ヤマハ発動機 統合報告書2022
37/94

2022年12月期の見通しと今後の展望 キャッシュ・フローCash-In純利益 償却費 Cash-Outく改善しましたが、それは、将来の成長に向けた投資を想定通りに実施できなかったことも要因となっています。  新中計では、将来の成長への取り組みとカーボンニュートラルへの対応を加速するため、レバレッジを効かせながら、コア事業および戦略事業領域と基盤構築に4,800億円の資源配分を実施します。その上で、株主還元については、業績の見通しや将来の成長に向けた投資を勘案しつつ、安定的かつ継続的な配当を目指す方針です。そして、キャッシュ・フローの規模に応じて機動的な株主還元を実施し、総還元性向は3カ年累計で40%を目安とします。2022年3月の株主総会後に発表した自己株式の取得は、株主還元に対する私たちマネジメントの強い意志と捉えていただければ幸いです。 新中計の目玉として、事業ポートフォリオマネジメントを実装しました(詳細はP.24をご参照ください)。経営資源配分については、事業ポートフォリオマネジメントに基づき、戦略事業領域へのリソース投入を積極化し、開発経費と成長戦略経費を前中計の1.6倍の1,150億円(414億円増)、設備投資は同1.8倍の450億円(206億円増)に拡大します。前中計における反省を活かし、実効性を上げていく仕掛けを織り込んでいきます。  また、成長投資を行う際の基準として、長期ビジョンに合致しているかどうかを重視します。新中計では、1番目にコア事業の稼ぐ力を 352022年12月期についての展望をまとめますと、需要環境は好調な需要が継続し全事業で2021年12月期を上回る販売を計画しています。コスト面では、2021年12月期から続いている半導体の部品不足の影響と原材料・物流費等の高騰の影響を想定して織り込んでいます。それに対して、商品力強化やプレミアム戦略を推進しながら、損益分岐点経営の継続と定着ができるかどうかが、私たちの実力が問われている点だと思っています。これらの取り組みを通じて、売上高、営業利益については2期連続となる過去最高の更新を目指します。  新型コロナウイルス感染症の拡大により、人々の価値観が大きく変化しました。また、デジタライゼーションの加速が、お客さまの購買行動に大きな影響を与えています。世界中で時差なく同じ情報を取得できるようになったことで、明らかにマーケティング活動の手法も変化しました。このようなさまざまな変化を捉えて、ビジネスプラクティスの強めること、2番目にサステナブルな社会づくりに貢献する新規・成長事業への投資を加速させること、3番目にデジタル技術の活用とパートナーの共創を加速し成長性を高めることを3つの柱としました。これまでの中計でも掲げてきた「成長戦略」「基盤強化」の軸に加えて、 今回「サステナビリティ」の軸を盛り込んでいますが、それは環境や持続性なくしては、お客さまから選ばれ続ける会社として存続し得ないからです。社会的な貢献ができるかどうかという視点を重視し、成長投資の可否を判断していくことになります。更新を図り、効率性を高めていきたいと考えています。ここは、損益分岐点経営の定着という「果実」(財務面での成果)で皆さまにお示しできる部分です。併せて、サステナブルな社会づくりに貢献することが不可欠です。前中計で一層強化された財務基盤を軸として、その成長の芽をしっかり育てることも私自身の役割であると認識しています。  当社の商品やサービスを通じて、本当にお客さまが幸せを感じていただけているかどうかが重要です。それが結果として、財務面の持続的な成長につながるものと考えています。そのためにも、特にアフターコロナの世界において、よりお客さまの価値観に私たちが寄り添い、シンクロナイズしていくとともに、その事実をしっかりとステークホルダーの皆さまへ発信することで、長期ビジョン実現に向けた進■を共有していきます。4,000億円〜1,700億円〜コア事業・戦略事業・基盤構築に4,800億円株主還元 1,600億円〜成長投融資 1,000億円運転資金 1,000億円設備投資 2,800億円事業ポートフォリオマネジメントに基づく成長投資

元のページ  ../index.html#37

このブックを見る