統合報告書2021年 日本語版(2020年12月期)| ヤマハ発動機
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新型コロナウイルス感染症の流行への対応 米 新型コロナウイルス感染症の流行が大きな社会問題へと発展していく中で、ヤマハ発動機の役員の方々は迅速かつ果敢にBCP(事業継続計画)を実行に移されました。その結果が2020年の数値にも表れています。企業の存続自体にかかわる最悪の状況も想定された中で、ここまで業績が持ち直していることは、高く評価できます。 大橋 当時、私は取締役に就任して日が浅かったのですが、4月の取締役会で3月の実績および5月の見込みの報告がありました。その中身から大きな変化の兆しを見出すと、日髙社長が躊躇することなくBCPの実行を判断したことが印象に残っています。外部に対しても、投資家や株主の皆さまに向けて2月に発表した年度計画を取り下げるなど、そのアクションは非常にスピーディでした。他社と比べても、特に12月決算の会社の中では対応が早かった米 私は他の企業で社外取締役も務めていますが、当社では社外監査役という立場ですので、コンプライアンスなど「守り」の領域に焦点を当てた指摘・進言に軸足を置くようにしています。 ただし、ヤマハ発動機はグローバルに幅広い事業活動をしており、例えば、コンプライアンス上で留意することも国や地域、また事業内容によって異なります。「守り」の領域といっても、その守備範囲は非常に広く、監査役としての役割を果たす上での難しさを感じています。しかし、監査役室の方たちから広範囲かつ適時に情報共有をいただいているほか、事業内容を深く理解されている常勤監査役のお二人ともしっかりと連携が取れていますので、大変助かっています。 大橋 取締役会での監査役の方々の発言を聞いていますと、普段から非常に深く議論されていることが分かりますし、ヤマハ発動機の監査役会はよく機能しているように思います。しかし、コンプライアンスの問題や不祥事というのは、それだけで防げるものではありません。一人ひとりが意識高くコンプライアンスに取り組む企業風土が根づいていることが重要であり、それは日髙社長をはじめとした役員の皆さまの発言内容にもにじみ出るものです。私たち社外役員が取締役会の場でコンプライアンスに関する質問を投げかけたときには、皆さまが根拠を示しながら自信を持ってお答えいただいていますので、ヤマハ発動機ではそういった企業風土づくりがしっかりとできているのではないかと評価しています。 米 日髙社長は非常に率直な方で、私たち社外役員の発言の中には耳の痛い意見もあるだろうと思いますが、それを真摯に受け止めてオープンに話ができる方ですね。2020年は初めての取り組みとしてCEOの業務レビュー・評価に基づき再任を判断するための「CEO懇談会」を、日髙社長と社外役員で行いましたが、 その中でも日髙社長のそのような姿勢がよく表れていました。 大橋 普段の取締役会では議題に全く関係がないことを聞く機会はなかなか多くはありませんので、「CEO懇談会」は非常に面白い試みだと感じました。ヤマハ発動機の社外役員の皆さまのバックグラウンドは多様で、さまざまな角度から質問や意見が飛び交いましたが、日髙社長にとってはまさに株主との直接的な対話のような時間になったのではないでしょうか。 米 CEO懇談会を経て、取締役会の運営にも改善が見られました。2020年の途中から取締役会の冒頭で、日髙社長が経営上注視している点であるとか、前回の取締役会から変化したことやトピックを10分くらい話す時間を設けるようになったのです。これにより、これまで以上に意見が出やすくなったと思います。また、バッドニュース・ファーストということで、良い話だけではなく、悪い話についても包み隠さずご報告いただけるので、ますます透明性が高まっている印象を受けています。なお、この取り組み自体は大橋さんからのご意見で取り入れられることになりました。 大橋 私自身が小松製作所の代表取締役社長を務めていた時代に取り組んでいたことで、社外役員の方々からも「それがあるからオープンに話しやすい」とご評価いただいていました。社内事情などを含め、社外役員からは見えないことが数多くありますので、日髙社長がその時点でどのような事業環境認識を持っていて、どのような変化が気になっているかなどを少しお話しいただくだけでも、非常に助かるのです。CEO懇談会の場で提案し、すぐさま「やってみましょう」と取り入れていただき、大変感謝しています。 55Yamaha Motor Co., Ltd. Integrated Report 2021

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