統合報告書2021年 日本語版(2020年12月期)| ヤマハ発動機
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ランドモビリティ事業モビリティの価値を再定義し、 移動の枠を超えた感動の創出に挑む 新型コロナウイルス感染症の影響を受けた2020年は減収・減益の厳しい結果になりましたが、リスク管理をしながら市場トレンドへの対応と経費削減の両立に取り組んだことで、コロナ禍の影響を踏まえて想定した2020年4月時点のシナリオと比較すると最悪の事態は避けられました。一方で、需要に即した在庫を最小化したデマンドチェーンマネジメントを進める当社にとって、今回のような激しい需要変化への対応は非常に難しいものとなりました。その中で明確になった生産計画や供給能力における足元の課題については、今後真摯に取り組んでいく考えです。 テクノロジーの進化や環境規制、コロナ禍も相まって生活や人生に対する価値観がますます多様化しており、モビリティのあり方も大きく変化しています。このような状況下でユーザーが何を求めているのか、その根底の意味を考えることが当社のアジェンダであり、当社の製品 でいえば、単なる移動具以上の価値を再定義することが不可欠である と考えています。楽器もモビリティもヤマハの製品は所有の先に 面白さとユーザーの多幸感があります。モノとしての消費を超えた モビリティの価値を再定義することが、長期ビジョン「ART for Human Possibilities」で示す「人の幸せ」につながる価値をお届けする鍵になると考えています。製品の性能アップデートだけでなく、どういう感動をお客さまに届けられるかという点においても、「今後の感動は何に由来するのか」をモビリティの再定義とともに考えることが必要です。  世界初の電動アシスト自転車の開発や、ならんで座れるROVを世に送り出し、ユーザーの体験価値をアップデートしてきた当社は、新しいモビリティの創造によって市場開拓してきたDNAを有し、各分野で確固たるポジションを確立しています。電動アシストから低速移動、そして高速移動まで広範囲なモビリティを展開するからこその優位性・技術・知見を活かし、社内外との連携も行いながら、当社の価値観を落とし込んだ新しいモビリティを創造することによって、オポチュニティの確実な獲得を目指していきます。強み• 培われてきたコア技術に基づく高い性能と品質を 併せ持った多様かつグローバルで展開する製品群 • 自動二輪車市場における グローバルブランドポジション • 新しいモビリティの創造によって 市場を開拓し続けてきたDNA 機会• ASEANをはじめとした新興国における 中間層市場の拡大 • 環境規制対応モデルのグローバル展開 • デジタルによるマーケティングの進化 市場とヤマハ発動機の概況主な競合先進国MC・コミューター総需要はリーマンショックからほぼ横ばい。2020年前半はロックダウンの影響があり需要は減少したが、後半はアウトドアレジャー・パーソナルモビリティ需要が追い風となった。 HONDA、SUZUKI、Kawasaki、Harley-Davidson、BMW、Ducati、Triumph、KTM、Aprilia、Piaggio、KYMCO 新興国MC・コミューター新型コロナウイルス感染症拡大による影響を受けた。主力市場のインドネシアを中心に各国での販売台数の減少があった。 HONDA、SUZUKI、Kawasaki、Hero、Bajaj ROV・ATV北米市場が需要のメイン。サマーシーズン前から需要が上昇した。 Polaris、BRP、HONDA、Kawasaki 電動アシスト自転車電動アシストユニット当社が世界初の製品を展開。環境問題の意識が高い欧州では、電動アシスト自転車・e-BIKEの需要が回復。 Panasonic、BOSCH、SHIMANO 主要製品の概況と主な競合リスク• 各国ごとの環境規制強化 • 新技術、新競合による産業構造のシフト • 日本国内における若年層のモビリティ離れ 上席執行役員ランドモビリティ事業本部長(兼)ランドモビリティ事業本部MC事業部長木下 拓也72事業別概況Yamaha Motor Co., Ltd. Integrated Report 2021

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