活動を進めています。この新たな領域への挑戦を続け、お取引先とともに競争力強化に取り組んでいます。 「収益性」では、 “既存ビジネスのさらなる強化”を実現するためヤマハ発動機らしい協創活動を進めていきます。まず、お取引先各社の強み・弱みや課題を、協創活動を通して可視化・共有化します。次に、理論値思考に基づく現場改善活動に加え、当社のDXやスマートファクトリー技術を活用し、お取引先の現場で新たな価値創造が生まれる取り組みを行っています。これらの活動では、原価低減や価値向上の提案だけでなく、カーボンニュートラルに貢献する提案など、お取引先の皆さまとともに創出していきます。活動から創出したアイデアは、新機種開発の上流段階で織り込むことで既存部品の改善につなげていきます。このサイクルを回すことで新たな価値を創出し、お取引先とヤマハ発動機が相互に企業価値を高めていけるよう取り組んでいます。54グローバルサプライヤーズカンファレンスを通して、14カ国260社のお取引先と方針を共有 (Web配信)世界の人々に新たな感動と豊かな生活を提供する、当社のユニークで高性能・高品質な製品を世界中へお届けし続けるためには、多種多様の高品質な部品・資材などを世界的な視野で幅広く調達していくことが重要です。お取引先と積極的なコミュニケーションを通じてより良い信頼関係を築き、当社とお取引先がともに企業価値を高める「協創*」の精神でモノづくりを実現しています。* グローバルな競争力向上に加え、社会の共感を得て、お取引先の皆さまと相互の企業価値を高めていく活動のことを、ヤマハらしい協創と定義。 安定した収益性を確保するために、調達活動におけるさまざまなリスクへの対応も進めています。2020年から続く新型コロナウイルス感染症拡大により、世界中で調達網が寸断されるリスクが続いています。火災や水害によってお取引先が被災するケースや、サイバー攻撃による操業影響も深刻なリスクです。調達本部では、お取引先に対し平時から“未然防止への備え”を整えるよう注意喚起するとともに、有事の際には 早期にお取引先の被災情報を確認できるよう、サプライチェーン情報の見える化を進めています。このほか、半導体や一部の原材料(素材)のように、供給元がごく数社に限られているようなケースも大きなリスクと捉え、長期スパンでの部品確保などの対策に取り組んでいます。これらの取り組みによりレジリエンスを向上させ、収益性確保につなげています。 「健全性」については、安全・品質、人権、環境など、購入する部品・原材料が製造される工程にさかのぼって調査を行っています。この活動は、サプライチェーン全体で取り組んでいくことが重要であり、将来にわたって企業活動を継続していく上で必須事項と位置づけています。 お取引先との取り組みは、つねにその根底に“品質最優先”の考えがあります。何よりも優先されるべきことは、安全と安心であり、お客さまの信頼を失わないことを最優先としています。 調達活動を取り巻く環境は大きく変わってきています。社会のさまざまな期待に応え、安定した生産活動を支えるために、これらの方針をグローバルサプライヤーズカンファレンス(GSC)を通して世界の主要なお取引先と共有し、相互の企業価値向上のための協創活動を推進していきます。お取引先との機能部品のつくり込み調達

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