ヤマハ発動機 統合報告書2022
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26新規事業に関する背景と方針当社は1955年に製造販売を開始したモーターサイクルから始まり、そのエンジン技術を用いて水上、雪上、空中へと製品を多角化し、事業を拡大してきました。当社の製品多角化と事業拡大の背景には、いつも「新たな楽しみを生み出したい」「お客さまの課題を解決したい」といった従業員の想いがあり、世界中の現場に足を運び、現地の仲間や多くのお客さまとの交流を通じて、より良い製品の開発を行ってきました。現在多くのシェアを獲得している「船外機」もその一つで、一時は「損害機」とまで揶揄されクレームが絶えなかった事業でしたが、国内・海外の現場を目で見て、音も聞いて、五感で課題を感じ、現地の仲間とともに改善活動を繰り返し行ってきたことが、今の地位につながっています。現在新規事業開発で取り組んでいる、Yamaha Motor Ventures, Inc.を通じた外部パートナーの探索と投資もこの思想が根底にあります。志をともにしたパートナーとの協業を通じて、互いの強みを活かしながら、「世界の人々に新たな感動と豊かな生活を提供する」ことを目指し、新たな価値創造に取り組んでいます。 当社が取り組む新規事業は、マテリアリティとして掲げる「環境・資 源」「交通・産業」「人材活躍推進」の解決に貢献する分野であり、 インド・ナイジェリアに新会社を設立し、現地協業でアセットマネジメント事業を拡大二輪車で仕事をしている新興国のお客さまの中には、雇い主から二輪車を借りて労働力を提供している方も一定数存在します。購入せずに二輪車を使用できる環境をビジネスとして整え、スタートアップと協働で雇用の創出を行うエコシステムの構築を進めています。2021年にインド・ナイジェリアに新会社を設立し、現地協業でアセットマネジメント事業を開始しました。このスキームにより、お客さまはモビリティ獲得による生活水準の向上と安定した収入を同時に得ることができるとともに、当社としてはこれまで自己資金では二輪車を購入できなかった顧客層に対して、サービスビジネスとして売上を増やすことができます。医療・健康/農業自動化長期ビジョンで定めた「Advancing Robotics」「Rethinking Solution」「Transforming Mobility」のテーマに資する取り組みです。 また、新中期経営計画においては新規事業を戦略事業領域と位置づけ、社会課題の解決とともに、将来のコア事業を生み出すための体制強化と売上の創出を目指します。具体的には、「モビリティサービス」「低速自動走行」は、2024年に売上高300億円、「医療・健康」「農業自動化」は、2030年までの売上貢献を目標に、事業化に向けて取り組んでいきます。 当社には、世界中のさまざまな現場で、多くのパートナーとの対話を通じて解決すべき課題を探索・察知する習慣が根づいており、こうした経験を持つ人財こそが新たな価値創造の源泉です。新規事業の4領域も外部パートナーとの対話と共創により実現を目指すものであり、この取り組みを通じて、将来のビジネス創造を持続的、継続的に生み出すことができる人財をグローバルに育成していきます。そのためにも、新規事業を戦略事業領域と位置づけて積極的な経営資源配分を行うことで、上記に掲げた目標達成を目指します。中長期戦略中期経営計画(2022〜2024年)社会課題雇用創出新規事業2024年度売上高 300億円を目指すコア技術金融サービス事業で培った アセットマネジメントのノウハウコネクテッド技術事業開発を加速共創注力領域新興国地域プラットフォーマーモビリティサービス 事業を通じた就労機会の創出により、人々の生活の質向上に貢献する売上規模の獲得段階に移行モビリティサービス/低速自動走行事業化に向けた取り組みを推進

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