ヤマハ発動機 統合報告書2022
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46 人間の幸せは、物質的なものだけでは満たされません。オートバイにしろ、ピアノにしろ、お使いいただく人々の向上心によって、より大きな喜びを手に入れられるパートナーです。こうした商材に当社の伝統的な精神である「需要創造」や「普及活動」を組み合わせることで、鍛錬を娯楽まで昇華していくブランドでありたいと考えています。ブランドスローガンである“Revs your Heart”には、そうした願いを込めています。 また、ブランドは社会的な視点からの価値もつねに問われています。重要な社会課題の解決に向けた当社の取り組みを、より多くの皆さまに実感していただける対話と交流が必要だと考えています。当社が生み出す主な社会的価値を、【移動価値】【時間価値】【環境価値】と定義したブランドコミュニケーションを進めていきます。 まず、クリエイティブ本部のメディア化です。経営層を含む社内に向けたメディア機能と、お客さまやパートナーなど社会に向けた機能、その双方を司るメディアとしてクリエイティブ本部を機能させていきます。また、ブランドやメディアなど専門性の高い外部有識者の知見や意見を有効に取り入れる仕組みづくりを進め、同時にこれらの機能を底支えする「コアバリューの再定義」「独自の指標設計と運用」「発信スキルの構築」にも取り組んでいきます。ブランド価値をさらに高め、輝かせることが、「感動創造企業」の実現につながると考えています。2022年1月に、ブランドとデザインを指揮するクリエイティブ本部長に木下拓也が就任しました。過去から現在に至るまでの認識、これからのチャレンジについてご説明します。上席執行役員クリエイティブ本部長ブランド委員会委員長木下 拓也人や社会にお届けする価値を実感していただけるコミュニケーション ヤマハ発動機ブランドの骨格についてご説明します。当社は、1955年に日本楽器製造株式会社(現・ヤマハ株式会社)から二輪車事業を分離・独立して創立した企業体です。当社ブランドのベースにはヤマハ株式会社と共有するヤマハブランドがあり、この伝統的な資産と、これまでの事業活動によって積み上げてきたヤマハ発動機独自(単独)の価値が相乗しています。基盤を成すヤマハブランドの資産をますます輝かせるために、ヤマハ株式会社との合同によるブランディング活動(“Two Yamahas, One Passion”)も推進しています。 この二層によって発揮されるヤマハ発動機ブランドは、接点を持ったすべての皆さまに、【多幸感】 【期待感】 【達成感】をお届けするブランドでありたいと考えています。中期経営計画で進めるクリエイティブ本部の「メディア化」 一方で、当社は事業領域や市場の幅の広さから、全体像として、またそれぞれの領域における企業・事業ブランドを機能させていくためには、高度なマネジメントが必要と認識しています。その実現のために、デザイン領域を含めた新中期経営計画のスキームとして、以下の取り組みを進めていきます。ブランドは、すべての思考・行動の集積経営資源として、より重要性を増していく 当社にとって「ブランド」は、最も重要な経営資源の一つです。とりわけ資本主義社会の経済成長が鈍化する今、これまで以上に企業の存在価値が深く問われ、その姿や価値観、また倫理観といったものの代弁者として、ブランドの担う領域・役割がひと際大きくなっています。さらに、人や社会とのつながり、環境課題への関心など、人々が希求することや価値観の変化も、ブランドの存在をより重要にしている要素と言えます。 ブランドが持つ価値の構造は、極めて複合的です。提供する製品やサービスを含む経済的価値はもちろんのこと、製品を生み出すまでのプロセス、そこに込めた意味や哲学、その発露としての価値観や倫理観が、社会と人が願う想いと重なり合わなくてはなりません。つまり、私たちの思考や行動すべての集積が、当社や当社事業・製品のブランドを形づくっていると考えています。Creative Branding & Design

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