ヤマハ発動機 統合報告書2022
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取締役 上席執行役員 設楽 元文 34前中期経営計画(2019〜2021年)(以下、前中計)の最終年度に当たる2021年12月期の業績は、売上高が1兆8,125億円、営業利益が1,823億円、親会社株主に帰属する当期純利益が1,556億円となり、いずれも過去最高を更新しました。また、KPIとして設定した財務指標についても、営業利益率(2021年12月期10.1%)、ROE(3年平均12.8%)、自己資本比率(2021年12月期末46.9%)を達成しています。  しかし、当社の企業目的は利潤を最大化することではありません。それは「感動創造企業」を実現することであり、その方向性を具体化した2030年に向けた長期ビジョン「ART for Human Possibilities〜人はもっと幸せになれる〜」への道筋をお示しするのが中期経営計画であると言えます。結果としての業績に満足するのではなく、この3カ年を通じて長期ビジョンに向けて前進することができたのかを問う必要があると考えています。  この前提のもとで、2021年12月期業績についてご説明します。2021年12月期は、前期に引き続き新型コロナウイルス感染症拡大の影響が世界経済に影を落とす中で、当社のメイン商材である二輪車や船外機等の需要が好調に推移しました。そのような外部要因を 新中計においては、成長性、収益性、効率性の3つの観点から、目標とする財務指標を設定しました。1つ目の成長性については、売上高2.2兆円以上、CAGR(年平均売上高成長率)7%以上としています。2つ目の収益性では、3年平均で営業利益率9%以上、3つ目の効率性では、3年平均で資本コスト(7%台を想定)以上のリターンの継続創出を目標としました。これらに加え、ROE15%水準、ROIC9% 追い風に、各拠点・各部門が自律的かつ最適な判断のもとで、着実に需要を取り込むことができたとともに、損益分岐点の改善に向けた全社的な取り組みが奏功しました。加えて、移動制限に伴う経費節減の効果もあり、売上高、利益ともに前期から大きく伸長しました。また、収益性の改善、財務的基盤の安定化という観点においても、デジタライゼーションによる効率化と生産性向上、グローバル生産体制の構造改革が大きく寄与しました。  新型コロナウイルス感染症拡大により世界全体に閉塞感が漂う中で、個人の移動手段として、また、充実したライフスタイルを過ごすためのアイテムとして、当社の商品が注目されました。当社の商品を通じて、世界の人々の「幸せ」に貢献できるということを改めて実感することができた1年であったとも言えるでしょう。それが業績にも反映されたわけですが、半導体不足や原材料高、物流面での課題などもあり、お客さまからの期待に十分にはお応えできていなかったことは反省点です。新中期経営計画(2022〜2024年)(以下、新中計)のもと、この大きな追い風をしっかりと捉えることにより、長期ビジョンの実現に向けてさらに前進していきたいと考えています。 水準、ROA10%水準をサステナブルに創出できる体質を目指して いきます。  次にバランスシート・マネジメントについては、前中計では、「稼ぐ力を維持しながら、キャッシュ・フローの範囲内で成長投資と株主還元のバランスを取る」という方針のもと、特に財務体質改善と併せて、 配当の安定性と継続性を重視しました。その結果、財務体質が大き取締役 企画・財務担当メッセージ 前中期経営計画の総括 財務戦略の方向性 事業ポートフォリオマネジメントに基づき 成長投資を積極化し、長期ビジョンの 実現に向けてさらに前進していきます。

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