統合報告書2021年 日本語版(2020年12月期)| ヤマハ発動機
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 審議の過程では、社外取締役・社外監査役の皆さまから、 それぞれのビジネス経験や専門的知見に基づく貴重なアドバイスや、課題意識を促すような厳しい意見が述べられます。いずれのテーマについても、執行役員の皆さんがヤマハらしい将来像をつくり込んで、どういう姿になりたいのかという大局的シナリオと具体的計画を描けるよう支援する場にしたいと考えています。  2020年度の取締役会は、ほとんどがオンラインでの開催となりましたが、社外取締役の皆さまからは前年度を上回る多数の発言をいただいています。社内からの視点、社外からの視点、異なる経験・専門性からの視点等、多様な評価や意見をぶつけ合って最良の意思決定に辿り着くことが肝要です。時々、枠にはまらない議論にしたり、執行役員の皆さんの果敢な決断を促すような議論にしたりすることが議長の役割だと考えています。役員人事委員会における取り組み当取締役会の諮問機関である役員人事委員会も、活発な議論の場になりました。  指名にかかわる事項としては、CEOの業務レビュー・評価に基づき選退任を判断することを目的とした、CEO懇談会 (座長:上釡取締役、評価者:社外取締役+社外監査役 6名)を制度化して実行しました。その主旨は、各年度における執行役員の選退任の大前提として、まず最高執行責任者の選退任を判断し、最適・最良の経営者が経営執行するガバナンスを構築することです。特に、CEOの経営・業務状況に関わる 非財務的評価を意図して、CEO自身による業務総括、それに対する6名の社外役員による忌憚のない評価・意見交換およびアドバイスを行う場にしていただきました。今後も、運営については改良を重ねていく考えです。  報酬にかかわる事項としては、まず役員報酬水準の妥当性を確認した上で、コロナ禍の影響を受けた2020年度の経営業績について財務的・非財務的評価を行い、役員賞与について審議して取締役会で承認しました。具体的内容については、新しい制度の時期を待たずに12月決算の当社は先行開示となるタイミングで、まず株主総会の招集通知に開示しました。  加えて役員人事委員会の重要な取り扱い事項として、将来の経営人材育成および取締役会構成の最適化に関する議論が進んでいます。人材育成については、グローバル人事・人材開発プログラムは進んでいるものの、女性活躍という面ではまだまだ課題が残っています。女性基幹職の登用は、目標以上に進んでいるものの絶対数が少ないという課題に対して、長期的な採用・育成を含めた取り組みを促しています。  2021年度の取締役会構成は、社内取締役6名(1名減員)+社外取締役4名としました。また、社外監査役に河合江理子氏を迎え、社外取締役の田代祐子氏とともに取締役会の場で多様性が拡がると同時に、今後の重要課題の一つであるサステナビリティにかかわる議論が深まっていくような構成にしました。2022年度に向けては、社外取締役の比率をさらに上げること、経験・専門性や国籍等の多様性を拡げることに取り組む考えです。 コロナ禍のグローバル市場において、社会やお客さまの価値観の変化や特定の価値観の顕在化がみられる中、ヤマハブランドの価値が信頼される場面が多々ありました。このことは、当社の企業経営を変革させる方向性を一段と明確にしました。経営のレジリエンスを高めながら、社会のサステナビリティに貢献する、イノベーションを生み出す経営を構築することが不可欠です。ヤマハ発動機は、「技術×感性」で感動創造に挑戦する企業文化を大事にしながら、企業ガバナンスの一層の進化に努めてまいります。 53Yamaha Motor Co., Ltd. Integrated Report 2021

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