統合報告書2021年 日本語版(2020年12月期)| ヤマハ発動機
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ヤマハ発動機流「スマートファクトリー」の取り組み お客さまに対して製品の付加価値を生み出す、当社の製造・生産現場におけるクラフトマンシップ「ヤマハの手」 によるモノづくりとともに、一台一台の品質を高め、価値を効率良く生み出すために製造工程のデジタル化は欠かせません。しかしデータを活用する上で、得られたデータの裏に隠れた重要なメッセージを読み取るためには、 「現場経験」と「理論値思考」が必須であると考えています。  ヤマハ発動機流の「スマートファクトリー」は、人が主役となり 「データ」と「現場で培った経験」によって理論値活動につなげるプロセスです。当社では、「市場・設計・製造における “人・設備・製品”と“情報”のデータを紐づけ・一元化し、“理論値”と“実効値”の差異およびそのバラツキをリアルタイムに定量化する仕組み」を「スマートファクトリー」と定義しています。この仕組みを活用し、現場では理論値思考によって解決可能な課題に落とし込み、理論値活動を通じて経営指標改善およびお客さま価値の向上に貢献していきます。 具体的事例GETの製造部門で3つのプロジェクトをスタート2020年に設置された活動組織「Global Execution Transformation(GET)」の製造部門では、モノづくり会議の進化、グローバル製造人材育成、各注力テーマ(DCI*1、TVP*2、スマートファクトリー)の活性化という3つのプロジェクトをスタートしています。初年度の2020年は、モノづくり会議の改善と、DCIとTVPをリードするグローバル製造委員会の設置に重点を置いて活動しました。オンラインで開催したモノづくり会議には1,000人を超える従業員が参加し、有意義な情報共有の方法であることを実感しました。2021年はこれらの活動に加え、グローバル製造人材育成と連動する計画の策定と、カーボンニュートラル、スコープ1.2.の活動をグローバルで推進していきます。*1 DCI(Demand Chain Innovation:デマンドチェーン革新):市場追従型生産により適正な在庫量で販売の最大化を目指す取り組み*2 TVP(Theoretical Value based Production:理論値生産):モノづくりの現場において顧客価値視点での本質機能を理論値とし、現状と理論値のギャップを最小にする取り組みを全員参加でつねに行うことMessage from ManagementMichael ChrzanowskiDeputy Executive Officer Chairman, YMMC(アメリカ)1 部品と製造条件が個々に紐づけられ、 良品を生み出す条件管理の強化実現に必要な技術開発およびシステム設計とその実装も社内で対応することで、多様化する現場の環境・目的に合わせた汎用化を実現しています。社内の技術対応力を高めることで、NV事業統括部や出資企業との親和力も高めています。2 人とロボットの協調作業同じ作業エリア内において、人と協働ロボットが共存・協調して製品組立を行うことで、単純作業は“ロボット”が担い、“人” はお客さまの満足につながる付加価値工程に集中することができる環境の構築に取り組んでいます。また作業の自動化においても、「ヤマハの手」として手作業にこだわる工程と、ロボット作業に置き換える工程にこだわり、品質と製造コスト低減の両立を目指しています。今後はこれら実例を国内外へ展開することで、品質・コスト競争力のあるモノづくりをグローバルに実現していきます。45Yamaha Motor Co., Ltd. Integrated Report 2021

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